老舗酒蔵の杜氏・辻?麻衣子の“セブンルール”「香りのあるシャンプーは使わない」
3月9日(火)放送『セブンルール』
視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出すドキュメントバラエティ『7RULES(セブンルール)』。
3月9日(火)放送回では、老舗酒蔵の杜氏・辻?麻衣子に密着。辻?は200年以上の歴史を持つ岡山県の老舗酒蔵・辻?本店で酒造りの全責任を担う。
辻?は、経営者一族の長女として生まれたが、歴史ある家柄に息苦しさを感じ、東京の大学に進学した。元来、経営者一族は酒造りに携わらない慣わしだったが、20歳になってお酒を飲み始めたことが転機となり、「酒造りを一生の仕事にしたい」と思うようになった。20代で女人禁制の慣習が残る世界に飛び込み、29歳で岡山県内初の女性杜氏に就任。
全国新酒鑑評会で金賞を獲得した銘酒・御前酒の味を受け継ぎながら、新たな挑戦を続ける彼女のセブンルールとは。
ルール①:家選びは酒蔵から3分圏内
江戸時代、勝山藩(現在の岡山県真庭市にあたる)への献上品だったことからその名がつけられた御前酒。
午前8時。まずは御前酒の原料、米を蒸す作業から辻?の1日が始まる。均等に蒸気が行き渡るよう1時間、米をならし続ける。
日本酒は完成までにおよそ2ヵ月を要する。蒸した米に麹菌をふりかけることで、米に含まれるデンプンを糖に変え、その糖をじっくり発酵させアルコールを作り出す。
全ての工程で経験がものをいう世界。辻?麻衣子の下、5人のスタッフが働いているが、酒の味を決める麹造りは杜氏の彼女しかできない作業だ。
「麹菌が繁殖してちょっと白っぽくなっているところが麹菌の菌糸が伸びているところ」だと熱心に麹を見つめ、麹菌が活発に働く40~42℃を保つために何度もかき混ぜていた。
帰宅したのは、夜7時。12歳の息子と英会話講師の夫のために夕食づくり。
やっと家族団らんの時間を楽しめるのかと思いきや、彼女が取り出したのはスマートフォン。データで管理された酒蔵の温度をチェックすると「うわ、温度が上がってない」と思わず声が漏れた。
夕食を途中で切り上げて自転車で急いで酒蔵に向かう。
再び麹菌を混ぜ始めた辻?は「麹菌は生き物なので人間の思う通りにはならない。人間が合わせていく」と淡々とした表情。
家と酒蔵を何回も往復するのは大変なので、酒蔵から3分圏内に住んでいるのだ。以前は自転車で40分の距離に住んでいたが、子供との時間を作るために引っ越した。
麹菌には世話が焼けるが「手を焼いた生徒の方が先生は印象に残るじゃないですか。たぶん麹菌もそういうもので最終的にいい麹になったらヨッシャ!という感じ」と笑った。
ルール②:毎年必ず田植えと稲刈りに行く
酒造りのシーズンが始まって間もない10月。彼女は岡山発祥の江戸時代から続く日本最古の酒米・雄町米の田んぼにいた。
酒造りに使うのは、通常よりも実の中心に詰まっている上質なでんぷん「心白(しんぱく)」が大きな品種。
「お米のことをよく知っておかないと良い酒ができない」とトラクターに乗って稲刈りを始めた。
田植えや稲刈りを通じて米の生育状況を自分で見ることで「今年の仕込みの配合はちょっと水を増やそう」などと酒造りの予定を立てやすいのだという。
日本酒はワインと違ってヴィンテージ(生産年)があまり重要視されないお酒。
「年によって味が変わってしまうと、今年はどうしたの、とすぐ言われる」ため、スタンダードな味に近づけるように毎年米に合わせて酒造りを微調整している。
少しずつ変わる米の出来と向き合うことが、毎年変わらぬ味を作るための第1歩なのだ。
ルール③:トイレットペーパーは無香料
彼女は200年続く老舗酒蔵・辻?本店の長女に生まれた。弟は生まれながらに経営を継ぐことが決まっていた。家族旅行にも途中に事故があったらいけないと弟だけ連れて行かなかったという。
歴史ある家柄を疎ましくも感じ、高校から実家を離れ、大学は東京へ。転機は、20歳で覚えたお酒の味だった。
「お酒を飲み始めて酒造りが素晴らしい仕事なんじゃないか」と感じたが、当時は女人禁制だった酒蔵。家族にも反対された。
それでも彼女を迎え入れてくれたのが、先代の杜氏・原田巧さんだった。
原田さんはすごく頭の柔らかい人だったそうで「何でも教えてやるから帰って来ればいい」という手紙が届き、すぐに帰って酒造りの道に進むことを決めたのだ。
先代はわずか5年で彼女が副杜氏になるまで技術を叩き込んでくれたが、ある日突然、先代を病魔が襲った。
辻?さんは当時を思い出しながら語る。「お米を蒸す作業は杜氏さんしかやらない重要な仕事だったんですけど、あとはやってくれるか」と先代の杜氏は言い、麹をならすトンボという道具を辻?さんに手渡した。
