汁なし担々麺を調理中にメロディが!?最新曲が話題の東野純直が語る二足のわらじ
毎週日曜日24時30分『Love music』
シンガーソングライター・東野純直(あずまの・すみただ)の最新シングル「明日のカタチ」が、フジテレビ系音楽番組『Love music』1月度のエンディングテーマに起用され、心に響く曲と反響を呼んでいる。
1993年に「君とピアノと」でCDデビューした東野は、2ndシングル「君は僕の勇気」が30万枚を売り上げ、一躍ヒットメーカーの仲間入り。順風満帆に思えた音楽人生だが、彼は現在、音楽活動のかたわら、東京郊外でラーメン店店主として渾身の一杯を提供している。
東野はなぜ“二足のわらじ生活”をするようになったのか、そして、曲に込めた思いや、飲食店経営者としてうけた新型コロナウイルスによる影響を聞いた。
――「明日のカタチ」を聴かせていただきましたが、とても沁み入る曲でした。どんなきっかけでこの曲をつくろうと思ったのですか?
昨年、緊急事態宣言が発令された時に音楽も飲食業も大打撃をうけたことで落ち込んでしまい、僕自身がこんな状態じゃダメだ、自分を鼓舞するためにも「いい曲を書かなきゃ」と思ってつくった曲なんです。ありきたりな言葉でいうと、最初は自分への応援歌でしかなかった。でも、歌詞を書いていく中で「これって今、みんなが求めてることなんじゃないのかな?」って。この追い詰められた状態で“何が見えたんだろう?”ということに着目したかったんですよね。
そんな時に兄から「緊急事態宣言、終わっちゃうね」というメールがきて。こっちはラーメン店の切り盛りで大変なのに「“終わっちゃう”はないでしょ。何言ってんだ、うちの兄貴は」と思って返信したら、「毎日決まった時間に家族と食事ができたのは初めてのことで、すごく幸せだった」と。
経済が止まり、時間が止まって、見えたものが、実はこんなに身近なものだった。そういう曲をつくりたくて、歌詞へと思いを込めました。
――曲を制作する中で、特にこだわったのはどんな部分でしょう?
誰もが口ずさめて、誰もがすんなり嫌味なく聴けるものにしたかった、ということですね。曲のテーマや方向性は大きいけれど、アレンジなども含めてあまり壮大にしすぎると伝わらなくなってしまう。“四畳半サウンド”といいますか、「これってフォークなんじゃないの?」というぐらいシンプルな音を心がけました。
――曲を聴いたファンの皆さんの反響はいかがですか?
さまざまでした。特に医療関係者の皆さんからの反響が大きく、「この曲と出合わなかったら乗りきれなかった」というメールを多数いただきました。ラーメン店をやりながら感じたのが、「僕の仕事って人のために働くことなんだな」と。
そして、待てよ。これって、ラーメン店や音楽業だけでなく、すべての仕事がそうなんじゃないかと思うようになったんです。コロナ禍で、世のため人のため、この地域のために働かなくちゃという気持ちもあったので、そんな気持ちが医療関係者の方に届いた、ちょっとでも力になれたことがうれしいです。
――「明日のカタチ」は“明日シリーズ”三部作の第2弾ということですが、ちなみに第1弾の「明日のシルシ」はどんな曲なんですか?
「明日のシルシ」は完全にイケイケな、「はい!東野純直、ラーメンとともに音楽活動を再開します!」という、花火みたいなアップテンポの曲です。“僕はここに立っている”というアイデンティティの出し方って、人それぞれだと思うんですよ。ただ、日本人の気質的にそれを前面に出しにくい部分がある。
最近、若い人と仕事をしながら感じるのが、「欧米か!?」ってツッコみたくなるぐらい自己主張が強いし、はっきりとモノを言う。若い子のほうがアイデンティティをしっかり前に打ち出せているんです。勉強になりますよね。
音楽とラーメンの融合の中で何ができるか、どんな曲が書けるか、自分がどういうポジショニングで地に足をつけるのかを考えた時に、わかりやすいポップスこそ皆が僕に求めているものなんだ。それを堂々とやればいいだけなんだと、迷いが吹っ切れた曲でした。
――ということは、それ以前は迷っていたと…?
音楽活動を再開するかどうか、このままラーメンに集中すべきなんじゃないかと、ちょっと迷っていました。職人として浮ついたことをするのはお客さんに対しても失礼だし、どうなんだろうと悩んでいた時期もあったんですけど、ファンの皆さんはお店に来てくれるし、僕の音楽とともに青春を過ごしてくださっているから、勝手なエゴでその“青春”にピリオドを打っていいのだろうかと…。それだけは絶対にしちゃいけないと思ったんです。
一度背負った十字架は、死ぬまで背負うという覚悟が僕には足りなかった。ラーメンの修業をして、店を出す覚悟があったのなら、なんでその覚悟を音楽のほうに注がなかったんだろうって。もともと音楽を辞める気はなかったんですよ、大好きだから。みんなが求めている。だったらなおさら音楽をやらないといけないし、さらにラーメンと融合させてやろうと思って、動き出したんです。
動きだしたら、案の定神様は見てくれていたのか、テレビ局の方やつき合いのある業界関係者から連絡が入り始めて。そんな星の下に生まれたのなら、これはもう自分の力と時間をすべて費やそうと、迷いが完全に吹っ切れた瞬間でした。
――第3弾の構想はできているんですか?
