9月17日(金)に公開された映画「マスカレード・ナイト」。東野圭吾による人気シリーズを原作とし、「マスカレード・ホテル」の続編となるサスペンス。

大晦日に瀟洒なホテルで開催される大規模な“仮面舞踏会”を舞台に、刑事・新田&ホテルマン・山岸のバディが、未解決殺人事件の犯人逮捕のため奮闘する。

木村拓哉、長澤まさみが前作に続きバディを組むほか、豪華キャストが共演する。

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フジテレビュー!!では、舞台となるホテル「ホテル・コルテシア東京」のフロントクラークで、ある状況で山岸(長澤)のライバルにもなる氏原祐作を演じる石黒賢をインタビュー。

撮影時のエピソードや木村、長澤との共演について、また年齢を重ねてますます魅力的な石黒の“変わらない秘訣”についても聞いた。

<石黒賢 インタビュー>

「出演する自分が言うのはおこがましいけど、楽しんでもらえる作品になっているんじゃないかな」

――映画「マスカレード・ナイト」が公開されましたが、ご覧になっていかがでしたか?

非常に楽しめました。まずは、犯人当ての妙味ですよね。それから、多種多様な俳優たちの競演もやはり醍醐味のひとつだと思いますし、それプラス、シンメトリック(左右対称)な画…鈴木雅之監督の特徴的な撮影手法ですね。

僕はありがたいことに20代中盤からもう30年近くも鈴木監督と一緒にやらせてもらっていて、今回も「もっと面白くやってくれよ」「まだ、物足りないなぁ」なんていう叱咤激励をダイレクトに受けながら撮影に臨みました。

鈴木監督は役者に対する愛があふれている方ですが、そんな鈴木監督の作品だから現場の雰囲気もすごくよかった。そういった部分も思い出されました。

――そんな中で、石黒さんが演じたホテルマンの氏原とはどんな存在ですか?

氏原は、ホテルマンの権化のような、非常にストリクトな人物で、「ホテルマンとはかくあるべし」という信念を持った人ですね。ですから、お客様の前では常に微笑みを絶やさず、「できない」ということは言わず、立ち居振る舞いも非常にエレガント。

人前に出て、人から見られる緊張感を持っているといった意味においては、俳優とも相通ずる部分があるのかなと感じています。

そういう男だから、自分が聖域だと思っているホテルのフロント内に、異分子である警察、特に木村拓哉くん演じる新田たちが、事件の捜査とはいえ入って来られるということを面白くない、と感じているんです。

新田とは犯人を捕まえるという目的は同じでも、そこに至るベクトルが違うのです。

――フロント内で、氏原、新田、山岸(長澤まさみ)が話すシーンもありましたが、木村さん、長澤さんとのお芝居はいかがでしたか?

木村くんとは今まで何度か共演していますし、一緒にお芝居していて楽しい人だから、あのフロントクラーク内での撮影はすごく楽しかったです。

撮影は2ヵ月くらいにわたっていましたし、僕の出番はもう本当にあのホテルのロビーがほとんどで、木村くん、まさみちゃんと一緒に過ごす時間も長く、いろんな話をしました。木村くんとはサーフィン、車、バイクとか、お互いの趣味の話をしたり、今までは話したことなかったような芝居に対する姿勢や考え方を話したり、いい時間が持てました。

木村くんのことでいうと、彼は同じショウビズの世界にいても、トップアイドルとして、日本中が一番好きな男をずっと続けてきた、我々には(そのすべてを)うかがい知れない存在。受けるプレッシャーの大きさはもちろん、そこから自分を高めるエネルギーのようなものも突出した人だと思います。

偉そうに言える立場ではないけど、年齢を重ね、状況も変化したことによって、きっと彼の中でも変わった部分があって、より自然体というか、素の自分を今まで以上に出せているように感じて。改めて、すごくいい男だな、と思いました。

――俳優としての魅力はどんなところにあると感じますか?

