フジテレビでは、『オリエント急行殺人事件』(2015年)、『黒井戸殺し』(2018年)に続く、「原作・アガサ・クリスティ×脚本・三谷幸喜」の夢のコラボレーション、待望のシリーズ第3弾の放送が2021年に決定した。主役を、前2作に続いて野村萬斎が演じる。
今回放送されるのは、『死との約束』。ミステリー界の女王・アガサ・クリスティ(1890年~1976年)が、1938年に発表した長編小説だ。「死海殺人事件」のタイトルで1988年に映画化もされているが、日本での映像化は初めてのこととなる。
三谷幸喜が、舞台を“巡礼の道”として世界遺産にも登録されている熊野古道に、そして時代設定を昭和30年代に置き換えて執筆。三谷流の『死との約束』を作り上げた。
アガサ・クリスティ×三谷といえば、フジテレビ開局55周年特別企画として2夜連続で放送した『オリエント急行殺人事件』において初コラボレーションが実現。第一夜・16.1%、第二夜・15.9%(※)を記録。そして視聴者からのラブコールを受け、第2弾として『黒井戸殺し』が放送された。
(※)ビデオリサーチ調べ(関東地区・世帯視聴率)
『死との約束』の主人公は、『オリエント急行殺人事件』『黒井戸殺し』に続き、野村萬斎演じる名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)。萬斎のドラマ出演は『黒井戸殺し』以来、約3年ぶりとなる。
勝呂が旅行先で出会う婦人代議士・上杉穂波(うえすぎ・ほなみ)を、鈴木京香が演じる。鈴木は、映画「清須会議」(2013年)、『真田丸』(NHK/2016年)をはじめとした三谷脚本・演出作品にも数多く出演。萬斎と鈴木は、今作が初共演となる。旅先で偶然出会った二人だが、どうやら勝呂は穂波の過去を知っている旧知の仲のようで…。
医師・沙羅絹子(さら・きぬこ)を演じるのは、比嘉愛未。税理士・十文字幸太(じゅうもんじ・こうた)は、坪倉由幸(我が家)が演じる。さらに、穂波に随行する編集者・飛鳥ハナ(あすか・はな)を長野里美、勝呂に捜査を依頼する警察署長・川張大作(かわばり・たいさく)には、阿南健治と、三谷作品にはおなじみの俳優陣も出演が決定している。ドラマは、すでにクランクインしている。
「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」――それは、休暇中にホテルのバルコニーでくつろいでいた勝呂が耳にした言葉。翌日、本堂家を支配していた一家の母が死体で発見される。病死か?殺人か?家族には誰にも動機があり、そして全員にアリバイがあった…。名探偵・勝呂史上、最もややこしい事件の幕が、今、開く!
本堂家の人々のキャストは、後日発表予定。
<三谷幸喜 コメント>
『死との約束』は、アガサ・クリスティの隠れた傑作です。ポワロ物で、僕がいちばん好きな作品です。事件が起こるまでのワクワク感。真相が明らかになっていくドキドキ感。そしてラストのあまりに意外な犯人。今回も原作のテイストを損なわないように脚色しました。キャスティングも完璧です。極上のミステリーを堪能あれ!
<野村萬斎 コメント>
今回は、トリックが前作とは全く違っていて、ある意味、ご覧のみなさんが、“裏切られる展開”かもしれません。そして、勝呂がシリーズを追うごとに、人間味を増してきている気がしています。
三谷さんは、すでに『黒井戸殺し』を撮影している頃から今作の構想がおありだったようで、「次回は勝呂が淡い恋をする…」とおっしゃっていたんです。その通り、今回は女性に囲まれている!という、とても華やいだ心地がしております(笑)。
毎回、謎解きでは長いシーン、長いセリフがありますが、監督からも、「3年に一度の苦行をしてください」と言われています(笑)。もちろん、そこが見せ場ですが、僕にとっては一番大変なところでもあります。でもその分、視聴者のみなさまには存分に楽しんでいただけると思っています。
熊野古道という日本有数のパワースポットが舞台になっているところも今回の見どころのひとつです。コロナ禍で、家にいる時間も多い昨今ですが、このドラマで、みなさんご一緒に熊野を旅しながら楽しんでいただければ、と願っています。
<鈴木京香 コメント>
『オリエント急行殺人事件』も『黒井戸殺し』も見ていましたから、今回のお話はすごくうれしかったです。しかも、名探偵・勝呂のかつての知り合いだった女性という役。台本が待ち遠しかったです。
映画「死海殺人事件」も見たのですが、エキゾチックな舞台を日本に置き換えても違和感なく、より一層面白い。三谷さんの脚本の素晴らしいところだなと思いました。
そして、政治家は一度やってみたかった役でもあります。昭和30年代の女性政治家は、きっと当時では珍しく、目立つ存在だったと思うので、その役を演じられるのはとても光栄なことです。
