読み聞かせの“声のぬくもり”で子どもの生きる力を育む 絵本プロフェッショナル協会。設立1周年までの活動を振り返りながら、実現したい子どもたちの未来を語る。
読み聞かせの普及に取り組む、一般社団法人絵本プロフェッショナル協会は、2024年6月21日(金)に設立1周年を迎えることができました。
設立後に発売した協会の読み聞かせメソッド本『1秒で子どもたちの反応が変わる!!また読んで欲しくなる読み聞かせ』は、2023年8月7日発売後、10日で重版です。
そして、全国図書館協議会選定図書に選定されました。
選定図書・協会のメソッド本(重版)
絵本の読み聞かせを楽しむ時期は、主に赤ちゃんから小学生になります。
ここ数年コロナ禍で読み聞かせの活動が自粛されて、絵本と触れる機会が減り、心や言葉の発達の影響が懸念されています。
保育の先生、読み聞かせボランティア活動で、子どもと関わっている方から「言葉が少ない」「想像力が乏しい」「待てない」一部の子どもの行動ですが、心配する声があります。そこで、子どもたちへ絵本が担う役割について、当協会の取り組みを紹介させてください。
代表理事・朗読家・絵本作家 北島多江子
親子の読み聞かせから始まり、絵本の力を広める活動を展開
代表理事の北島多江子は、絵本専門の朗読家であり、絵本作家です。
お腹にいる我が子へ読み聞かせしたのが始まりです。3人の子育てでは、夜寝る前の読み聞かせで、両側から絵本を覗き込む子どもたちの笑顔が愛しくて、親子の心のふれあいの時間になりました。
子どもの成長と共に、未就園児サークル・幼稚園・小学校での読み聞かせボランティア活動を続けることで、集団での読み聞かせの楽しさを知りました。
しかし、ただ楽しいだけでいいのだろうか…。と思う出来事がありました。
あるクラスには、いつも一番前で体育座りをして身を乗り出すように聴いてくれる子がいたのですが、その子の家庭では読み聞かせの機会がないことを知りました。
きっと家でもたくさん読み聞かせてもらっている、絵本の好きな子なのだろうと思っていたので、とても驚いたのを覚えています。
そのクラスにお子さんがいる読み聞かせボランティアの方から、「北島さんの読み聞かせを、すごく楽しみにしていることを聞いたよ」と教えてもらった時、読み聞かせは「お話の楽しさ」を伝えるだけでなく、「声のぬくもり」で心を豊かに育むことを実感したのです。
この出来事が、“声のぬくもり”で子どもの生きる力を育てるという、当協会の原点になっています。
2015年NHK文化センター浜松教室で新設・朗読講座の講師依頼を機に、オリジナルメソッドを確立し、翌年以降、家庭文庫のえほん文庫様にて、「読み聞かせ講座」「養成講座」など、多数開講いたしました。
活動を続ける中で、子どもたちが読み聞かせでまだ出会っていないお話を届けたいと思うようになり、絵本の執筆をスタート。
数々のコンテストやコンクールに応募しましたが、なかなか目はでませんでした。
それでもあきらめずに30年取り組み続け、第4回絵本出版賞「絵本のストーリー部門」最優秀賞を初受賞。
2020年10月23日に受賞作『大みそかに、じかんがじゃんけん大会?』が発売されました。
初受賞の絵本『大みそかに、じかんがじゃんけん大会?』
コロナ過で読み聞かせが中断。再開後、本と子どもを繋ぐ重要性を再認識
しかし、コロナ禍によって、読み聞かせの機会が無くなってしまいました。
講座も、対面からオンラインに切り替えたものの、読み聞かせする場所がないので、しばらく申し込みがない状況が続きました。
発売から一年。ようやく書店での読み聞かせ会を開催することができました。
久しぶりに、子どもたちと読み聞かせを楽しみ、中日新聞の取材を受けた時に出てきた言葉は「子どもたちと本とが出合う架け橋になりたい」。
これが、これから取り組んでいきたいことなのだと再認識しました。
本の王国豊川店様での「えほんのよみきかせ会」
絵本とふれあう機会を守るため認定講座を新設
それでも、読み聞かせの再開は、学校によって状況が異なりました。
読み聞かせボランティア団体を解散してしまった学校もあると聞きました。
このままでは、子どもたちが、絵本とふれあう機会が失われてしまうと思い、認定講座の新設を決めました。読み聞かせ方法を教えられるようになることで、オンラインでも活動を広げられるようにしたかったのです。
協会を設立、子どもの成長に貢献できるようさらなる活動拡大へ
読み聞かせを通して、子どもの成長に貢献できるように、協会を設立しオリジナルメソッド本を出版することができました。
受講生、認定講師が、読み聞かせメソッドの習得を可視化できることで、自信を持って読み聞かせの活動を広げていけるように挑戦しました。
