エクソソーム美容液が好調。相性の悪さを逆手に取った製品化が大成功
ヒト幹細胞培養液に含まれるエクソソームという成分が話題になっています。エクソソームとは細胞が作る小さなカプセルのようなもので、細胞と細胞の間で情報伝達に使われ、医学や美容分野で盛んに研究されています。アンチエイジング株式会社と原料供給元のRemyBioは早くからエクソソームに注目、2019年にはエクソソーム専門のサイトも立ち上げ、啓蒙を行ってきました(https://www.exosomes.jp/)。同社のエクソソーム原料は高価な物でしたが、昨年、最も売れ筋のヒト幹細胞培養液のエクソソーム強化版として『RS Liposome 3.0E Complex』を発売、「ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム」が表示できる原料として引き合いが増加しています。この原料を早くから採用して売り上げを伸ばしているのが、LURIBIOです。LURIBIOについて、その開発の裏側をうかがいました。
昨年、自社製品を製造していた工場を活用してOEM部門を立ち上げる
LURIBIOは東京、名古屋、大阪に直営サロンを持ち、エステティックサロン向けの化粧品を製造している化粧品メーカーです。近年では『ゾンビパック』が大きなヒット商品となっています。『ゾンビパック』のヒットによって、同社は話題先行のブランドと見られがちですが、実はLURIBIOは、「お顔をファンデーションで覆う化粧法」ではなく、『若く輝く素肌美をつくる』というコンセプトを根幹に持っています。そのため、生きている細胞には生きているエキスが良いとのポリシーに基づき、古くから皮膚美容に用いられてきた天然エキスを用いた化粧品の開発を行っています。天然エキスというコンセプトは、ヒト幹細胞培養液と相反しているようにも感じますが、生きている細胞に働きかけるという意味では、ヒト幹細胞培養液は最も適した原料とも言えます。
既存の美容液にヒト幹細胞培養液を加えてリニューアルを行うなど、ヒト幹細胞培養液を取り入れてきましたが、昨年自社ブランドだけでなく、他社の依頼で化粧品を製造するOEM事業を立ち上げたことで、ヒト幹細胞培養液、特にエクソソーム原料の導入が加速しました。
近年の大ヒット商品『ゾンビパック』は、引き締めタイプのパック剤。しわやゆるみのあるところが凸凹のまるで“ゾンビ顔”になり、洗い流すとクリアな美肌になる“パック中”も“パック後”も2度楽しんで頂けるパック剤です。
ブランドとの相性の悪さを逆手に取った商品開発がヒットを生む
現在、エクソソームを用いてLURIBIOのヒット商品となっているのは『SCC ステムセルカルチャー』という美容液です。この美容液はこれまでのLURIBIOの商品開発とは全く違うコンセプトによって開発されています。
LURIBIOの製造工場は山梨県の忍野村にあり、多くの製品はこの立地によって可能となる富士山の雪解け水の伏流水を用いて製造されています。天然のミネラル豊かな富士山の伏流水が植物天然エキスの力と相まって、LURIBIOという化粧品ブランドの魅力となっています。一方で、ヒト幹細胞培養液の浸透を図るリポソームと、ミネラルはあまり相性が良くありません。そのためLURIBIOの開発責任者の早川氏は、ヒト幹細胞培養液に魅力を感じながらも、それを主力とした化粧品の開発になかなか踏み出せずにいました。リポソームしていないヒト幹細胞培養液を用いれば、この問題は解決しますが、それではヒト幹細胞培養液の魅力が半減してしまいます。
こうしたジレンマの中、早川氏はこれまでの一貫したブランドの製品開発を白紙にし、ヒト幹細胞培養液とエクソソームを全面に押し出した思い切った製品開発を行いました。この割り切ったコンセプトが明確なメッセージとなり、『SCC ステムセルカルチャー』は『ゾンビパック』に続くヒット商品となりました。既存のブランドのラインナップとは少し違うコンセプトとなった『SCC ステムセルカルチャー』ですが、LURIBIOの既存の製品をサポートするという明確なコンセプトを与えられたことで、既存の製品との相乗効果を産むことに成功しました。
工場のほど近くには日本名水百選にも選ばれた忍野八海もあり、LURIBIOの自然派化粧品はこの清冽な水と500種類以上の天然エキスを組み合わせて作られます(左)。ヒト幹細胞培養液とエクソソームを前面に打ち出した『SCC ステムセルカルチャー』(右)。新しいヒット商品となっています。
小ロットOEMとは相乗効果
