毎週木曜日に放送中のフジテレビ『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』の主題歌として、異例の2曲(「冷たい渦」「プラネテス」)を手がけ、大反響を呼んでいるシンガーソングライターのキタニタツヤ。
おととしメジャーデビューし2014年頃からネットを中心に活動、YouTubeの再生数が1000万回を超えるミュージックビデオもあるなど発表した楽曲が次々と話題に。またソロ活動の一方、作家として人気アーティストに楽曲提供・編曲なども手がけ、実は東京大学出身という高学歴の持ち主でもある。
そんなキタニに『めざましテレビ』が単独インタビューを行い、ドラマ主題歌に決まった心境や、東京大学入学秘話などを聞いた。ここでは1月28日(金)放送の『めざましテレビ』では放送しきれなかった未公開部分も記載する。
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異例の主題歌2曲「僕がいい曲かくしかない!」
ドラマ中に主題歌が流れると、SNSでは「曲マッチしすぎ」「控えめに言って最高!」「神曲だったなぁ」などと盛り上がるほど人気に。さらに曲だけでなく、劇中にキタニのポスターがちらっと登場することがあり、ファンの間では“キタニ探し”も話題になっている。
――木10ドラマ主題歌のオファーが来たときの心境を教えて下さい。
多くの人が見る時間帯のドラマで、最初は驚きとプレッシャーがありました。台本を読んでからは、「これは僕がいい曲かくしかないぞー(肩をブンブン回して)任せなさい!」と言う感じで意気込みました。
――反響はどうですか?
毎回自分の声がドラマで流れるとびっくりします。全然連絡を取っていなかった幼稚園の頃の友達のお母さんが「たっちゃん頑張っているね」と連絡をくれました。「ドラマってすごいなぁ」と改めて思いました。たくさんの人が見ていると思うので、もし悪い評判を目にしたら嫌だと思い、SNSは見ないようにしています。でも、スタッフの方が教えてくれた良いコメントを聞くと、褒めてくれる人が増えてきていてうれしいと感じています。
――劇中にキタニさんのポスターがあったのは気づきましたか?
最初は全然気付かなくて「そんなシーンあったっけ?」と後から見返して、「あ、本当だ!」となりました。ドラマのスタッフの愛を感じます。
具体的な打ち合わせが大事!Ado・まふまふ楽曲にも参加
キタニはソロ活動のほか、ヨルシカのサポートベースをはじめ、ジャニーズWESTのニューアルバムに楽曲提供、Adoの楽曲「阿修羅ちゃん」へのベース参加やまふまふ、P丸様。など様々なアーティストとの音源制作でも活躍している。
――アーティストと仕事をする際に心がけていることはありますか?
「キタニさんの好きなように作って下さい」と言われると全く筆が動かない人間なので、具体的なことを打ち合わせで聞きますね。また、いろいろな曲をかいてきて、いろいろな見え方をしていると思うので、自分のどんなところが好きで依頼をされているのかを明確にするようにしています。
――ベースも弾きますよね?
ベースについては、逆にそんなに器用にいろいろなことができるタイプではないので、「多分自分にオファーしてくれたっていうことはこういうことなんだろうな」と思って結構自由にやっちゃいます。曲を作るのとは全く違って「よし、任せてよ!でも何も言わないで。僕勝手にやるから」っていうことが多いですね。だからベース参加する際は、本当に友達みたいな人とやることが多いです。
――一緒に仕事をしているアーティストの皆さんは元々知り合いだったのですか?
仕事で初めましての人はあまりいなくて、僕はネットで活動していて、みんなそれぞれひとりの力でやっている方が多いので、自然と同じ業種の人に助けを求めたくなるんじゃないですかね。LINEで「今ヒマ?ベース弾いてくれん?」ということもありますよ。自分もそんな感じで友達にお願いしたりもします。
原点は高校時代…ベースを買ってパソコンで曲作り
――音楽を始めたのはいつごろですか?
