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石川遼フジサンケイクラシック直前に本音「“考えるゴルフ”で優勝争いを」

9月3日(木)~6日(日)『48thフジサンケイクラシック』

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9月3日(木)~6日(日) 、国内男子開幕戦となる「48thフジサンケイクラシック」が富士桜カントリー倶楽部(山梨県富士河口湖町)で 開催される。

ここは、日本ツアー屈指の距離7566ヤード(パー71)を誇り、絡みつくラフや富士山からの傾斜の影響を受けた難解なグリーンを擁(よう)するモンスターコース。米メジャーレベルに仕上げられたその厳しいセッティングゆえに、「本当に強い者しか勝てない大会」と言われてきた。

そのモンスターコースを2009年と2010年の2年連続で制しているのが、石川遼選手。今大会への出場を前に取材に応じ、今感じている率直な思いをたっぷりと語った。

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<石川遼選手 インタビュー>

みなさんの支えのおかげで、自分たちはゴルフができている

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――「フジサンケイクラシック」の開催が決まったときは、どういう心境でしたか?

本当にありがたいなと思いましたし、この大会を大事にしたいなと思いました。選手は楽しみにしていますし、レギュラーツアーが国内で開催されるのが、8ヵ月ぶり、いや1月がシンガポールだったのでそういう意味では、国内のツアーという意味では、昨年からやっていないですね。

僕らも、あまりメンバーが変わらないというか、みんなで一緒に移動しているような、サーカスじゃないですけど、全国のツアーをみんなでまわっている感じなんです。ある意味学校みたいな感じで、火曜日はみんな朝からいて、「おはよう」みたいになって、「じゃあ一緒に回る?」となって練習ラウンドをして…そのルーティンが、止まっていたので。

時だけが進んで「フジサンケイクラシック」がこういう形で再開、開幕の初戦というのは、少し違和感があります。

「フジサンケイクラシック」の前の試合がまったくなくて、各々どういった調整をしてくるのか。今日、久しぶりPCR検査でいろんな選手に会いましたが、僕みたいに髪が伸びたり、短くなっていたり、染めていたり…「学校かよ!」みたいな感じでした(笑)。

――同窓会みたいな感じですか?

そうなんですよ、久しぶりすぎて。だから、(池田)勇太さんとかも髭めっちゃ伸ばしてて「あれ、そっちの方が良くない?」みたいな。

――海外や女子ツアーに比べて、男子ツアーだけ開幕が遅れていることについては?

絶対的な試合数が、女子に比べて少ないというところもありますが、そこは出遅れたというよりも、割合からすると致し方ないのかなという部分もあります。特に夏前までは、感染者数も伸びている状況が続いてましたし、そういった中でどう判断するのかは、とても難しいと思いますので。

今回ですら、コロナの状況が落ち着いてるというわけではないですからね。細心の注意とPCR検査も全員受けられるという、安全な形で開催していただけるということは、選手からするとありがたいです。

リラックスして「まあ、ぼちぼちやるか」という感じではいかない

――フジサンケイクラシックは、大きな意味のある一戦になりますか?

そうですね。ここから始まって徐々に調子を上げていけばいいという話ではないですから。

選手たちがどういうふうに調整するのか。そこは、みんなナーバスになってると思います。リラックスして「まあ、ぼちぼちやるか」という感じではいかないと感じています。

みんなが、今までと違った選手の表情が出るかということまではわからないですけど、メンタル的には違った状況にあると思います。次のレギュラーツアーがいつになるかは、まだ確定していませんし。

我々にとっては、不安な状況ではありますけども、それよりも、まずは目の前の試合に対して感謝をし、久しぶりの試合を噛みしめるという選手が多いのではないか、と僕は思います。

富士桜では、大きいゴルフを求めてやっていきたい

――今回の大会にかける思いは、今までとどう違いますか?

