【眼福♡男子】板垣李光人 できるのは自分しかいないという思いで挑んだ<映画「約束のネバーランド」編>
映画「約束のネバーランド」12月18日(金)公開
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、TVアニメも大きな話題となったファンタジー漫画を実写化した映画「約束のネバーランド」が12月18日(金)より公開される。
“孤児院で幸せに育てられていた子供たちは、実は食用児として鬼に献上されるために飼育されていた”――そんな衝撃的な導入から始まる本作で、板垣李光人は子供たちのリーダー格の一人で、優れた分析力と冷静な判断力を備え、常に笑顔で周りを優しく包み込むノーマンを演じた。
今回、フジテレビュー!!編集部イチオシの見ているだけで“眼”の“福”になるような“男子”を特集する「眼福♡男子」企画では、まさに“眼福”の言葉がぴったりの美少年・板垣に注目。そのインタビューを前後編に渡って公開する。前編では「約束のネバーランド」という世界を実写で成立させるために行ったことや、撮影中の共演者とのエピソードなどを明かしてもらった。
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ノーマンをできるのは自分しかいない
――本作への出演はオーディションで決まったそうですが、そのときはどんな気持ちでしたか?
もともとアニメを観ていて、そこから原作も読んでいたのですが、この世界観と、出水ぽすか先生の描く美しい作画の中で、子供たちが“死”というものを目の前にして奮闘する姿が、とても魅力的だと思っていて。その中で、ノーマンというキャラクターは、ビジュアルも性格も含めて、演じるのはすごく難しい役だとは思ったのですが、逆に「できるのは自分しかいない」というような気持ちを持って挑みました。
――ただ、演じる上では不安もあった、とコメントしていましたね。
やはりビジュアル面は不安でした。ノーマンは容姿が西洋的なので、それが3次元になったときに、違和感があってはいけないな、と。映画を観た方が、そこが邪魔になって、物語の内容が入ってこない、とかになってはいけないな、というのがありました。ウイッグやカラコンを使っているのですが、それがコスプレっぽくならないように気を付けました。
特にカラコンは映像で見たときにどう映るのかを気にしながら、5種類くらいの中から一番自然に見えるものを選びました。
――内面的な部分はどうでしたか?
ノーマンは思ったことをすぐに口に出すタイプではなく、自分の手の内というか、内面の部分を表に出さないので、そこを表現することには不安がありました。
これまで僕がやってきたお芝居は観ている人に感情を伝えるものだったのですが、ノーマンは何を考えているのかわからない、観ている人にとっては親切ではないキャラクターなので、実際には抱いている感情を隠して演じていくのは、僕にとっては初の試みでした。
――ノーマンを演じるために、何か参考にしたものはありましたか?
今回はとにかく原作でした。実写化する上で、内容も原作に沿っていて、映画オリジナルの部分は数シーンしかなかったので、原作という正解を目指しました。
台本に該当する漫画のシーンをコピーして貼って、このときノーマンはどういう表情をしていて、どっちの手で何を持って、どんな動きをしているのか、というところまで見ていました。
やはり原作やアニメを知っている方は、そのノーマンが頭の中にあると思うので。僕の考えとしては、自分なりのノーマンを作るというより、もともとあるノーマンという正解に、自分がいかに近づけていけるか、というのを目指しました。
――正解があるのはやりやすいのでしょうか?
いや、難しかったです。他の作品では、自分でいろいろと考えて、自分の中で広げていく作業ができたんですけど、今回はとにかく正解に当てはめていくので、若干のやりづらさはありました。
――映画を観ていて、ビジュアルはもちろんなのですが、話し方やそのテンポ感もノーマンらしい、と感じました。
さっき言ったように何を考えているのかわからない、というところを出したかったので、わりとトーンやテンポを一定にするようにして。あとは言葉をすぐ声には出さずに、一回自分の中で考えて、飲み込んでから出す、という。実際にそれをセリフ一言言うごとにやっていたら間がおかしくなっちゃうんですけど、ノーマンという人物の根底にあるもののイメージとして。あとはなるべく低く、安心できるような声を意識していました。
アニメでは内田真礼さんが声をやられているんですけど、そこに関しては寄せるという形ではなく、自分の中にあるノーマン像を表現しました。
――普段の板垣さんの話し方とは違いますよね。
僕もテンションはそんなに上下するタイプではないので、そこは似ているとも言えるのですが、やっぱりノーマンの思慮深さとか、考えて言葉を発するということは、普段の僕はやっていないので。その意識を常に忘れずにいる、というのは、少し大変でした。
――ノーマンの“笑顔”についても、意識をするところがあったそうですね。
ノーマンの笑顔は心から楽しくて笑うというより、周囲の人たちを心配させないための笑顔で。自分の本心を覆い隠すような笑顔なので、そこも苦労した部分でした。
浜辺さんから溢れてくる感情が大き過ぎて、涙を堪えるのが大変だった
――本作はファンタジーなだけに、現実的ではない出来事も多くありますが、そこへ気持ちを落とし込む作業はどのようにしましたか?
撮影に入る1、2ヵ月前から平川(雄一朗)監督とリハーサルをさせていただいたのですが、そこで自分の中に根付いたものはありました。「約束のネバーランド」という世界観や、“グレイス=フィールドハウス(孤児院)”という場所に居て、秘密を知って、母と、鬼と対峙していく上での熱量や、業のようなものは、リハーサルをする中で自分の中に入ってきたものではありました。
――監督の演出で印象に残っていることは?
