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何も起こらないのになぜ魅了されるのか?『ビーチボーイズ』 ドラマ通ライター<信子と庸平>の本音対談!_site_large

何も起こらないのになぜ魅了されるのか?『ビーチボーイズ』 ドラマ通ライター<信子と庸平>の本音対談!

8月17日(月)17時~BSフジ<午後の名作ドラマ劇場>『ビーチボーイズ』

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1997年7月クールに放送され、ダブル主演でバディとなる反町隆史と竹野内豊の圧倒的なカッコよさと、海のそばのさびれた民宿を舞台に繰り広げられる、日常をまんま切り取ったようなストーリーで大ヒットとなった月9ドラマ『ビーチボーイズ』。

このたび、8月17日(月)より、BSフジで4K・HDRリマスター版が放送されることに。フジテレビュー!!では、放送スタートを前に、ドラマ好きライターの2人に、『ビーチボーイズ』を語りつくしてもらう対談を企画。

放送から20年あまり経ってもなお、夏ドラマの代名詞ともいえる作品の魅力はどこにあるのか。当時、バリバリの編集者だったという信子(現在アラフィフ)、中学2年生だったという庸平(現在37歳)のコンビが、忖度なしで斬る。

信子&庸平のドラマ放談『やまとなでしこ』編はこちら!

信子&庸平のドラマ放談『ビーチボーイズ』編>

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――反町隆史&竹野内豊の共演で一世を風靡した作品を、今回改めて見た感想から聞かせてください。

庸平:放送当時、僕は中学2年生で、ドラマに興味を持ち始めたばかりでした。だから、全話リアルタイムで見ていたんですが…反町さんが歌う主題歌と、マイク眞木さんを待ち受けていた運命に驚いたことくらいしか覚えていなくて。物語に引き込まれたとか、格別に面白い作品だった、という記憶はなかったんです。

信子:そうなんですね。え、中2!?若いですね…。私はもう働いてました(笑)。

庸平:ふふふ。でも今回、改めて見たら、12話もあるのに何も起きないところが、すごくよかった!中2男子にはその面白さが理解できなかったけど、いい意味で起伏が少なくて、音楽もいいから、夏の夕方にピッタリだなって。

信子:そう!夏といえばアニメ『タッチ』(1985年〜87年)と『ビーチボーイズ』の再放送が定番ですもの。それにしても、放送から20年以上経つのに、反町さんと竹野内さんのカッコよさと言ったら!

セリフは何もなくて、BGMだけ流れるシーンがやたら長いんだけど、2人の画ヂカラだけで画面が持つって、すごいことですよね。当時は、「反町派?竹野内派?」っていうのが、女子の会話では定番で。

庸平:男同士でもありましたよ。でも、今の若い世代には「反町派?竹野内派?」って盛り上がる楽しさが伝わらないんですよ。だから、若い子にも、この機会に作品を観て、どっち派か決めて欲しい。作品を見たら「どっち派?」って言いたくなる気持ちがわかると思うんです。

信子:2人が“いい男”の代表格でしたもんね。そういえば、反町さん演じる広海の車のナンバーの仕掛け、気が付きました?「ひ−63」で「広海(ひろみ)」なんですって!

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庸平:知らなかった!でも、“広海”って顔してるんですよね、反町さん。

信子:広海顔(笑)。あとは、なんといっても広末さん!かわいかった~。

庸平:ものすごくかわいかったですよね。一歩間違えばエロくなりかねないキャラクターを、広末さんがボーイッシュに演じている。だから、広末さん演じる高校生の真琴が、当時26歳の竹野内さん演じる海都と、23歳の反町さん演じる広海の間で揺れ動いたりしていても、全然、イヤな気分にならないんですよね。

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信子:月9なのに“ラブ”もなければ“ドロドロ”もないから、幅広い層が楽しめたんだと思います。

庸平:当時の月9で“ラブ”が主軸ではないって、画期的ですよね。(ラブがなく)「反町さんと竹野内さんの共演」っていうだけで、企画が通るなんて、すごくないですか?

