保育士資格に向けて奮闘中「いつか自分の園を」つるの剛士インタビュー

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タレント活動のみならず幅広いジャンルで活躍するつるの剛士さんは、私生活では2男3女の子育て真っ最中。12年前には、芸能人では異例の“育児休業”を宣言し世間を驚かせました。

「育休」という言葉を世に広めたものの、それは「本意ではなかった」と語る理由とは？

現在、短大へ入学し保育士資格取得のため奮闘するつるのさんに、育児、家庭、そして資格取得後の夢など、リアルな思いを聞きました。

※2021年12月に行ったインタビューです。

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――多忙な中、保育士免許取得に向けて短大で学んでいますが、志した理由を教えてください。

2022年に幼稚園教諭免許と短大卒業資格が取れる見込みです。無事に卒業できたら保育士の資格取得に向かいます。

芸能生活26年、振り返ってみると子ども関係のお仕事をさせてもらうことが多くて。『ウルトラマンダイナ』（TBS系）をはじめ、『GO！GO！チャギントン』（フジテレビ系）では11年間ナビゲーターを務めていますし、専門的な資格を持っておいたほうが今後いろいろな仕事ができると思いました。

将来的には自分の園みたいなものができたらいいなという青写真を描いていて、その夢に向かって資格を取ろうと思い短大に入学しました。

ちょうどコロナ禍のタイミングだったんですが、逆に落ち着いて勉強に向かう時間ができました。この2年間はすごく充実していたし、時間を有効活用できてありがたかったです。コロナの時期じゃなかったらできていないことだったなと思います。

――芸能活動と並行しての勉強はとても大変だったと思いますが、苦労した点はありますか？

大変でしたが、自分が学びたいことだったのですごく楽しかったです。人生初のキャンパスライフで、年齢が全然違う同級生と一緒にお弁当を食べたり、電車に乗って帰ったり。そういう新しい経験がすごく楽しくて、めちゃめちゃ充実しています（笑）。

――これまでに育休を2回取得しました。売れっ子のつるのさんが当たり前のように育休取得をされたのは衝撃でした。今振り返ってみて育休期間はいかがでしたか？

1回目の育休は12年前、4人目が生まれるときでした。理由としては単純で、物理的に“無理だった”だけです。東京から湘南に引っ越したばっかりで近所の方たちともまだ関わりがなかったし、仕事も「羞恥心(つるのさんが所属したグループ)」」が売れた頃ですごく忙しかった。

夫婦喧嘩も増えてきて、なかなか家庭にゆとりもない。もうこれは4人目が生まれたら家庭が崩壊するんじゃないかと。

ただこれだけ忙しい中で「育休を取らせてください」なんて言ったら事務所に反対されるなと思っていたところ、ちょうど「ベストファーザー賞」の授賞式があって、カメラがいっぱい来ている前で言っちゃおうかなと。

ゲリラ的に「来年の1月から休みます」って発言したら、事務所はもちろん「へ！？」てなりました。結局、事務所との話し合いの結果、2ヵ月休ませてもらえることになりました。

僕自身は「世の中に投げかけてやるぜ！」という気持ちはまったくなくて、個人的にそうせざるを得なかっただけでした。そうしたら、「つるのさんの影響を受けて育休を取りました」みたいに、世の中がそういう流れになってきた。

育児という今まで自分が経験したことのないことを経験させてもらって、世の中のお母さんの立場やいろいろなことが見えて、すごく良かったなと思って育休が明けたら「イクメン」と呼ばれるようになり、流行語大賞になったりしていました。

――育休取得の発表については奥様との相談をしていたんですか？

特に相談もしていなくて、「こういう状況だから手伝うわ」「ありがとう」みたいな感じでしたね。「羞恥心」で売れて一応貯金もしていたので（笑）。育休が明けて仕事に復活しても、僕もアップデートされているので、それまでとは気遣いも家事のスキルも違うから家庭は円満ですよ。奥さんは何が大変なのかとか、言われなくても全部わかるわけじゃないですか。

それから5年ぐらい経って、今度は5人目が生まれるときに2回目の育休を取らせてもらいました。僕自身ではイクメンとは思っていなかったので、「よし！イクメンを1回やってみよう」と。