僕は最初、ノーマンの表面的な、いつも笑顔で、優しくて、という部分だけを考えていたんですけど、その根っ子にある熱さがあるというのは、監督とリハーサルをする中で、気付けたところでした。
あとは、ここは感情の流れとして難しいな、というところは、とても細かく、丁寧に説明をしてくださるので、自分も気持ちが入りやすくなりましたし、助けられたところでした。
――平川監督は厳しい一面もあるとお聞きします。
僕もリハーサルの序盤は怖いなって思っていたんですけど(笑)。作品に対しても、僕らに対してもすごく愛がある方なので、そこに気付けると、本当に優しい方なんだな、と思えました。厳しいというのは、それだけ期待してくれている、ということでもあるので、それに対して、いかに自分が応えていけるのかを考えていました。
――今回の現場では初めて経験することも多かったそうですね。
これまでの現場は年齢が自分が一番下とか、とにかく周りの皆さんより年下のことばかりだったんですけど、今回は(イザベラ役の)北川(景子)さんや(クローネ役の)渡辺(直美)さんがいない場面だと、(エマ役の)浜辺(美波)さんが1番上で、僕が上から2番目で。
――板垣さんは一人っ子ですよね?
そうなんです。だからこれまで年下の子と接する機会自体が、ほとんどなくて。でも、子供たちからはすごく元気をもらえました。
撮影期間中に浜辺さんが誕生日を迎えられて、結構大きなケーキでお祝いしたんですけど、僕がご飯を食べてから食べようと思って、ちょっとその場を離れていたら、小さい子たちが全部食べちゃってて(笑)。子供たちとの撮影はもちろん大変なこともありましたけど、そうやって笑わせてもらったりして、助けられたことも多かったです。
――浜辺さん、レイ役の城桧吏さんと、3人でいるときはどんな雰囲気でしたか?
劇中では同じ歳なんですけど、実際には桧吏は僕らより年齢が少し下なので、僕と浜辺さんがお兄ちゃんとお姉ちゃんになって桧吏のお世話をするような(笑)。特に浜辺さんはお菓子を持ってきて、桧吏にあげるとか、側で見ていて微笑ましかったです。
――浜辺さんとのシーンで、印象に残っていることはありますか?
物語の序盤に、コニーの死を目の当たりにしたエマの気持ちをノーマンが受け止めるシーンがあるんですけど。そのとき、浜辺さんからの感情の波のようなものがすごい勢いで襲ってきて、ノーマンとしてすべて受け止めなきゃいけないのに、それがすごく大変でした。
原作や台本でも、そこは泣くシーンではないのですが、浜辺さんから溢れてくる悲しみの感情が大き過ぎて、涙を堪えるのが大変で。ただそのおかげで僕自身の感情もすごく動いたので、いいシーンになったと思います。
――ノーマンの“出荷”が決まるというシーンは、観ていてとても感情が動かされましたが、現場はどんな雰囲気でしたか?
小さい子供たちは本気で泣いてしまう子もいました。普段は撮影中とそうでないときの区別もつかなくて、わちゃわちゃしちゃうこともあったんですけど、そのシーンはみんなずっと神妙な面持ちで。
ノーマンとエマがお互いの気持ちをぶつけ合うのですが、それが子供たちにも伝わって、その場の空気が一体化するような感覚になりました。
撮影期間の後半だったこともあって、子供たちもそこまでいろいろ経てきた中でできた、というのも良かったんだと思います。
――映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
最初にも言いましたが、僕は「約束のネバーランド」という作品の魅力は、美しい世界の中で、“死”を描いているところだと思っていて。それが実写映画になって3次元になることで、よりリアリティを持って表現されていると思います。
今、こんなご時世になってしまって、“死”というものをこれまで以上に皆さんが近くに感じているからこそ、その“死”に立ち向かうエマやレイ、ノーマンの姿から勇気や力をもらえる作品になったと思っています。
板垣李光人インタビューは<素顔編>に続きます。こちらもお楽しみに!
撮影:山口真由子
<約束のネバーランド>
幸せに満ち溢れた楽園のような孤児院、「グレイス=フィールドハウス」。
そこで暮らす孤児たちは、母親代わりでみんなから“ママ”と呼ばれている、イザベラ(北川景子)のもと、里親に引き取られる年齢になる日を待ちわびていた。
エマ(浜辺美波)、レイ(城桧吏)、ノーマン(板垣李光人)の3人も、いつか外の世界で暮らすことで、より幸せな日々がやってくると信じていた。
里親が見つかり、孤児院を笑顔で後にするコニーを見送ったエマとノーマンは、彼女が肌身離さず抱きしめていた人形が、食堂に落ちているのを偶然見つける。
忘れ物の人形を届けるため、決して近づいてはいけないと、ママから教わっていた「門」に向かった2人がそこで目にしたのは、無残にも命を奪われ、食料として出荷されるコニーの姿だった。
みんなが「楽園だと信じていた孤児院」は、実は「鬼に献上する食用児を育てる農園」で、さらには母親のように慕っていたママは、「最上級の食用児を育てる飼育監」だったのだ。
全てが偽りだったと気がついた3人は、孤児たち全員を引き連れた、無謀ともいえる脱獄計画をスタートさせる。
©白井カイウ・出水ぽすか/集英社 ©2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会
2020年12月18日(金)より全国ロードショー
最新情報は映画「約束のネバーランド」公式サイトまで。
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