やっぱり芝居に対しての姿勢や、プロフェッショナリズムというものですね。僕たちはセットに入って、カメラの前に立ったら、自分が演じる役柄で居続けないといけない。

俳優としては当たり前のことですけれども、そこにおいて、彼には特にプロ意識を感じます。

NGを出して茶化すなんてことは一度もない。別に、ちょっと茶化して楽しくなるのはいいと思うんです。でも、NGは決して愉快なことではないじゃないですか。かといって、絶対にNGを出さないのがいいってことでもない。(OKテイクになるように)合わせにいって本番がOKであればいいということではなく、要するに、自分が考えることを本番でもトライアル・アンド・エラーで試していくことも大事なんですね。NGを恐れて小さくまとまってはダメだと私は思います。

そういった意味において、彼が本番一回にすごく集中して臨む姿勢は、僕のみならず現場にいた人は誰もが感じるものだし、主役がそういう佇まいでいることは、そこにいる共演者、スタッフにいい意味での緊張感を与えて、いいスパイラル、いいフローとなる。そこに木村拓哉という存在が培ってきたことが生きていると感じたし、彼の美学のようなものに触れるのは非常に面白いことでした。

「常にオープンでいたい。人に対して先入観を持ったり、肩書にこだわったりすることはしない」

――長澤さんはいかがでしたか?

まさみちゃんも、木村くんと同じように本当に真摯な姿勢で役に臨む女優さん。今や名実ともにトップの女優で、彼女自身も乗っているときだと思いますけど、そういったことに対するおごりなんて微塵も感じられない。それどころか、より良いお芝居をしたい、より良い女優になりたいっていう気概みたいなものをすごく感じました。

彼女がダー子という素晴らしいキャラクターを作り上げた『コンフィデンスマンJP』シリーズ(※)でもそうでしたけど、あれだけの女優さんでありながら、今回も、自分のセリフ回し、トーン、芝居がこれで正しいのだろうか、ということを常に模索しながら本番に臨んでいたようでした。

※石黒は、2018年放送のドラマシリーズ第3話でゲスト出演しているほか、2019年、20年の劇場版にも出演している。

撮影の合間でも常にそういったことを考え続けているようで、自分に厳しすぎるんじゃないかなっていうくらいの感じを受けました。

――木村さん、長澤さんと石黒さんのお芝居の掛け合いも見どころの一つですが、ご自身が感じた見どころはどんなところになりますか?

試写を拝見して、台本を読み、撮影にも参加していたにも関わらず、「あれ?この人こんなふうになるんだ!」と驚くことがあるほど、緻密な伏線とトリックが散りばめられている。それがもう最大の見どころだと思いますね。

旬な俳優さんたちが大勢出演していますし、非常に練り上げられた脚本、鈴木監督の演出と木村くんを筆頭にした俳優たちの競演という、その三位が一体となって、良い作品になったんじゃないかと思います。出演している自分が言うのはおこがましいけど、十分楽しんでもらえる作品になっているんじゃないかなって思います。

――先ほど出演された『ノンストップ!』(フジテレビ)では、石黒さんに対して視聴者からたくさんのメッセージが届いていました。中でも「若い頃と全然変わらない」という意見が多かったですが、その秘訣は何だと思いますか?

そう言っていただけるのはありがたいですけど、体を鍛えているのは、俳優という仕事のため…と言えば、カッコいいんだけど、実はテニスの試合で勝ちたいというだけの話です。負けず嫌いなものですから(笑)。

内面的なことで言うなら、大事にしているのは先入観を持たないっていうことですかね。僕は、父が有名なテニス選手だったこともあって、子どものころから“自分が知らない人に知られている”という環境のなかで育ってきて、かわいがっていただいた部分もある反面、「坊ちゃんがねえ…」と揶揄されることもあって。

なので、芸能界での僕は、異質さみたいなことを感じることもありますが、一緒に話をしたり、仕事をしたりすれば、僕をわかってもらえるだろう、と仕事を始めたころから思っていました。

そういう経験もあり、人に対して先入観を持ったり、出自や肩書にこだわったりすることはしないですね。背景なんて知らなくても、目を見て話せばどんな人かはだいたいわかるし、役者なら一緒に芝居をすれば、どういう人か本当によくわかります。

先入観は、邪魔こそすれ、プラスにはならないから、そういったことを持って人に会うのだけはやめようってずっと思っています。自分の知らないこと、初めてのことでも面白いと思えれば、人生は豊かになるんじゃないかなって。

常にオープンでいたいと思うし、そういうところが、もしかしたら良いほうに影響しているのかもしれないですね。

最新情報は、映画「マスカレード・ナイト」公式サイトまで。