だいたいのコンセプトは決まってるんですけど、まだですね。今は「曲をつくろう」と思って作曲することをやめているんです。「明日のシルシ」も「明日のカタチ」もすんなり湧いて出てきた曲で、「明日のカタチ」なんて汁なし担々麺をつくっている時にメロディが思い浮かんだんですよ。
その日はオーダーが立て込んでいて、しかも汁なし担々麵って結構手順が多いんですけど、ふとメロディが出てきちゃって、「ヤバい!今、メモれる状況じゃない」と。次のオーダー票を見たら、焼餃子と入っていたので、火入れをしながら裏でスマホのボイスメモにバーッと録音したんです。
世の中の状況や自分の精神バランス、ポイントが合致した時に出てきたら曲にしたいので、今はタイミングを待つのみですね。でも、ただ待ってるだけではダメなので、自分に課せられたことを粛々とやりつつ、地域の方や友人、ファンの皆さんの気持ちを常に心の中において、僕自身の思いがMAXに溜まった時に曲が降りてくればいいなぁという感じです。
変わらない自分で変わらない仲間と変わらない時間をゆるやかに過ごす――それが僕の“明日のカタチ”
東野は2006年、音楽だけで生きていく方法はないかと模索していた時、心も体も疲弊している自分に気がつき、「お金のために音楽を始めたわけじゃないのに、生活のために音楽をやっていることがイヤになって、別のインカム(収入)を立てようと思った」と、35歳で突然、人気ラーメン店へ弟子入りを申し出る。
事務所近くにあったその店のファンで、「こんなにこだわりをもったラーメンがつくれるのなら、これからの生きる指針が見つかるはず」と、門を叩いたのだとか。修業は8年におよび、時にはかつて共演した人気芸人と顔を合わせたことも。
そして2016年、東京・昭島市に開店した「支那ソバ 玉龍」は、地域に根付いた飲食店として、日々常連客でにぎわいをみせている。
しかし、そんな店も昨年、見えない敵の猛威に襲われてしまった。
――他の飲食店と同じように、玉龍も大打撃をうけたんですよね。
まずお客さんは1/4に減りました。都内とはいってもうちは郊外なので1日平均70杯、多くて80杯、土日で120~130杯の売り上げなんですが、平日なんて20杯、30杯いかないぐらいのところまで落ち込みました。そして、営業していると「こんな状況下で店を開けている」と風評被害みたいなこともありましたね。
でも、幸か不幸かコロナが蔓延する少し前に従業員が辞めることになり、僕1人で店をまわせるように改装した直後だったんです。大変は大変だけど、自分が頑張ればいいだけの話。一番ツラいのは、やはりお客さんが来ないことでした。
――心が折れそうになる瞬間はありませんでしたか?
ありましたよ。食材をロスすることになるんですよ。ものによっては破棄するはめになってツラかったですね。生きとし生けるものを狩りとって料理させてもらってるのに、その食材を捨てるなんて言語道断。でも、酸化したり、腐敗したり、お客さんの健康面を考えると捨てざるを得ませんでした。
――営業が通常に戻ったのはいつなんですか?
緊急事態宣言が明け、ゴールデンウイークが終わって、6月中旬には通常営業に戻りましたけど、戻らないのが客足で。今でも、以前の70%ぐらいしか回復していない状態です。
――大変な思いをしたと思いますが、その中で得たものもあったのではないでしょうか?
それが今回のシングル「明日のカタチ」へとつながるわけで。人の心ですね。人が人であるためには、心を交流し合わないと自分は壊れていくと思った。自粛期間中、店がガラガラの時に常連さんが「青梅で採れた白菜うまいぞ」って持ってきてくれたんです。うちは餃子やスープに白菜をバンバン使うので、ありがたかった。お礼にサービスしようとすると「サービスなんかするな、いいラーメンを作ってくれ」と怒るし、人の心ってすごいなと感激して。
思い返せば僕が修業していた店というのは、夜だけで200食ぐらい売れる超人気店だったんですけど、近所のうなぎ屋さんの店主が閉店ギリギリに食べにきては、ウナギ弁当をそっと置いて帰るんです。それを感激で泣きながら食べたこともありました。そんなことも思い出しながら、大切なのは人の心だよなって。コロナ禍において、人のありがたみや温かさを痛感させられた日々でした。
――8月には50代へ突入しますが、人生の折り返し地点を目前に考えるのはどんなことでしょう?
「五十にして天命を知る」って言うでしょ?よく言ったもんだなと思いますね。自分に与えられた役割や、社会に貢献しながら生きていく存在なんだということがわかったというか。実際にはまだわかっていないんですけど、ある程度の確証は得ました。僕の50代はどんななんだろうというドキドキ感が大きいです。
――東野さんの言葉には生命力があふれていますね。最後に、ご自身が思い描く“明日”はどんなカタチですか?
変わらない自分で、変わらない仲間と、変わらない時間をゆるやかに過ごす。これだけですね。どんな嵐が来ようが、どんなビッグヒットが生まれようが、僕はここでラーメンを作り続ける。もう翻弄されたくないし、したくもない。常にナチュラルでありたいです。多分、第3弾はそういうことをテーマにした曲になるんじゃないかな。そんな予感がしています。
『Love music』はフジテレビで毎週日曜24時30分から放送中。
「明日のカタチ」はこちらで配信中
東野純直公式サイト 公式Twitter:@SumitadaAzumano
撮影:河井彩美
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