酒造りのバトンを渡されるかのように受け取ったトンボ。翌年、彼女は29歳で岡山県初の女性杜氏に就任。弟とともに御前酒の看板を継いだ。
師匠から託されたバトンを守るため、その思いは、彼女の生活の全てに表れている。例えば、辻?さんがスーパーで選ぶトイレットペーパーもその一つ。
「香りのついていないトイレットペーパーにしている」と日頃から、強い香りのものを徹底して避ける。
それは「麹の発酵状態がおかしいとちょっと匂いが変わったりする」ため。さらに自宅のお風呂でも、香りがしない石鹸で髪を洗う。
小学6年生の息子・茂太郎くんはシャンプーという存在すら知らずに育ったという。友達からその存在を聞いて最近、初めてシャンプーを使い、その香りにビックリしたそうだ。
女性杜氏のこだわりは自宅の隅々にまで及んでいた。
ルール④:上手くいかないときは貯水タンクの上にのぼる
1月下旬。深夜2時。彼女は、酒蔵に泊まりこんでいた。
作っているのは純米大吟醸。でんぷん質の豊富な米の中心部分のみを使って造られる日本酒の最上品だ。1年で最も寒く、空気中の細菌が少ない大寒に、泊まり込みで仕込むのが酒蔵の習わし。
作業を進めるうちに、辻?は苦い表情を浮かべた。麹菌の形に納得がいかないのだ。菌糸が外側に広がってしまっているが理想はキュッとまとまった形。
その後の工程次第で、味にはなんら問題ないのだが彼女の美意識が許さない。「ダメでした、いまさら取り返しがつかない。甘やかしすぎましたね」と後悔。
うまくいかないことがあると彼女は酒蔵の貯水タンクの上にのぼる。そこからお酒を眺めたり、従業員の生活を考えたりすることで「自分がこれを守っていかないといけない、もう1回頑張ろう」という気持ちが湧いてくるのだ。
ルール⑤:仕込み期間が終わった次の日は納豆
辻?が自宅で見せてくれたのはSNSにアップした納豆の写真。実は納豆が一番の好物。
しかし、酒蔵には納豆の持ち込みは禁止。「納豆菌がお酒には良くない」のだという。納豆菌は繁殖力が強いため、麹菌に悪影響を及ぼす。蔵の外で食べてきただけでも混ざってしまう恐れがあるという。
もし混ざってしまうと納豆のようなネバネバの麹ができてしまい、それがお酒になったときに悪い味になるのだ。酒を仕込む半年間は納豆に触れることすら許されない。
だからこそ「一番最後のお酒を絞り終えた次の日にすぐに納豆を食べる」のが楽しみなのだ。
SNSにアップした写真は昨年の記念すべき納豆解禁日のもの。「今年もあと4ヵ月は食べられない。それを思ったら急にテンションが下がった」とちょっと残念そうな表情を浮かべた。
ルール⑥:ノートにまとめて“見える化”
月に1回、酒造りの意見交換を行うため県の指導チームが視察に訪れる。杜氏になって14年、今でも学ぶ姿勢は忘れない。
酒造りの世界に入った時は「酒蔵がわからないことだらけで図式で“見える化”して書くようにしていた」という。確かにノートには酒造りの工程がイラスト付きで細かく記されていた。
それはわずか6年で杜氏になるため彼女の努力の証だった。そして、先代も亡くなる1年前から彼女に酒造りの全てをノートに書き残していた。
先代から受け継ぐ理想の酒造りを「ノートを通してお酒を通して世の中に残していく」のだ。
スタッフ5人をまとめる杜氏となった今も見える化は彼女の道しるべ。
ルール⑦:酒蔵で働くハードルを下げる
43歳となる辻?が杜氏になったのは14年前。少しずつ酒蔵での働き方を改革してきた。
例えば、体力で劣る女性でも米を持ち上げられるクレーンを導入したり、酒蔵では珍しい勤務のシフト制を取り入れたりしている。
それは「女性が酒蔵で働くハードルを下げて、結婚や出産と両立できるようにしたい」という願いから。かつて先代が彼女を迎え入れてくれたように今度は彼女が、環境を作る番。
この日、酒蔵に大学生の女性が酒造りを学びたいとインターンシップでやってきた。「杜氏への憧れと酒粕を使った料理にも興味がある」という。辻?も「最近は発酵カフェとかやってみたい」と意気投合。
守るべきは、伝統ではなく毎年変わらぬ酒の味。それが、先代から渡された未来へとつなげる、彼女のバトンだ。
※記事内、敬称略。
次回、3月16日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、コロナ禍の昨年11月、台湾の国民食・ルーローハンの専門店「帆帆魯肉飯(ファンファン・ルーローハン)」を東京・三軒茶屋に開店した唐澤千帆に密着。
間借り営業で始めた店が評判を呼び脱サラしたが、1回目の緊急事態宣言で収入ゼロに。「諦めたくない」と自らの店をオープンしたが、2度目の緊急事態宣言に…。
逆境が続く中、試行錯誤を繰り返し店に立ち続ける彼女を駆り立てる思い、そして7つのルールとは。

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