割り切ったコンセプトの『SCC ステムセルカルチャー』は、小ロットに特化したOEM事業とも非常に相性が良く、7月に開催されるビューティーワールドジャパン名古屋と10月のビューティーワールド大阪と立て続けに出展を行い、サロンオーナーや化粧品メーカーにアプローチしていきます。
5月に行われたビューティーワールドジャパン東京では、ヒト幹細胞培養液やエクソソームに関する製品やOEMの出展がこれまでになく多く見られました。その数は出展者検索を行うと190件を超えるほどです。しかしその多くが、幹細胞を培養した“だけ”のヒト幹細胞培養液を、製品に配合した“だけ”の物がほとんどでした。早川氏はヒト幹細胞培養液と出会ってから、製品化するまでに3年以上を費やしてきました。その間にヒト幹細胞培養液やエクソソームの特性を理解し、トライアンドエラーを繰り返すことで、製品化を行っています。そのため、浸透するためのリポソームや、化粧品原料として有効成分を含有させるための培養という重要性を理解した上で最適の原料を選択し、そのポテンシャルを毀損することなく製品化することのノウハウを得ることができました。
LURIBIOは40年近くの実績による従来から自社ブランドの化粧品開発のノウハウに加え、ヒト幹細胞培養液やエクソソーム化粧品開発のノウハウを組み合わせ、極小ロットでオリジナル化粧品のOEM生産を自社工場で行うことができます。また、直営のエステティックサロンも運営していることから、プロ用化粧品や業務用商材についても熟知しています。機能性スキンケア製品のみならず、色物についても経験を持つことから、既成概念にとらわれない商品を提案し、それを具現化することができます。
原料の良さを前面に
『SCC ステムセルカルチャー』はアンチエイジング株式会社のエクソソーム強化型ヒト幹細胞培養液『RS Liposome 3.0E Complex』の特徴そのままを前面に打ち出した製品です。塗っただけでは浸透しないヒト幹細胞培養液の成分をリポソームにすることで浸透する機能を付与し、濃縮エクソソームを添加することで従来原料の約2倍のエクソソーム含有量として全成分表示に「ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム」が表示できます。さらに2021年にCITE JAPAN AWARD技術賞の金賞を受賞した独自のビタミンC誘導体を組み合わせているため、ヒト幹細胞培養液やエクソソームとビタミンCの相乗効果も期待できます。『SCC ステムセルカルチャー』はこの『RS Liposome 3.0E Complex』の特徴をそのまま前面に押し出すことで、ヒットにつながりました。
原料の特徴をそのまま製品化するということは、簡単なようで実は難しいことです。極小ロットでの製品化という場合は特に、原料の最小ロットとの兼ね合いで経済的に不利になってしまうことが多いです。LURIBIOの場合は自社工場を持っていること、直営のエステサロンがあること、既に多数の化粧品をラインナップしていることなど、原料を無駄なく製品化することで、極小ロットのヒト幹細胞培養液エクソソーム化粧品の製造を可能にしています。
2021年コロナ禍の中行われたCITE JAPAN 2021 AWARDの授賞式(左)と、『RS Liposome 3.0E Complex』に使用されている浸透型ペプチドビタミンC誘導体『Pentide-C』が受賞した技術賞金賞のトロフィー(右)。
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会社情報
会社名:LURIBIO株式会社聖凰
本社所在地:愛知県名古屋市中区正木4-8-7 れんが橋ビル2F
事業内容:自然志向派向けの基礎化粧品・健康食品・エッセンシャルオイルの製造ならびに販売及びエステティックサロンの運営 等
電話:052-253-9191 E-MAIL:kajitani@luribio.co.jp
富士忍野工場
所在地:〒401-0512 山梨県南都留郡忍野村内野1884-2
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アンチエイジング株式会社
本社所在地:東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346 3F
代表取締役:牛島 美樹
事業内容:ヒト幹細胞培養液などの機能性化粧品原料の販売
電話:03-3478-0248 E-MAIL:info@anti-ageing.co.jp
https://www.anti-ageing.co.jp/
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