また読んで欲しくなる読み聞かせメソッドが広がっています。
「子どもの未来を変えられるかもしれない」ビジネスコンテストに挑戦し、ファイナリストに選出
読み聞かせは、読み方によって、子どもの想像力の膨らみが変わります。
さらに、心と言葉が豊かに成長していくように、適切な読み方で行うことが望ましいです。同じ読み聞かせでも、「聞いて楽しい読み聞かせ」と、「生きる力を育む読み聞かせ」では、子どもが困難を乗り越える力や挑戦する力に差が生じるでしょう。
協会の読み聞かせメソッド本の出版を急いだのも、その理由です。
そのメソッド本を多くの人に広めたいと活動している時、広報PRを専門とする会社の経営者であり、ビジネスコンテストも主催されている笹木郁乃さんから頂いた「幼稚園や保育園の先生の、メソッドでの読み聞かせによって、心が豊かになった子どもたちが、大人になったら社会は変わるよ」という言葉にハッとしました。
「子どもの未来を変えられるかもしれない」と思い、クラス担任の先生が読み聞かせの認定講師となり、園と保護者が一体となって読み聞かせに取り組む園を認定する事業を考案し、その事業を実現するためにビジネスコンテストに挑戦することにしました。
読み聞かせに取り組む認定園事業の資料
まず最初に、保育の現状を調べてみると、保育学生は8割未習得のまま、現場で毎日読み聞かせを行っているデーターがあり、大変驚きました。
保育での読み聞かせ研修も、3割未満の習得状況でした。
人格形成される幼児期に、毎日読み聞かせしている保育で、読み聞かせを専門に学ぶ意識が十分とは言えない状況なのです。
当協会は、保育での読み聞かせの専門性を高めることに貢献できるように取り組んでおりますが、幼稚園の先生、保育士が多数受講するようになり、絵本の読み聞かせが、子どもの成長に大きな役割を担っている認識が浸透し始めているのを実感しています。
保育専門誌『パステルIT新聞』掲載
絵本による読み聞かせで心の絆を深める
今の子どもたちは、音声や動画に触れる機会が増えています。静かに待つ必要がある場面で、子どもが求めていないのに、動画を見せて待たせている様子を見た保育者から「その数分を絵本1冊に変えることで、子どもの人生が変わるのに・・・」と、大変危惧されていました。
健康上、問題がないお子さんでも、家庭での言葉のやり取りや関わりが十分でないことから、言葉が少なくなり、言語のサポートが必要だと診断されるケースが増えていると聞きました。
絵本には、子どもの心を豊かに育む力があります
それは子どもだけでなく相互作用により、大人の心も満たされる穏やかさがあります。
一緒に過ごす時間を長く取れなくても、絵本と数分ふれあうことで心の絆を深められ、人生の土台をしっかり作ることができます。読み聞かせの時間は「人生の時間」なのです。絵本とふれあい、心の絆を深められる読み聞かせ方法を活かしてもらえるように、設立1周年・無料読み聞かせセミナーを開催いたします。
また読んで欲しくなる読み聞かせ【声のぬくもりで、子どもの生きる力を育む】
設立1周年・無料読み聞かせセミナー(オンライン)
・想像力が豊かになる読み方
・声質に合う絵本の選び方
・読み聞かせで、生きる力を育むとは?
・読み聞かせの質問への回答
「日時:2024年6月29日(土) 20:00~21:00」
詳細・お申込みサイト → こちら
子どもたちが、絵本の主人公のように挑戦したり、何度も困難を乗り越えられるように、読み聞かせを通して貢献できる協会でありたいと思っております。
・一般社団法人絵本プロフェッショナル協会について
2023年6月21日 静岡県浜松市に設立。
県内外より、読み聞かせ講師依頼、東京での講演会に登壇しています。
【主な活動】
・絵本の日(11/30)講演会に登壇 (YouTube無料公開)
オンライン・会場:ソニーシティ大崎 BRIDGE TERMINAL
・磐田市立豊岡中学校2年生へ、読み聞かせの授業・絵本のストーリー作りを行い、静岡第一テレビ『every.しずおか』にて放送されました。今年度も実施します。
・小牧市えほん図書館にて、新たに発足する読み聞かせボランティア団体のための「読み聞かせボランティア養成講座」講師を務めました。
・認定講師は、静岡県、東京都、茨城県、関西などで、保育の研修講師、移動図書館、えほん会、大人への読み聞かせ会など、本と出合う架け橋として活躍しています。
・書店様での「えほんのよみきかせ会」では、初受賞絵本の主人公の「ぬりえコンテスト」を定期開催。子どもたちが、本屋を身近に感じられるように取り組んでおります。
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