外出自粛中だった春先に比べ、仕事などでの外出も増え、マスクの着用時間もアップ。それにともない、肌荒れや、ニキビなど肌トラブルに悩まされている人も多いのでは?
梅雨シーズンに突入し、汗や紫外線、エアコンによる乾燥などお肌の大敵が増えているのに、マスクの肌トラブルまで抱えるのは避けたいところ。
そこで、フジテレビュー!!では、皮膚科医の友利新先生に、マスク着用による肌トラブルの原因と対処法を聞いた。
<友利新先生インタビュー>
――マスクで肌が荒れる人が多いようです。原因を教えてください。
クリニックにいらっしゃる患者さんの中にも悩んでいる方が多いのですが、原因は年齢を問わず2つあります。一つはマスクによる肌の摩擦、もう一つはマスク内の呼気や汗による蒸れです。
まず、マスクによる摩擦ですが、肌がすれて炎症が起こると、肌のバリア機能が落ちてしまいます。肌のバリア機能は、外部の刺激から肌を守り、同時に、肌の内側から水分が出ていかないように保護するもの。炎症が起こりこの機能が低下すると肌が乾燥し、外的刺激によってニキビができやすくもなります。
そして、マスク内の呼気や汗の水蒸気による蒸れ。マスクをしていると、肌が潤っているような錯覚を起こしやすいのですが、マスクの中の肌は、お風呂に長時間入って肌がシワシワになったのと同じような状態です。肌が濡れてふやけた状態が続くと、角質の間を埋めるセメントのような役割を果たしている“細胞間脂質”が溶け出してしまう。すると、角質の間に隙間が空いて、バリア機能が低下してしまうんです。
つまり、マスクをしているだけで、摩擦や蒸れでバリア機能が低下→乾燥し肌が荒れる→そのままマスクを装着→肌荒れが悪化、という負のスパイラルに陥り、肌トラブルが起こりやすいのです。
マスク装着は、“肌荒れする前提”で乾燥ケアに重点を!
――マスク着用時に、肌荒れを防ぐためにできることはあるのでしょうか?
蒸れに関しては、マスクの中にコットンやティッシュを入れて、水分をキャッチすることは可能ですが、摩擦をなくすのはマスクが肌に触れている以上、物理的に不可能です。
マスクの素材についてもよく聞かれますが、不織布のような毛羽立った素材のマスクよりは、シルクなど肌への負担が少ない素材のほうが摩擦を軽減できることは確かです。
ただし、感染予防という面では不織布のほうが安心なので、安易に「布のマスクのほうがいい」とは言えないですよね。マスクを長時間着ける以上、肌が荒れる前提でお手入れに重点を置くべきでしょう。
――具体的にはどんなケアをしたらよいのでしょうか?
目立った肌荒れがなくても、普段よりも肌が乾燥している、敏感肌になっていることを意識して、しっかり洗顔&たっぷり保湿し肌を整えること、を心がけてください。
肌のごわつきを感じる時は、肌の炎症を抑える成分、例えばビタミンCやグリチルリチン酸ジカリウムが入っている基礎化粧品や、“抗炎症作用”をうたっている化粧水や美容液を使うとよいでしょう。
また外出中は、保湿ミストを使って潤いをプラスするのも効果があると思います。「ただでさえマスクで蒸れているのに、水分をプラスして大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、先ほど申し上げた通り、肌バリア機能の低下によって、朝、肌に入れた水分はマスクを着けているうちになくなっていきます。表面がしっとりしていたとしても、肌の内部は乾燥している状態なので、きちんと肌の中に留まる潤いを補う必要があるのです。
化粧直しの時は、乳液で肌を整える→BBクリームで乾燥&紫外線ケアがお手軽!
保湿ミストの中でも美容液成分や潤い効果の高いものを使って水分を補うのがよいのですが、手軽にケアしたいという方には乳液がオススメです。乳液には油分が入っているので、メイクの上からコットンでトントンするだけで、よれたメイクや皮脂など余分なものを取り除きながら、肌に必要な潤いをプラスできます。
また、炎症が起きている肌にとって特に紫外線は大敵なので、こまめに紫外線対策をするのはマストです。化粧直しの時、乳液で肌を整えた後に、保湿効果とUVケア効果のあるBBクリームを使えば、時短になりますね。
――他に大切なことは何でしょうか?
肌のことだけを考えるなら、一番大切なのは、肌にとって過酷な時間であるマスクの着用時間を短くする方法を考えること。新型コロナウイルスに感染するのは飛沫感染と接触感染であるという基本を理解して、感染リスクがない=マスクを外していいタイミングを見極められるようになりましょう。
例えば、車移動中も車内に家族だけならマスクを外す。町を歩くときも、他者との距離が確保されていれば、マスクを外してもよいと思います。
オフィスでも、周囲に人が少ない&対面の会話の機会がほとんどないなど、ウイルスに暴露するリスクが低い場面なら、不織布のマスクは外して肌への負担の少ないマスクに変える、状況次第ではマスクを外すなど、工夫をしてみてはいかがでしょうか。
肌トラブルだけでなく、熱中症のリスクを考えても、一日中ずっとマスクを着けて過ごすことが“正解”とは言えません。安全な状況をしっかり見極めてマスクのオン/オフができるようになることが、ウィズコロナの時代では大切になってくると思っています。