信子:時代と、セリフにも出てくるけど、「いいじゃん、夏なんだから」って感じだったのかしら(笑)。でも、広末さんだけじゃなくて、イケメン2人が海で濡れてる(笑)って、一歩間違えたらいやらしく見えちゃうと思うんです。「ここでシャワーシーン入れて、裸を見せておこう」みたいな。

庸平:今なら、BLっぽい感じを匂わせたりしそうですよね。でもこの作品は、映像自体は本当に真摯に作られていて、それを見てこっちが勝手に萌えてるだけ。「ここで萌えてください」っていう仕掛けがないところに、覚悟を感じました。

信子:極端に狙った感じがないんですよね。演出が石坂(現・宮本)理江子さんという女性監督なのが、逆によかったのかもしれないです。

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主演の俳優が主題歌を歌う作品の醍醐味を、若い人に堪能してほしい

庸平:あとやっぱり、この作品を語る時に絶対に外せないのは、反町さんが歌った主題歌「Forever」(※)。僕らの世代では伝説的存在の楽曲で、大学時代にカラオケで歌ったりしていたくらいです。でも実は、キーが低すぎて“反町ボイス”じゃないと歌えないんですが。

※反町隆史 with Richie Sambora(リッチー・サンボラ)名義で発表。

信子:意外に…と言うのは失礼かもしれないけど、曲が難しいの。

庸平:反町さんだから歌える曲だった。サントラもよかったですよね。

信子:武部聡志さんの劇伴が、映像にピッタリでしたね。ちなみにこの年(97年)、反町さんは「Forever」で『紅白歌合戦』に出て、竹野内さんがゲストで登場したんですよ。広末さんも同じ年に「大スキ!」で初出場して。

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庸平:最高じゃないですか!当時の僕は、リッチー・サンボラが誰か知らなかったんですけど、織田裕二さんも『踊る大捜査線』(97年)の主題歌だった「Love Somebody」でwithマキシ・プリーストっていうのをやっていて…。そういうものなのか、と思っていました。

信子:当時、「with〜」っていうのが、流行っていたんですよね。リッチー・サンボラはボン・ジョヴィのギタリストだけど、このコラボで知った人も多かったんじゃないでしょうか。

庸平:僕は、主演の人が歌う主題歌がとにかく好きなんです。主題歌とセットでドラマが印象に残ったら、“勝ち”じゃないですか。「Forever」は、すごくきれいなタイトルバックに合わせて曲が流れるんです。映像美がすごすぎて、何も言えない。

信子:イントロが流れるだけでワクワクするって、すごいことですよね。

庸平:タイトルバックの映像は本当に美しいんだけど、かと言ってオシャレ過ぎないからいいんだと思うんです。こういったらナンですが、演技だって正直そこまで上手くはないんですけど、全く気にならない。

信子:本人の素が透けて見えてくるような部分もあって、だからこそ共感できるんでしょうね。最近は、俳優さんも歌が上手くて、アーティストみたい。でも、それだと、少し面白みがないんですよね。

庸平:反町さんは『GTO』(98年)の「POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜」も印象的だったし、織田裕二さんも自分の楽曲だけじゃなくて、『ラストクリスマス』(04年)ではワム!の「ラスト・クリスマス」、『太陽と海の教室』(08年)では「君の瞳に恋してる」をカバーしていて、本当に気が利いていると思う。主演の俳優さんが主題歌を歌う作品の醍醐味も、これを機に若い人に堪能してほしいです。

脚本家・岡田惠和の山田太一へのリスペクトを感じる?

――脚本は岡田惠和さんですが、ストーリーに関してはどうでしょうか?

信子:何も起こらないんだけど、そこで交わされるセリフがいいし、悪人もいない。そこが、岡田さんらしさですよね。そういえば、広海と海都は岡田さんのお子さんの名前なんですって。

庸平:そうなんですか!?僕は、岡田さんが敬愛する山田太一先生へのリスペクトも感じました。

信子:演出の石坂さんは、山田太一さんの娘さんですしね。

庸平:竹野内さんの上司役の平泉成さんが、「人生、本当に楽しんでますか」みたいな哲学を語るところは、山田太一先生イズム、最終回直前に衝撃的な出来事を持ってきて、このドラマどうやって終わるんだ?って思わせるのも、山田太一っぽい。山田太一先生の『沿線地図』(79年/TBS)では、最終回の前の回で登場人物が自殺するんです。とはいえ、山田太一作品ほど社会派ではないし、岡田さんは山田太一を意識して書いたわけではないでしょうけれど。

信子:考えたこともなかったけど、食わず嫌いしている人に教えたくなる発見ですね!