今年の3月から初めてコーチに就いていただいて、自分のゴルフを良くしようと、試行錯誤の日々を過ごしてきました。今回が僕にとっては、公式戦2試合目で、前回は全米プロだったので、そこから1ヵ月弱、アメリカから帰ってきて自宅待機の期間を挟んでいるので、なかなか思うようにはいかない部分もありますが、自分のゴルフを改善してどんどん良くしていきたいです。まだ途中段階だと思うので、昨年、一昨年までとは富士桜の戦い方も多少は変わるかなと思っています。

特に自分の持ち球が変わったり、とかいうことではないのですが、試してみたいショットなどはいくつかあります。

やはり富士桜は「そういうショットを打てるもんなら打ってみろ」というふうに構えてくれているコースなので。僕は、日本のツアーの中では一番強いコース、モンスターコースというか、スケールの大きいコースだと思うので、大きいゴルフを求めてやっていきたいなと。

トーナメント関係者を支援するためのクラウドファンディングを

――大会従事者にとっても、今大会が大きな意味を持つと思います。

僕自身が戦っている大会で1週間のうち1回も会わないで終わる人たちもいるんです。新型コロナウイルスの影響で、トーナメントが相次いで中止になり、選手たちも当然苦しいですが、選手たちと同じかそれ以上に苦しい人もいて。

トーナメントの仕事がほとんどメインという方たちの多さを、今回のこの状況になって初めて知り、自分としてとても恥ずかしいことだと感じました。でも青木瀬令奈プロ・有村智恵プロと話をしていく中で、「自分たちができることをやりたい」と。

選手だけで大会を作りあげていくというわけではない、皆さんの思いがあって初めて良い大会になるので、また再開するときに、同じメンバーで一つの大会の成功を納められるように、みんなで試合の再開を待って、またトーナメントの運営、いろいろなお仕事を「よろしくお願いします」という気持ちと、普段からの感謝の思いを込めて、今回こういう活動(クラウドファンディング)をさせていただきました(※)。

(※)石川遼、有村智恵、青木瀬令奈は、新型コロナウイルスの影響で経済的な損失を受けたトーナメント関係者を支援するため、クラウドファンディング「レディーフォー」で、8月31日(月)まで資金を募ると発表。

今まで自分がいかに考えないでゴルフをやっていたか、がわかった

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――コロナ期間を経て、ゴルフとの向き合い方は変わりましたか?

頭で考えたり、紙で書き出したりすることが多くなったと思います。

これまでは、がむしゃらにボールを打つというイメージでした。ラウンドに行っても、その日の調子次第で「今日は、5アンダーで良かった」「今日は、2オーバーでダメだった」みたいな。

今は、ラウンドできるときは「このラウンドを活かせるように」と思っています。僕らの場合は、スコアで勝負するじゃないですか。だから、そのスコアを、試合でいかに少ない打数で上がるかっていうところにフォーカスして、逆算をして、“今”を生きているというか。

大層なことではないですけど、 この期間で、いかに今まで自分が考えないでゴルフをやっていたかということがわかったので、“今”を考えながら毎日過ごしています。

――それは意外です。すごくいろんなことを考えながらプレーをする方だと思っていました。改めてそんな風に感じたのですか?

そうですね、今までは考えているフリだったかもしれないです(笑)。カメラ回っているから、考えているフリしておくか、みたいな。本当にそんな感じだったかもしれない。

――ゴルフへの考え方が、より誠実なものになったということでしょうか?

本当にまだまだこれからですが、自分が「フジサンケイクラシック」を楽しみにしているのは、そういった部分ですね。

1番ホールひとつとってもいろんな攻め方があると思いますし、10番ホールも今までほとんどドライバーで打っていましたけど「ちょっと待てよ」と、今では思っています。11番も12番もそうなんですね。今までは、4日間ドライバーで打つことは決まっていて、真っ直ぐ行けば「よし、どうだバーディかな」、曲がったら曲がったときに考えて「どうしよう」とか。

――「今年の石川選手は少し違うな」というところが見られるかもしれない?

ティーショットで選択するクラブ自体が、今までと違ったりするので、すごくわかりやすいと思います。 今まで1回もドライバー以外のクラブで打ったことがないホールで、ドライバー以外のクラブで打つ場面があるかもしれないですから。

ただ、今までと同じクラブでティーショットを打っていたとしても、たぶん自分なりに狙い方などが違ってくると思います。

――それは、今年また石川選手の中で変化があったということですか?

