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「装飾」は時代を超えられるか? アーティスト京森康平のチャレンジ

現代アート専門サイト『TRiCERA(トライセラ)』が注目する新進気鋭アーティストを紹介「アートに夢中!」Vol.3

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「僕の目標は時代を超えること」

そう話す京森康平は、古今東西の「装飾」をテーマに制作するアーティスト。

今年は海外のアパレルブランドが主宰するコンペティションでグランプリを受賞し、六本木の蔦屋書店で展示をするなど活動が注目されるアーティストの一人だ。

新進気鋭のアーティストの考え方に迫るシリーズ企画「アートに夢中!」。今回は京森康平さんに作品や制作を通して彼が伝えたいこと、目標としていることについて話を聞いた。

――京森さんの制作コンセプトは何ですか?

僕は、現代装飾家という肩書きで活動しています。

色々な国、様々な時代にある装飾文化を現代アートとして作品化しています。

僕の作品は、国や地域にかかわらず、装飾文化を絵画という新しいフォーマットで紹介しているものかもしれません。

たとえば、「JAPAN BLUE」というシリーズでは、色としては日本独特の藍染、それから有田焼の柄や金継ぎの手法など日本の装飾や工芸の文脈を下敷きにしています。

現代アート、特にコンセプチュアルな作品は、ある意味で「言葉」が重要です。だけど僕は、少なくとも自分の作品に関して言えば、「目で見た時、言葉に頼らずとも感動できる仕事」にしたいと思っています。

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――元々はグラフィックの仕事をしていたそうですが、前職は作品に影響していますか?

僕はデジタルとアナログを融合させた技法を使っているのですが、そのデジタル方面や構図に関して言えば、確かに前職のグラフィックの知識が生きていると思いますね。

また、ヨーロッパで服飾を学んでいた時期もあるのですが、その経験は、例えば色の組み合わせ方に影響していると感じます。

――異なるジャンルの経験を活かしているわけですね。

そうですね、まさに。先ほどの話とも重なりますけど、現代アートは言葉による説明がマストな場合が多い。

だけどグラフィックや装飾はより視覚的で、誰が見ても、つまり言葉が通じなくても楽しめたり、格好良いと思えたりすると思う。その文脈は大事にしたいと思いますね。

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――制作の流れについて伺えますか?

まずはスケッチ、その次にデジタルのシミュレーション、それからCGで作品を描きます。

そして、マテリアルに応じたプリント技法で出力し、染色をしたり岩絵具やU Vレジンで立体的に加工したりするというのが、大まかな流れです。

――手が込んだプロセスですね。

そうなんですが、このやり方の良いところは、偶然性が生まれること。

デジタルのシミュレーション・プロセスを経ることで想定外の要素が生まれる。自分の考えに縛られることなく、そこから自由になった発想を制作に導入できるんです。

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――作品にはいくつかシリーズがありますが、それぞれのこだわりは?

今は大体5つくらいのシリーズがあります。

例えば「A-UN」と言うシリーズは、民族間の差別や偏見を超えることへの願いをメッセージとして込めています。

もう一つ重要なシリーズが「JAPAN BLUE」。藍染を使ったシリーズです。 このシリーズでは“不完全性の肯定”がテーマにあります。

僕は社会不適合と言われるものは、全部個性だと思っているんです。

多様性のある社会とは、そうした既成の枠組みに合わない性質を取り入れたものだと。

だから、自分では非常に日本人的だと思っていますね。

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――作品を通して伝えたいメッセージや目標はありますか?

メッセージは「不完全性を認め、受け入れること」。目標は「時代を超えること」。

この目標はずっと思っていますね。制作をする上でも、一番大事なことかもしれない。

最近は普遍性についてよく考えるのですが、それを装飾の観点で言うと、きっと「目で見た時の感動」だと思っていて。

一つのデザインには、それに携わる人の技術や時間の密度、エネルギーがたくさん詰め込まれている。誰が見ても、多分「ワンダフル!」と思える。

僕は説明しなくても感動できるものが好きだし、素敵だと思います。

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――「視覚的な感動」が言葉と時代を超える力になる、ということですか?

現代アートという世界は、今までずっとコンセプチュアル・アートという、コンセプトや言葉を重視する流れが強い。しかも、欧米中心の。

それを日本人の僕が、しかもグラフィックデザインや服飾をバックグラウンドにしている僕が出来ることを探っていきたいと思います。

世界のどこにいるか、どういう仕事か、どういう民族かなどは関係なく、誰が見ても「Wow!」と言って貰える作品をつくることが時代を超えることだと思っています。

――今後の展望があれば教えてください。

今後の展望としては、日本の伝統工芸の文脈を、装飾という観点からアートに活かしたいなと考えています。

具体的には、有田焼や徳島の藍染めなど歴史と伝統が育んできた技術を日本の強みと捉え、自らが描く装飾的な絵画と融合させる。それによって作品/モノとしての価値、強度、エネルギーをより高められるのではないかと考えています。

また、それぞれの地域と共創していくことで日本の未来に残せる技術や伝統を守り、さらに進化した伝統が継承されていくことで時代を超えて次の未来に繋がれれば良いなと考えています。

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京森康平(きょうもり・こうへい)

現代装飾家の肩書のもと、世界中にある民芸、陶芸、衣服、建築など、人類が歴史の中で発展させてきた装飾文化を組み合わせ、現代の解釈で作品を制作。歴史やルーツを紐解くことで見えてくる国境や民族間を越えた文化の響き合いは、互いを受け入れ偏見や差別をなくしたいというメッセージが込められている。

京森康平の作品はこちら

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