中学の仲間たちと「高校行ったらバンドやろう」と話をしていたので、高校受験が終わった直後に楽器屋さんにいってベースを買って、そこからですね。高校時代は家に帰ってパソコンで曲を作ったり、結構早い段階から始めていましたね。
――プロ志向はいつ頃から出てきたのでしょうか。
大学のときはボーカロイドの活動をずっとしていて、周りのボカロPたちは曲を作る人であって歌う人ではないから、作曲家になる人が多かったんです。僕が音楽の道を意識したのが大学の途中くらいで、そこから事務所に履歴書を出してコンペティションに曲を出し始めました。「プロを目指すぜ!」という感じでもなかったんですが、そういうのに1曲くらいひっかかったらいいな、くらいの気持ちで。でも大学を出たタイミングで、そのままいつの間にかアーティスト業も作曲家として入った事務所に一緒にお願いしていました。
――シンガーソングライターはいつからやり始めたのですか?
ちょっとずつ自分で歌ったバージョンもボーカロイドバージョンと一緒にネットにあげていって、だんだん自分で歌ったものの方が評判良くなっていったので、歌に集中して頑張ろうと思いました。しばらくやっていたら今の事務所の人が「アーティストとして契約しよう。だから本腰いれてやろう」と言ってくれました。
――自身で歌うようになってから「シンガーソングライター」と名乗ることへの変化はありましたか?
シンガーであり、ソングライターじゃないですか。僕はソングライターの方に元々比重が寄っていましたが、最近は曲を作る中でも人に任せる領域もどんどん増えていて、だったらソングライティングもお願いしてもいいんじゃないかと思い始めてきました。シンガーだったらソングライターじゃない瞬間があってもいいかもしれないと。今までは曲は「ぜったい僕がかく!アレンジも僕がやる!プロデュースは絶対僕!」みたいな感じでしたが、最近は形式は何でもいいと感じています。少し自由に捉えられるようになりました。ちょっとずつ自分の歌に自信が持てているのかもしれないですけどね。
東大に入った理由は”履歴書パンチ”
ここまで聞くと音楽一筋で歩んできたように見えるキタニだが、実は東京大学出身という高学歴の持ち主でもある。東京大学に入学したのにはある理由が――。
――東大ではどんなことを勉強していたんですか?
美学芸術学という学部で、芸術に関する哲学を勉強していました。卒論は、「編曲はあまり世に出ないのはなぜか?」をまとめていましたね。しかし、ゼミの仲間も就職しなきゃという雰囲気もあまりなくて、僕も音楽ばかりやっていたのでそのままプロになりました。
――東大を卒業してプロの世界へ。ご家族の反応はいかがでしたか?
自分の母親は割と音楽好きの人間でしたし、僕の音楽活動も応援してくれていたので、大学に入った時点で「4年できっちり卒業してくれたらあとは勝手に好きにしていい」という感じでした。高校生の時からバンドに熱中していて、プロになるか分からないけど音楽はやっていきたいと思っていたんです。それで普段会っていない遠い親せきに「バントマンかー」って言われた時にちょっと嫌で、「うるせぇ!僕はロックなんだよ!」って言い返せればいいんですけど、そんなにカッコいい人間でもないので、それなら履歴書で殴って黙らせるしかないなと(笑)。“履歴書パンチ”ということで勉強だけはちゃんとやっておこうと思い、東大に入りました。何か1個頑張ったということが人目に見えるところにあると、一応ちゃんとした人なんだろうなと思ってもらえて、「音楽やっている」という先入観を取っ払ってもらえるので。音楽の仕事をやるにしても経歴が話のタネになるならいいと思っています。と言っても音楽をペラペラっとやっているだけなんですけどね(笑)。いろいろな人のおかげで立派にしていただいていますが、今後も頑張りますのでよろしくお願いします!
――今後の目標はありますか?
自分の曲が届く範囲が広がっている実感はあるので、もっと広げていきたいです。普段音楽に関心がそれほどない同級生に久々に会ったときに「キタニ、この間お前の曲カラオケで歌っちゃったよ!」と言ってもらいたいです(笑)。ライブの規模も大きくしたいです!たくさんの人の前で歌えたら最高ですね!!
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