奥さんには24時間水場には立たないように伝え、わからないことがあったら全部聞いてメモするようにして。まずは、朝5時半に起きて弁当を作って、子どもの支度と送り出し、ゴミ出しに買い物…全部やって。

それで1ヵ月が過ぎて感じた日頃のストレスや、こんなことがあったということをブログに書いたんですよ。そうしたら世のお母さんたちから反響をもらいました。

僕自身もすごく勉強になったし、育休を取って良かったなと思っています。実際にやってみなければ本当にわからないですよね。育休中はお給料がないから、事務所にも迷惑かけるし大変なんですけれども、ブログで発信できる立場であったのも良かったです。

――2回目の育休のときは奥様の反応はいかがでしたか？

自分が赤ちゃんの育児に夢中だったので助かっていたんじゃないかな？とは思いますけどね。

僕はいろいろなところで言っていますが、「育休」という言葉をあまり良くないなと思っていて。全然“休み”ではなくて、ぶっちゃけ仕事より大変でしたね。

男性が家庭に入って訓練したら、仕事に復帰しても、奥さんの理解者になれるだけで全然それまでとは違うから。「皿を洗う」という家事1つとっても、そこにまつわるいろいろなことがあるわけじゃないですか。排水溝を掃除したり、ゴミを細かく分別したり、はねた水を拭いたり…。

以前の自分だったら、「皿を洗ったらそれだけ」みたいな。奥さんからしたら「それならやらない方がマシ」ってなりがちじゃないですか（笑）。

――男性が育児をすることが当たり前になってきています。時代の変化は感じますか？

長男が小さかった時代からはめちゃくちゃ変わりましたけれど、「また、きれい事を言っちゃって」みたいなことはまだ言われますよ（笑）。 イクメンという言葉は僕自身は本意ではありませんが、「世の中こんなんだから俺も育児しなきゃ」という空気作りの手伝いに少しでもなったのだったら良かったなと思っています。

だって、当時は子どもを連れて男子トイレに入ってもオムツを替えるベッドがありませんでしたからね。それから18年くらい経った今は個室内に子どもが腰かけられる椅子もあるし、変わったなってすごく嬉しいです。

街を見ていても子連れのお父さんがすごく増えて、明らかに昔とは違い当たり前になってきた。いい時代になってきたなとは思いますけれどもね。

――大学では幼稚園での実習も経験されましたが、手応えはいかがでしたか？

僕はウルトラマンですし、変身できる保育士なんて宇宙に1人しかいないんじゃないでしょうか（笑）。幼稚園に実習に行ったときに、今まで芸能界でやってきたスキルの、歌、読み聞かせ、手遊び、楽器演奏が全部生かせたんです。逆に先生から「勉強になりました」って言われちゃったりして。

でもそれだけではなく、子どもを預かる仕事だし、子どもの健康面、栄養面、すべて勉強しなくてはいけない。保護者の皆さんだけでなく地域の方の考え方も知っていかなければいけない。そういうことに関しての知識は皆無だったので、これが全部できたら完璧だなって。

――これからの目標、夢を教えてください。

夢はいっぱいありますが、子どもたちと関わっていて思うんですけれども、「子どもたちと関わること＝未来に関わること」。子どもたちに関わることで、僕たちが未来を作れるんです。そこに携われるっていうのはどれだけ素晴らしいことで、かけがえのないことなんだろうって思っています。

今はまだ学生で、資格もこれからなのでおこがましいですけれども、幼稚園の先生や保育士の皆さんの現状を伝える、変える一助になりたいと思っています。

保育にいろいろな分野の方が入ってきてくれたらいいなと思います。特に、何か芸を持っている芸能人は保育と相性が良いと思います。いろいろな職業の方たちと保育をつなげることができたらいいですね。

そうしたら社会全体で子どもたちを育てることにもつながるのではないかと思っています。

「チャギントンファミリーコンサート 大船公演」

2022年2月27日 (日) 鎌倉芸術館　大ホール

開演時間：
①11時00分～　②13時50分～　③16時40分～
※16時40分～の回はスペシャルステージあり

イベントの詳細は公式サイトへ。