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庸平:あと、「最悪の出会い→ひょんなことから同居→知らず知らずのうちに惹かれ合う」っていう展開が、典型的な恋愛ドラマ…中でも、プロデューサーの亀山千広さんが手掛けた『ロングバケーション』(96年)に通じるところがあるとも感じて。いろんな作品が重なって、出来上がったドラマだったんだなと思いました。

信子:それでいて、狙っている感じや小細工している感じはない。役者も荒削りだし、大きな山場もないのに、12話、中だるみしないのは、すごい作劇です。

庸平:最近のドラマは、作り込みすぎなんだと思いました。今のドラマなら、次回を見せるために物語のエンディングにフックを入れるんだけど、この作品は「爽やかだった!」で終わる(笑)。

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信子:例えばホテルが舞台なら、困ったお客さんに扮した豪華ゲストが毎回来たりするほうが、起伏は作りやすいんでしょうけど。舞台となる民宿にゲスト的に登場するのは、7話の浅茅陽子さんくらいですものね。

庸平:人生の悲喜こもごも的な哲学…というか、ちょっとした深みみたいなものを毎回の物語の中に作るんだけど、結局2人がぶっ壊す(笑)。やっぱり、脚本が女性じゃないのが効いたんだと思います。

信子:女性が脚本を書いたら、自分の理想や妄想を詰め込んじゃうかもしれないですね。イケメンが2人いたら、絶対“ラブ”に走りたくなっちゃう。

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庸平:そうかもしれない。当時の月9は、『ひとつ屋根の下2』(97年4月クール)→『ビーチボーイズ』(97年7月クール)→『ラブジェネレーション』(97年10月クール)という黄金時代なんです。男同士のバディものは、この流れだからできたのかもしれませんね。

信子:人気絶頂期だった反町さんと広末さんにとっては、ブレイクスルー的な作品。竹野内さんにとって、この作品以前の代表作は『星の金貨』(95年/日テレ)ですかね。

庸平:『星の金貨』は今回とは真逆のキャラでしたし、この作品で“カッコよさ解禁!”という印象ですよね。

――出演者がビジュアル的に変わらずに年を経ているので、続編を望む声も根強いそうですよ。

信子:放送からほぼ半年後の98年のお正月に、『ビーチボーイズ スペシャル』をやりましたよね。海外が舞台で、南の島で偶然、反町さんと竹野内さんが再会する、という強引な展開で(笑)。

庸平:でも、やっぱり文句を言わせない画ヂカラがありました。突然カーチェイスがあったり、連ドラで「それぞれの海を探す」って言っておきながら、ラストはみんなで千葉に戻ってきちゃう。ストーリーはハチャメチャで完全に“忘年会”の雰囲気なんだけど、連ドラへのオマージュのシーンも満載で面白かったです。今、続編を作るとしたら、どうなるんですかね?

信子:2人ともいいオジサンになって、嫁も子供もいるのかしら?仕事は何をしているんだろう?

庸平:民宿を続けていたとしても、企業の経営者になっていても、違和感がありますね。かといって、今の若手俳優でリメイクするのも難しいと思うんですよ。僕がプロデューサーだったら、熱中症や台風が心配で、企画を通さないだろうと思います(笑)。

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信子:バディものといっても、例えば星野源&綾野剛だとしても30代だから、ちょっと違う。こんなにフェロモンむんむんの20代の2人って今はいないし、何度も同じことを言って恐縮だけど、2人のビジュアルだけで「ごちそうさま」って感じなのよね。好みのタイプではなかったとしても、2人が並んだ時の美しさには圧倒されるというか。

庸平:今回、4K・HDRリマスター になると、どう変わるんですかね?より美しくなることは間違いないんでしょうけれど。

信子:そうですね。広末さんだけじゃなく、反町さんの水着シーンも見ごたえがありそう。ちなみに、反町さんの水着シーンには、山本太郎さんも出演しているので、こちらも注目です。

庸平:山本太郎さん演じる清水も、山田太一ドラマ的な鬱屈(うっくつ)を抱えた、いいキャラクターなんですが…などなど、本当に話が付きない作品ですね。

信子:佐藤仁美さんが広末さんと同級生だなんて、驚いたよね、とか(笑)。もっと話していたいけれど。

庸平:映像の美しさは本当に4K放送向きだと思いますし、“反町派vs竹野内派”を知らない若い世代にこそ見てもらって、“反町派vs竹野内派”の論争を再び巻き起こしてもらいたいです。

<ドラマに関する情報は公式サイトまで>
https://www.bsfuji.tv/beachboys/pub/index.html

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