5月27日(木)、「バンクシーって誰?展」アンバサダー就任記者発表会が都内で開催され、中村倫也がアートへの思いを語った。
バンクシーは、ストリートアートを中心に表現を続け、世界で最も注目を集める現代アート界のフロントランナー。神出鬼没にその足跡を残してきたバンクシーの活動の軌跡をたどる展覧会がこの夏、開催されることになり、プライベートコレクター秘蔵のオリジナル作品に加え、活動の主戦場であるストリートに焦点を当てた街並みを再現するなど、見どころの多いものとなっている。
そして、自身でも絵を描くことが趣味といい、同展の公式アンバサダーに起用された中村は、音声ガイドも担当するそうで、広くイベントをPRしていく。
スモークが焚かれる中、中村は壁にスプレーアートを施すようなアクションでクールに登場。司会者から「かっこよかったです」と絶賛されると、「かっこよかったですね(笑)」と、はにかみながら自画自賛した。
バンクシーについて聞かれると、「僕がバンクシーの作品と出合ったのが、先ほど紹介されていた“シュレッダーのやつ”なんですけど、そのことがネットニュースやテレビでも取り上げられていて、『何してるんだ、この人は!?』と思った」と回顧。
2018年10月、イギリス・ロンドンのオークションハウス「サザビーズ」でバンクシー作「風船と少女」が約1億5000万円で落札された直後、額縁の内部に設置されたシュレッダーが作動し、絵の下半分が裁断されたニュースに言及した。
続けて、「調べたら素性も謎だし、いろんなところにセンスの光るアートを残していて、すごく興味がわいた。そんなバンクシー展のアンバサダーに起用されたので、魅力をちゃんと伝えられるアンバサダーになりたい」と意気込んだ。
さらに、オファーを受けた時は「アンバサダーって何?」と疑問に思ったといい、「アンバサダー(↑)ですか?アンバサダー(↓)ですか?」とイントネーションをしきりに気にしていた。
そして、「疑問を尋ねてもいいですか?」と司会者に向かって前置きし、「バンクシーって素性が謎じゃないですか。それだけ莫大な落札額が入ったら、国から『こいつ、何なんだ!?』と怪しまれて、国税みたいなところが絶対に来ますよね?それを僕は今回追及したい」と独特の観点で話し始め、「誰かに怒られますか?この発言」と苦笑い。
バンクシーの魅力を聞かれると、「強いメッセージをアートで表現しようとすると、ちょっと間違えるとおサムい感じになりかねない。でも、これだけ世界中で影響力をもち、20数億円で落札されるぐらい価値があるのは、センスが光っているから。そういうアウトプットの仕方は同じ表現者として憧れる部分がある」と話した。
また、自身のアートには「たいした絵を描いているわけじゃないですけど、現場で特徴的な顔立ちの人を見ると、ムクムクっと描きたい気持ちがわいてくる」そうで、「その絵を現場のいろんなところに貼って、でも、自分が描いたとは名乗らない。“バンクシってます”」と自身も謎に包まれたアーティストであることを明かした。
その後の質疑応答で、素性がわからないバンクシーについて「どんな人だと思う?」という質問が。「実はいなかったら面白いですけどね。もしくは、初老の男性か天才中学生」と答え、「ちょっとごめんなさい、大喜利が不得意なもので」と照れ笑い。
秘密だらけのバンクシーにちなみ、「中村さんの秘密を教えて」という質問には、「自分としてはオープンに生きているつもりなんですけど、『秘密が多そう』とよく言われます。そのおかげで、勝手にいいように解釈してもらっている」と回答。
「よく『弱点はなんですか?』と聞かれるのですが、高いところが怖い、暗いところがよく見えない、ゆで卵の殻がむけない。うまいこと答えられない質問も怖いです。だから、今ちょっと背中の汗が止まらない」と明かした。
また、バンクシーの顔が知られていないことから、「もし、顔バレしていなかったらやってみたいこと」を問われると、「僕、顔バレしないんですよ。舞台をやったときに帰りの電車で、隣に舞台の感想を話している人がいたこともあるぐらい、今も普通に歩いている。だから、ちょっとぐらい顔バレしたいです」と言い、「2連続でつまらない答えをしてすみません」と恐縮していた。