『SUITS/スーツ2』第12話完全版

甲斐(織田裕二)や大輔(中島裕翔)の活躍もあって、「幸村・上杉法律事務所」のトップの座をめぐるチカ(鈴木保奈美)と上杉(吉田鋼太郎)の争いはチカの勝利に終わったが、お家騒動があったことは他のファームだけでなく、クライアントの間にも広く知れ渡っていた。それを不安視するクライアントの中には、「幸村・上杉法律事務所」との顧問契約を見直そうとする動きが起き始める。

動画配信サービスを手がける「ネットフィルム」の社長・五十嵐数馬(粗品)もそのひとり。甲斐に会った五十嵐は、進めていた株式公開と顧問契約の両方を再考したいと言い出す。苛立つ甲斐は、遅刻してきた大輔に怒りをぶつけ、やる気がないなら君を突き落とす、と言い放つ。

一方、蟹江(小手伸也)も、チカから「ステラ証券」が契約を打ち切るという情報を教えられる。アソシエイトの八木田(坂口涼太郎)がミスをしたせいだと考えた蟹江は、明日までに契約書を作り直せ、と命じた。

その夜、大輔は、元同僚の松井圭介(間宮祥太朗)から、彼が所属している「ブラットン法律事務所」に来ないか、と持ちかけられる。その際、大輔は、「ブラットン」が「幸村・上杉法律事務所」からアソシエイトも引き抜こうとしていることを知る。

「ブラットン法律事務所」は、「コースタル・モーターズ」の件で、甲斐に和解を勧めた弁護士・副島(清水ミチコ)がいるファームだ。甲斐やチカは、副島の背後で暗躍する人物として上杉の存在を感じていた。

副島が上杉と会っていたという情報を得た甲斐は、チカとともに副島に会いに行く。場合によっては業務妨害で訴える、というチカの言葉にも動じず、「幸村・上杉法律事務所」が必死にクライアントの引き留めをしていることを指摘した副島は、自分を止めるだけではもう遅い、と言い放つ。

「ステラ証券」から契約を切られたことを知った蟹江は、真琴(新木優子)の制止にも耳を貸さずにいきなり八木田にクビを言い渡す。八木田が東大を首席で卒業し、論文でも数々の受賞歴を持っていることを知った大輔は、蟹江を説得しようと試みた。

だが、蟹江から、八木田を残したいのなら今後は彼が作った資料はすべてチェックし、スケジュールの管理もしろ、という条件を突き付けられた大輔は、説得を諦めるしかなかった。

副島が「幸村・上杉法律事務所」からさらにアソシエイトを引き抜こうとしていることを知った大輔は、甲斐に報告する。それを聞いた甲斐は、蟹江が引き抜きに手を貸していると思い込み、蟹江のオフィスに怒鳴り込む。

蟹江は否定したが、彼が上杉に手を貸してチカと甲斐を裏切ろうとした件もあって怒りが収まらない甲斐は、「君と俺とは終わりだ」と告げる。

失意の蟹江は、副島に会いに行き、「ブラットン法律事務所」で雇って欲しいと頼む。それに対して副島は、ジュニアパートナーのポジションなら検討する、と返す。続けて副島は、シニアパートナーの地位だけは譲れないという蟹江に、それならば本気を見せてほしい、と言って帰っていく。

甲斐は、大輔や玉井(中村アン)と協力して、五十嵐以外のクライアントを守ることに成功していた。五十嵐が弁護士を変えようとしているのは、副島が顧問弁護士を務める「東都フィルム」が関係していると睨んだ甲斐は、大輔とともに、五十嵐に会いに行く。

五十嵐は、「東都フィルム」が「ネットフィルム」を買収するが、経営陣はいままで通りという契約であることをあっさり認めた。そこで甲斐は、契約書を見せてほしいと頼み込む。

その夜、蟹江は、チカの元を訪れ、「ブラットン法律事務所」に転職したい旨を伝え、競業避止義務を外してほしいと願い出る。チカは、自身もかつて上杉に利用されて傷ついたことに触れ、蟹江がシニアパートナーに相応しいと評価した上で、引き留めようとした。

同じころ、仕事を終えてビルの外に出た大輔は、ふいに男性から声をかけられる。それは怜(吉谷彩子)の夫・浩司(新田健太)だった。浩司は、大輔を何度も殴りつけると、「二度と妻に近づくな」と吐き捨てて去っていく。

チカの部屋に退所願いを置き、私物を持って帰ろうとした蟹江は、エレベーターホールで傷だらけの大輔と出くわし、応急処置をしてやる。事情を聞かれ、行動には結果が伴う、とだけ答える大輔。その際、蟹江が甲斐から軽蔑されたことが原因でファームを去ろうとしていることを知った大輔は、あることを思いつく。

あくる朝、甲斐のオフィスにやってきたチカは、蟹江が退所届を置いていったことを告げ、彼を追い詰めた甲斐を責めた。そこにやってきた大輔は、「ネットフィルム」を買収する「東都シネマ」には十分な資金がないことを報告する。大輔は、蟹江に協力を求め、一緒に「東都シネマ」について調べたのだ。

すぐに蟹江の助力があったことに気づく甲斐。「東都シネマ」は「ネットフィルム」を買収後、その配信プラットフォームだけを得てすぐに売りに出すのではないか、というのが蟹江の読みだった。

甲斐は、五十嵐と食事をする予定になっていた副島の元へと向かった。そこで甲斐は、五十嵐がこないことを告げると、「ネットフィルム」は甲斐のアドバイス通り株式を公開するとともに、新たに「幸村・上杉法律事務所」のクライアントになった「東都シネマ」と業務提携をすることになった、と告げる。

副島は、そんな甲斐に「ブラットン法律事務所」に来ないか、と声をかけた。甲斐がそれを断ると、副島は「幸村・上杉法律事務所」は弱っているから今回は上手くいってもまたすぐに別のファームに狙われるというが、甲斐は「どこに攻められようが我々は負けない」と言い切る。

その夜、大輔は、再び松井に会う。松井は、大輔が引き抜きに応じる気になったと思い込んでいたが、そこで大輔が取り出したのは八木田甲の履歴ファイルだった。その内容に驚いた松井は、大輔の頼みを聞いて八木田の転職に力を貸すことにする。

甲斐は、チカに「ネットフィルム」の件を報告すると、ファームに自分の名前を入れてほしい、と頼む。しかしチカは、その話はまた今度、と返すだけだった。これまでチカは、甲斐を含め5人をシニアパートナーに昇格させ、いずれも成功したという。それに対して甲斐は、個人的な感情で蟹江を辞めさせようとしただけでなく、弁護士資格を持たない大輔という爆弾も抱えている、というのだ。

チカは、自分にとって甲斐は最も信頼を置いている補佐だと告げ、いまは結論を急ぐ気はないと話す。続けてチカは、名選手と名監督は違う、自分の間違いを正すことは最も難しいがそれをやってこその名監督だ、と言い含めた。

蟹江は、私物を持って「幸村・上杉法律事務所」を後にする。すると目の前に甲斐の姿があった。甲斐は、胸ポケットから蟹江の退所届を取り出すと、蟹江が持っていた箱のひとつに入れ、自らその箱を持ってファームへと引き返す。蟹江もそんな甲斐のあとを追いかけ……。