吉永小百合緊急事態宣言による映画館への休業要請に「挫けそうになりました」

公開中「いのちの停車場」

めざましmedia編集部

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5月22日（土）、吉永小百合主演作「いのちの停車場」公開記念舞台あいさつが東京・丸の内TOEIで行われ、吉永のほか、共演の松坂桃李、広瀬すず、西田敏行ら豪華キャストが出席した。

本作は、在宅医療に携わる医師、患者、その家族を通して“いのち”に正面から向き合い、生きる力を照らし出す、心を揺さぶる感動のヒューマン医療大作。

主人公の白石咲和子を、映画出演122本目にして初の医師役という吉永が演じ、「八日目の蝉」や「ソロモンの偽証前編・事件／後編・裁判」など多くの名作を生みだしてきた成島出氏がメガホンを執った。

吉永小百合緊急事態宣言による映画館への休業要請に「挫けそうになりました」_bodies

光沢のあるブルーのワンピースで登壇した吉永は、「今日、全国でこの『いのちの停車場』をご覧いただき、そして、舞台あいさつを配信で見てくださっている皆様、ありがとうございます」と呼びかけ、「この映画は昨年の初めに準備が開始され、9、10月に撮影いたしました。たいへんな時期でしたけど、スタッフの方たちは昼も夜も、撮影が終わっても頑張ってくださいました」と回顧。

続けて、「昨日、映画は封切られました。とてもうれしいことなのですが、ただ、とても残念なことがありました。緊急事態宣言が延長になり、映画館は休業要請が出てしまったんです。演劇は大丈夫だけど映画はダメということをうかがって、大変ショックをうけましたし、悲しかったです。挫けそうになりました」。

さらに、「でも、今日このように全国の皆様の前でごあいさつができるのは、この劇場で（初日に）舞台あいさつをしなかったから、ここにお客様がいらっしゃらないからと思って、気持ちをとり直しております。きっと、きっとこれから日本中の皆様に映画をご覧いただけると思っております」と悔しさをあらわにしながらも、配信になったことでより多くの観客にあいさつができたことへ感謝を述べた。

松坂は「コロナ禍において、劇場公開できない作品もある中、この作品を公開できたことに大きな意味があると思っています。少しでも多くの方々にこの作品を観ていただいて、この状況下で何を思い、何を感じ、自分の中で改めて何を問いただしていくのか、しっかりと皆様に届けたい」とあいさつ。

広瀬は「すごく悔しい、待つしかない、辛抱するしかないという気持ちもありますが、何より、昨日『いのちの停車場』が公開されたことをうれしく思っております。このような時期ですが、今だからこそ映画館で観てほしいというのが素直な気持ち。一人でも多くの方にこの映画が届くことを願っています」とそれぞれ呼びかけた。

西田敏行、田中泯、南野陽子、柳葉敏郎があいさつを終え、マイクはみなみらんぼうへ。自身が演じた役柄について説明していたところで突然咳き込み、言葉につまってしまうハプニングが発生。

吉永が即座に駆け寄り、水を飲むように気遣うも、みなみは「ちょっと体調がおかしいみたい」と不調を訴え、一旦中座することに。スタッフがみなみの体を支えようとしたが、「そこまでする必要ないよ。大丈夫」と、自身の脚で歩いて降壇した。

一時騒然となった場内だったが、すかざず西田がマイクを取り、「らんぼうさんがお歌いになっている曲が今度サントラ盤として発売されるんですけど、味わいのある素晴らしい歌です。ずっと聴いているとα波が出て、32曲のうち、だいたい3曲目で寝落ちします。不眠にお悩みの方、ぜひお買い求めいただけたら」と機転をきかせながら、温かい笑いで包んだ。

この作品に携わったことで考えた“いのち”について聞かれると、吉永は「（原作者の）南杏子先生が『生ききる』とおっしゃいましたが、心に留めておかなければならない言葉だと思います。１日１日を精一杯生きることが明日につながるし、最後までそうできたら自分は幸せだと思えるんじゃないかな」とコメント。

松坂が「病気を治すことももちろんですが、その人、その家族それぞれの幸せの形、過ごし方があって、そういう日々の積み重ねが人生の終い（しまい）方につながっていくのだと強く感じました。僕自身も、そういう命の終い方というものを改めて考えさせられました」と発言すると、吉永が「そういうことをおっしゃるのは早すぎますよね」とやさしく指摘。

西田も「そういう発言は70歳を超えた人間がするんです。俺たちが言うことなくなっちゃうじゃん」と反論し、泉谷しげるも「お前、言い過ぎだよ！」と一蹴。

大先輩の総口撃に、松坂は「1日、1日、充実できるように生きたい」と訂正。西田が「生ききってください」と告げると、松坂は「生ききります」と誓った。

そして、西田は「齢70を超えた人間の考えをこれから述べたいと思います。生ききる、そして、自然死を迎えることができる方は本当に幸せ。私も“死ぬ”ということを日常的に考える年齢になりましたので、どう命をたたむかを毎日考えています。寝る前には必ず、明日死んでいたらどうしようと考えます。そんな人生を、幸せだなと思います」としみじみ話した。

最後に吉永は「今、ここでお礼を申し上げたいのは、医療関係者の皆さんに大変温かいサポートをしていただいて、そして、映画を観て感想をお寄せいただいたことです。大変な時期にこの映画を観てくださって、私たちに力を与えてくださったこと、感謝しております」とメッセージし、「今日、この舞台あいさつを観てくださっている皆様にも心から御礼申し上げます」と深く感謝していた。

その後のフォトセッションには、途中退席したみなみが再び登壇。大事にはいたらなかったようで、記念撮影に予定どおり参加した。