昨年優勝した試合でも、ボギーも打っているしダブルボギーも打っているし、結構危なっかしいゴルフで優勝していたりしているのです。優勝している試合ですら、マネジメントミスがすごくあるのです。

下手したら、1日1打くらいマネジメントのミスがあって、取り損ねたりスコア落としたりというのがあるのではないかな、と思って。まあ、1日1打で済んでいればいいですけど、1日2打そんなミスがあれば、4日間だったら8打になりますから。その8打が改善できていたら、10位だった試合が優勝できているという。

そう考えたときに、かなり思い当たる試合がありました。1ホールだけバカみたいなことをして、そこから崩れちゃうとか。技術的なミスよりも、マネジメントのミスというか、自分の頭の中で準備をする部分に関してのミスを減らしたいなと。

試合で2歩下がっても、1歩は進んでいたい

――試合数が少ないということは、試す機会が少ないということじゃないですか。そこのジレンマもあるのでは?

半々かなと思います。試合をやりたいという思いと、試合が続いていくと、「試合でいい結果を出したい」という自分の闘争心が、どんどん強くなってしまって、冷静な判断ができなくなったり、自分が今取り組んでいるスイングの精度が落ちていってしまう。

そこが自分の進歩を妨げる部分でもあるので、試合がないと決まった以上はそれをどう自分に活かすか、ということを考えて。試合が決まったら決まったで、試合を戦う中でしか得られないことはたくさんある。そこをいつでも切り替えられるように、と思っています。

――質にフォーカスして、ひとつひとつを大事にしていくということですか?

もともと3月にコーチについてもらったときは、「4月の国内開幕に向けてできる限りやっていこう」と。1ヵ月半くらいでしたけど、それで「試合を通しながら徐々に良くしていければいいね」というプランでした。

今考えたら、試合になった瞬間に、また前の打ち方に戻ったり、前の攻め方に戻ったりして、1歩進んだら1歩下がるみたいなことが毎週続いてしまったのではないかなと思います。

頭もそうだし、勉強していくこともそうだし、スイングもそう。今は、できるだけ2歩でも3歩でも進んで、試合になって2歩下がっても、1歩進んでいるようにという考えでいますね。

――フジサンケイクラシックへの思い、どんなプレーを見せたいか教えてください。

思いはすごく強くて、どう表現したらいいかわからないですけど、とにかく楽しみです。

ほかの選手やキャディさんと会うのも楽しみですし、大会の関係者、コースの方やみなさんと会って、「開催できて良かったね」という思い、感謝の気持ち、いろんな思いが入り乱れると思います。

でも、自分が納得するいいプレーができれば、優勝争いができるのではないかと思うので、とにかくそこだけにフォーカスして準備します。

――ファンのみなさんに、男子ツアーのどんなところを見てほしいですか?

僕の中で、「フジサンケイクラシック」のイメージは「音」なんですよね。なんであんなにいい音…ゴルフ場の自然のサラウンドなのかな。ヘッドスピードが速い人が打つと、ものすごい音がするし、あれ全然加工してないんですよね。

実際にそこで聞いていても、明らかに普段自分たちがプレーしているコースと音の響きが違うので、アイアンとかもすごくいい音がするのです。男子ならではという部分ですね。

あとは、「飛距離が出る選手が富士桜は強い」というのは変わりないと思うんですが、いまいち掴めないところもあって。優勝者の傾向は、ドローヒッターの人もいれば、フェードヒッターの人もいるし、 球が高い人も勝ってるし、低い人も勝っている。富士桜は「総合力」が試されるので、すごく面白いんですよ。

優勝者だけがスコアが伸びて、2位に差がつくことも多い。それも、ほかの試合にはない傾向だと思うので、Par5とPar3が全部で5個。アウトに、Par3が3個あってちょっと珍しい感じなので、Par5とPar3がポイントだと思います。

高校生の大会を主催「僕らの1年と彼らの1年は違う」

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――また、「The “One” Junior Golf Tournament」を主催されていますが、高校生の大会を開催しようと思ったきっかけは?

