視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出すドキュメントバラエティ『7RULES(セブンルール)』。
10月6日(火)放送回では、お笑いコンビ「ラランド」のサーヤに密着。『M-1グランプリ 2019』で準決勝に出場し、一躍注目を集めているラランド。会社員とお笑い芸人を兼業し、事務所に所属しない“フリーの芸人”として活動する、異色の肩書きをもつ彼女のセブンルールとは。
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ルール①:台本は作らない
『M-1グランプリ』をきっかけに、今年は既に80本以上のメディアに出演しているラランド。
ネタ作りは主に彼女が担当しているが、最近は芸人の仕事が増えたため、深夜にネタ合わせ行うことが多いという。ネタの作り方でルールにしているのが「台本を作らない」ということ。漫才のキーワードを並べたメモが、2人にとっての台本代わりだ。
「本当に2人で話していてめちゃくちゃ笑ったところを、そのままネタにしているので、出るたびに言葉も変わりますし。自分たちが面白いように変化していったりするので」と、あえて台本にはしない理由を明かす。
後日、テレビ番組の収録で漫才を披露すると、司会の笑福亭鶴瓶も「芝居がうまい」と感心していた。
ルール②:「芸人」と「会社員」は兼業する
芸人と会社員、二足の草鞋を履く彼女。会社のフレックス制度を利用し、芸人の仕事と並行して、広告コンサルタントの仕事もこなしている。
サーヤは、東京・八王子生まれ。実家は、決して裕福な家庭ではなかった。そんな中で10年間もの間、私立学校に通わせてくれた両親に、多大な恩義を感じていた。
そんな彼女が、小学生の頃から大好きだったものは、90年代にフジテレビ系列で放送されていたバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』。世代ではなかったが、ビデオショップに通い、熱心に観ていたという。
いつしか、将来はお笑い芸人になりたいと思うようになったが、親への恩義から、「養成所に行くとは言えなかった、というより、言いたくなかった」と、振り返る。
高校卒業後は大学へ進学。お笑いサークルで、同級生だったニシダと出会い、「ラランド」を結成した。数多くの学生漫才で優勝すると、芸能事務所からもオファーが殺到したが、悩んだ末、芸人と会社員の両立を決意した。
「博打のようだ」と彼女が話す芸人の道だけでは、両親への恩返しが遠ざかる。「親に還元しながら、売れる道もちゃんと持っておくやり方」として、兼業を決めたのだが、ときには会社員として働くことが、芸人活動に活きることもあるのだとか。「自分たちのコンビを商品として見るようになって。このターゲットの人にはこういう見せ方、というのは、すごく客観視できるようになった」という。
ルール③:365日 ニシダをいじる
相方のニシダは大学を中退し、現在ニート。「無断欠席とか遅刻は当たり前みたいな感じで、人間の生活で必要な部分っていうのが結構欠落している」と、彼女は分析する。
相反する2人の人間性が人気となり、着実にファンを増やしてきた。ニシダの誕生日にはファンから大量の誕生日プレゼントが届き、それらを開封する、YouTubeの生配信企画もおこなった。
YouTubeの企画は、彼女が考案し、いつも、ニシダがメインの企画をおこなっている。「ニシダは、なんか言った時の返しがめちゃくちゃ面白いポンコツ。いいイジり方をすると すごい良いものができる」と、うれしそうに笑う。相方の良さを引き出すため、常にニシダをいじることを意識しているという。
「肩書きで、私の方がフィーチャーされることが多いんですけど、実際、一番“やばい”のはニシダなので、 それが出せたらいいなと思って」と語る彼女。最近では、YouTubeでのニシダのキャラが浸透し、テレビの仕事にもつながっているそうだ。
ルール④:尊敬する人としか飲みに行かない
昨年の『M-1グランプリ』では、アマチュアコンビとして注目を集めたが、出番を終えてTwitterを開くと、「素人が出てくんな」「自慢すんな」「趣味なのに」といったダイレクトメッセージが届いていたという。
フリーというもの珍しさからか、心無い言葉を浴びることも多い。「でも、それを打ち負かすような経歴がまだないので、そういった意味でも1回決勝にはちゃんと出たいし、優勝したいですね」と、ストイックさを見せる。
その姿勢はプライベートでも健在。お笑いを熱く語りながらお酒を飲むのが好きな彼女だが、自分が尊敬する人としか飲みに行かないのだという。