萬斎さんは、さすが動きがきれいで、セリフ回しにも品格がある、とてもチャーミングな方。三谷さんが「ポワロに並ぶ日本の名探偵を作りたい」と、「勝呂を萬斎さんに」とおっしゃるのがわかるような気がします。
<比嘉愛未 コメント>
三谷さんの作品で、萬斎さんと共演できるのはなかなかないチャンスだと思い、お話をいただいた時は純粋にうれしく思いました。何といってもこれまでとはまた違う作品との出会いだと思い、「これは絶対やりたい!」とすぐにお返事させていただきました。
シリアスに、固くなりがちなサスペンスものも、三谷さんが書かれるとどこかユーモアがあって、本当に言葉の魔術師だと思いました。沙羅という役は、その時代において自立した女性の医者ということもあり、衣装もトラディショナルなファッションで一歩先をいっている人。人懐っこい面もありますが、何より正義感を大事に演じています。
<長野里美 コメント>
シリーズ第1回目の『オリエント急行殺人事件』の時に、ちょうど三谷さんと舞台をやっていて、「オファーしようと思ったけれど、この舞台があるからできないですね」と断念されたので、「今回はようやくできる!」と、うれしさ満開でした。
「長野さんはアガサ・クリスティの世界にすごく合う。とぼけた品の良さというか。だから夢がかなってうれしい」とのお言葉をいただいたので、それを信じて楽しく演じさせていただいています。
<阿南健治 コメント>
過去に2回やっているこのシリーズに出られることになり、「ありがとう!」って感謝しかなかったですね。台本は、細かい笑いなどがいろいろなところにちりばめられていて、まさに三谷さんの世界だな、という感じで、楽しく読みました。
その三谷さんからは、「加藤武さん風にお願いしますね」(金田一耕助シリーズの警察幹部)とメールをいただいて。刑事役は何回もやっているんですけれど、警察署長で現場にでているので「今までの刑事とは違うぞ」と思いつつ、“加藤さん風”を意識して…なかなか難しいなと思いながら楽しんで演じています。
<坪倉由幸 コメント>
映画「記憶にございません」でジャルジャルの後藤淳平君が出ていたり、芸人さんがたまに(三谷作品に)出られているとは思っていましたが、まさか僕にオファーがくるとは思っていなかったので驚きました。「こんな豪華なキャストの中に僕でいいのかな?」というのが正直な感想です。
今回の役は、今まで演じたことのない役柄ですので、芸人・坪倉としてあまり経験のない、ミステリアスで、男の色気みたいなものをちょっと出したいと思っています。ぜひご期待ください!
<あらすじ>
休暇で和歌山の熊野古道を訪れた勝呂武尊(野村萬斎)は、ホテルのラウンジで医学書を読んでいた医師の沙羅絹子(比嘉愛未)に声をかける。沙羅は勝呂のことを新聞で見て知っていたため、二人はすぐに打ち解ける。するとそこに、一風変わった一家がやってくる。本堂家だと沙羅は言う。沙羅は、これから本堂家と本宮神社に行くので、一緒に行かないかと勝呂を誘う。
一家と古くからのつきあいがあるという税理士・十文字幸太(坪倉由幸)によると、主である本堂氏が、家族が一生遊んで暮らしていけるほどの十分なお金を残して死んだため、本堂家は家族全員で日本中を旅しているのだという。しかしその様子は、決して旅行を楽しんでいるようには見えず、まるで夫人が独裁者で、子どもたちは支配されているかのように見えるが…。
神社に到着し、散歩をしていた勝呂は背後から声をかけられる。振り返ると、婦人代議士・上杉穂波(鈴木京香)と編集者の飛鳥ハナ(長野里美)だった。穂波は、自分を見つめ直すために熊野を訪れたというが、どうやら勝呂とは古くからつきあいがあるようだ。
翌日、貸し切りバスで古道散策ツアーに向かった本堂一家と勝呂、沙羅、穂波、飛鳥。霊峰と言われる熊野には神秘的な山道が多く、昔から天狗(てんぐ)の目撃談も後を絶たない。そして日が陰りはじめた頃、ベンチで本堂夫人の遺体が発見される。
地元熊野警察の署長・川張大作(阿南健治)に事件解決を要請された勝呂は、早速捜査をはじめる。夫人は普段から心臓が弱かったというのだが、勝呂は、その右手に注射針の後を発見する。勝呂は、ホテルに到着した晩に、偶然耳にした言葉をふと、思い出す。
「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」。ぎくしゃくしていた家族の誰にも動機があり、しかし全員にアリバイがあった。ホテルのラウンジに集められた一同の前で、名探偵・勝呂の推理が始まる。
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