自分のまわりにも高校生のゴルファーがたくさんいるのですが、彼らは試合が軒並み中止になっていて。18歳から先って、進路というか人生の分岐点で、どっちに進むかということをすごく考え悩む1年だと思うので、僕らの1年と彼らの今の歳の1年というのは、意味合いが違うなと。

やはりゼロのリスクで大会を開催するということは、不可能。人が集まるところには必ずリスクは生じるので、それをいかにゼロに近づけるか、そこに対しての努力は最大限やろうと思いました。

最初は、自分1人の思いから始まったのですけど、各方面のゴルフ団体の方々に相談して、JGA(日本ゴルフ協会)さんと高校ゴルフ連盟さんでタッグを組んでサポートしていただけるということになりました。

子どもたちのためを思い、中止にする大会は多いと思いますし、ほかのスポーツ界もそうかもしれないですけど、でも本当に彼らの1年は大切だと感じ、やりたいなと思いました。

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――今回、ファンプロジェクトではリーダーを。そのあたりの意気込みは?

昨年からいろんな方面、選手からも「もっとこうしたら面白い」と、意見が出るようになってきたのです。

自分も選手会長をやっていたし、その時からJGTO(日本ゴルフツアー機構)の青木(功)会長をはじめ上層部の方と話す機会があって。ちょうど昨年から、JGTOがファンプロジェクトということで施策をいろいろやっていましたので、ファンのみなさんに情報を発信したり、選手がやりたいことをやってみては、と。

選手も、決められたことをやるのと、選手たちで決めたことをやるのとでは、やっぱり違いますから。自分が「これなんかどう?」と言ったことが反映されていると、楽しいしですしね。

選手会の中で企画やアイディアを出してやってもらっているので、全国にいる選手たちがその地方のファンの方たちと触れ合い、男子ツアーの良さ、ゴルフそのものの面白さを知っていただく機会が増えてきているかなと思います。

皆でハイタッチしたり「ワァー」となる瞬間は必ず戻ってくる

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――ファンの方と触れ合えないという中で、改めてファンの大切さを感じたことはありましたか?

それが一番なんですよ。僕ら選手たちは、観客のみなさんがいないと本当に寂しいですし、今回「フジサンケイクラシック」を楽しみにしているのは選手だけじゃないと思うんです。

僕らが全力のプレーをして、テレビで見てくださるファンのみなさんにも少しでも楽しんでもらえればと思いますし、真剣な部分や緊張感も伝わるのではないかと。やっぱり、ファンのみなさんも待ってくれていると思いますし、またみんなでハイタッチしたり、「ワァー」となる瞬間は、将来必ず戻ってくるので、そのときまで自分も全力で頑張って上手くなりたいなと思っています。

フジテレビでは『48thフジサンケイクラシック』を地上波、BS波、CS波の3波で放送。さらに、オフィシャルサイトなどで動画配信を展開、“4M(メディア)中継”を行う。スタート前の練習風景や注目選手のプレーの模様などをインターネット配信する。番組オフィシャルサイト、YouTube Live、公式Facebook「フジテレビGOLF」でも視聴可能だ。

※注目選手のスタート時間により配信の時間が確定。配信時間は、番組オフィシャルサイトなどで告知。大会運営・放送運行上の理由から、9月5日(土)、6日(日)はリアルタイムの競技進行から数分遅れて配信する。

※新型コロナウイルスの影響で、今回は、マンデートーナメントなし、プロアマ戦なし、前夜祭なし、本戦4日間だけ、無観客での開催。出場選手は、例年120名のところ、今年は105名。会場に入る選手、キャディ、大会関係者全員がPCR検査を受け、感染防止対策に徹底して臨む。

「48thフジサンケイクラシック」にかける思いと、 高校最終学年となる3年生やトップジュニア が活躍できる舞台をわずかでも創出したいという思いから、8月に神奈川県の横浜カントリークラブ(西コース)で開催した「The “One” Junior Golf Tournament」についても語っている。

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