「大所帯の飲み会だと、そこでしか使えないノリみたいなのが生まれると思うんですけど。その時間が少しだけもったいないなと思って。本当に夢を叶えている人の話を聞くのが好きです」と、その理由を明かした。
ルール⑤:毎月 実家にお金を入れる
八王子にある実家を訪れると、これまではすべて取材を断っていたという、サーヤの母が出迎えてくれた。
今では、芸人としての活動を誰よりも応援している母親だが、「きちんとした所に就職させていただいたので、『もったいない』っていうのも親心としてはありましたし。でも本人が本当に楽しそうにやっているので、それが一番かな」と、当初の複雑な心境を明かした。
「普通のサラリーマン家庭だったので、本当に小さい頃から私立に通わせるのは大変でした。でもこの子の先のこと考えると、自分たちは我慢してでも、きちんとした教育をちゃんと受けさせてあげたいなと思って、必死でしたね」と、当時を振り返る。
何不自由なく育ててくれた両親への感謝を込めて、サーヤには、欠かさないルールがある。それは、毎月実家にお金を入れること。
「本当にありがたい」と感謝を示す母に、彼女は「その額を何桁ずつか上げていきたいですけどね」と笑った。
ルール⑥:同じ衣装は着ない
着実に活躍の場を広げているラランドを支えているマネージャーの橋本さんは、かつて大学お笑いで、ラランドとしのぎを削ったライバルだった。
一度はホリプロに入社し、俳優の船越英一郎を担当したこともあった彼だが、大手事務所を退職して、半年前からラランドのマネージャーを務めている。
「そこを切ってこっちに来てるからには、やっぱり幸せになってもらわないとなっていう思いはずっとあるし、ちゃんと早く返していけるように、こっちが売れなきゃ」と、サーヤは自身の思いを語る。
かつてのライバルが仲間に加わり、さらに多くの仕事が舞い込むようになったラランド。
メディアに出演する際、決まり衣装があるニシダとは別に、サーヤはその都度媒体に合わせて衣装を変えている。
1着1着の印象が強い派手な服を着る分、「あ、またこれだ」と思われないよう、同じ衣装は着ないことにしているという。
「ちょっと前までは、いかに化粧っけないように見せるかが大事で、ブスいじりとかをしてもらって“オイしく”なるというのが普通の女芸人だった。だけど、別に普通に生きていても(面白く)できるんじゃないかっていう挑戦」と、彼女はその意志を覗かせる。
スタイリストはつけず、私服で出演するというルールには、『セブンルール』スタジオメンバーであるYOUの影響があった。
「以前、YOUさんが『仕事のあとの遊びに合わせた格好をして、仕事にも出る』みたいなお話をされていて。私も会社に行って、何かテレビに出て、その後の会食とかにも全部合う格好をトータルで計算しているので、リスペクトしています」と明かした。
ルール⑦:事務所に所属しない
ラランドにとって二度目となる単独ライブ。フリーのため、運営や美術は知人に委託し、かかる費用はすべて、自分たちのお金でまかなっている。
「全部自分たちで?」と驚くスタッフに、「そうですね。でもその方が、たぶんいろいろ“体重”も乗るので。自分たちが把握してないことがないというか」と真剣な眼差しを見せる彼女。
多くのファンが足を運び、ライブは無事終了。
今もなお、事務所からのオファーが絶えないが、それでも、「事務所に所属しない」というルールは変わらない。
「これだけ応援してもらって、単独ライブも大きいところでできるようになってきて。マネージャーとニシダとファンの方、両親も含めて、『ラランドチーム』みたいな感じで、無所属で自信持ってやっていこうかなと思います」と、彼女はその決意を新たにする。
もともとは、会社員を続けるために選んだフリーの道。険しい道のりを歩むときにはいつも、彼女を支えてくれる人がいた。
「学生のとき、ラランドがやっぱり一番面白いと思っていたので。そこが『間違いじゃなかったんやな』っていう、自分の証明でもあるというか」と語り、サポートに徹するマネージャー。
「もし悩んだときは、聞いてあげることしかできないですけど、ただただ応援します」と、彼女を見守る母親。
そして相方・ニシダも「サーヤさんと出会わなかったら、人生はもうちょっと灰色というか。彩りを与えてくれたんじゃないかなと思ってますね」と語る。
自分を信じてついてきてくれる仲間たちにできる恩返しは、フリーのまま売れること。「無所属でもこのまま突っ走れたらなと思ってます」。
お笑い芸人の新しいスタイルを求め、彼女はこれからも自由に生きていく。
次回、10月13日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、バー「シーホース」店主・マチルダに密着。コロナ禍に奮闘する新宿ゴールデン街で、人気を集める新名店のママである、彼女の7つのルールとは。