くも膜下出血から復活「最高年齢の小説家を目指す」伊集院静に石橋貴明「ずっと俺たちの憧れでいてください」

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石橋貴明が文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなどジャンルを問わず“話してみたい”ゲストを迎え、焚き火の前でじっくり語り合うフジテレビ『石橋、薪を焚べる』。

3月16日（火）の放送は、伊集院静が登場。昨年、病に倒れた際のエピソードや、石橋との関係、若者たちへのメッセージなどを語った。

かねてから親交のある石橋と伊集院だが、昨年、伊集院がくも膜下出血で倒れたときは驚いたという。

石橋：ちょうど誕生日直前くらいだったんですよね。

伊集院：そうそう。

石橋：70歳（の誕生日）で、「70歳だから、今年もまた豪快に誕生日会ですね」って。

伊集院：（以前は）銀座のクラブでやってたね。

石橋：と言っていたら、（倒れたと）新聞に出て。

伊集院：そう、大変だったんだよ。

石橋：「えぇ！？」って。奥様の、篠（ひろ子）さんのコメントがちょっと…。

伊集院：ま、ちょっと泣かせるようなね。「何としても復帰させますから」とかね。

石橋：「ピンチなんだ、かなり」っていう。

伊集院：なかなか難しい状態だったんだよね。ようやく起きたときに、誕生日だったんだよ。

伊集院は、病室で家族がケーキを用意し「ハッピーバースデー」を歌っているときに目を覚まし、開口一番「つまんないことするんじゃないよ！」と言ったというエピソードを明かした。

石橋は、しばらくしてリハビリを開始した伊集院に会いに行ったと明かし、「後遺症があるんじゃないかと心配していた」が、「豚キムチ食いてぇ」「ビール飲みたいけど飲めないんだよな」と元気そうな様子に驚いたと語ると、伊集院は「運が良かったんだね」と振り返った。

石橋と同じ野球好きの伊集院は「野球崩れでうまくいってるのは、俺とお前だけだからな」と話していたという。

伊集院：石橋さんだけだから。“メジャー”に出てるのは。映画に出てるのは。

石橋：はい（笑）。

伊集院：僕はあれ（石橋が出演している映画「メジャーリーグ2」）をアメリカの映画館で見たの。「わ、すごい」って。バット折っちゃったりしてね。「これ、どこに演技があるのかな？」と思ったんだけど。

石橋：（笑）。

伊集院：だけど、メジャーだから。

伊集院は、「ああいうのに出てるのは、高倉健さんと、あなただけなんだよ」と、笑いを交えながらその理由を明かした。

伊集院は、大の松井秀喜びいきとしても知られている。松井から対談相手に指名されたことがきっかけで「会いに行ったら好青年だった」と明かす。

石橋：（松井が）ジャイアンツをフリーエージェントになって、ヤンキースに挑戦すると言ったときの、記者会見の表情が素晴らしかったって。

伊集院：そうだね。あれだけ長い間インタビューを受けて、日本語を間違えないで話せるのはね、ほとんどいないんだよ。正確な日本語話せる人は。

「スポーツ選手で、（松井のように）言葉を巧みに操る人はなかなかいない」と伊集院は語り、松井選手がヤンキース時代の最後に練習していたという小さなバッティングセンターを訪れたというエピソードも披露した。

また、石橋は出会ったころに見た伊集院が演出を手掛けたコンサートについて「どうしても聞きたい」と…。

石橋：ユーミン（松任谷由実）が武道館でコンサート初めてやったときに、オープニングでゾウに乗って…。

伊集院：それは、中野サンプラザだね。

石橋：中野サンプラザですか。ゾウに乗って現れた。それがもう衝撃的で。それが伊集院さんだったんですよね、演出。

伊集院：そう。

石橋：で、伊集院さんに俺、聞いたの。「伊集院さん、何でゾウ出したんですか？」って。

伊集院：それは…大きいから。

石橋：ふはははは！

伊集院：割とみんなびっくりするんじゃないかっていう。

「大きいから出したって言うんですよ！？」と石橋が笑うと、伊集院はその理由を語る。

伊集院：あのね、旅行へ行って一番思い出に残るものは、五感で感動したものなんだよ。目で見て「キレイだ」とか「大きい」とかね。見るもの食べるもの、肌で感じて「寒かった」とかね。

石橋：とにかく一番安いチケット買って、旅に出なさいと。若い奴は。

伊集院：そうそう。旅へ出たらね、言葉がわからないでしょ。

石橋：はい。

伊集院：「自分が何者でもない」ということを知るには、旅に行くのが一番いいんだよ。

と、五感で感動することの大切さを強調した。

また若い世代に体験してほしいこととして「苦しいこと」を挙げた。

石橋：先生は必ず、成人式の日と、それと、4月1日、新社会人へという、（新聞に掲載される）コラムというか…。

伊集院：書いてることはね、いつも同じことなんだよ。本当に若い人には申し訳ないけどもね。若いときに苦しいことをしとかないと、ダメなんだよ。あえて苦しいことなんかしなくていいんじゃないかなとは思うんだけど、若いときに「辛い」「苦しい」をやっておかないと、耐えることが身につかないんだな。

だから、上り坂と下り坂があったら、いつもでもなくていいから「ちょっと半年だけ、上り坂登ろう」とかね。追い風と向かい風だったら、「ちょっと苦しいけどしばらく向かい風に立とう」と、そういうの。

伊集院は、放っておくとみんな楽な方へ行ってしまうが、あえて苦しいことに立ち向かった人間は「ちゃんとしている」と評価する。

自身は、学生時代の理不尽な体験から「大事なことは『予習復習』ではなく『復讐』（笑）」と言い、「今でもこいつの死に顔だけは見てから死のうと思っていることがある」と明かして石橋を笑わせた。

病に負けず「最高年齢の小説家を目指そうとしている」という発言も飛び出した伊集院に、石橋は「ずっと俺たちの憧れでいてください」と声をかけた。