上白石萌歌さんが、「“新刊”が出たような気持ちがした」という番組の“語り”を担当。

上白石さんが読むのは、『ザ・ノンフィクション「新・上京物語2022 前編 ~18歳 夢のあとさき~」 』(3月20日14時~/フジテレビ※関東ローカル)。

有名レストランに就職が決まり、期待に胸膨らませて上京を果たした3人の若者の奮闘を追います。

<上白石萌歌 初めて見た渋谷のスクランブル交差点は?>
<上白石萌歌「家族や周りの人たちの支えでここまで来られた」>

大きな夢と立ちはだかる現実を前に揺れる18歳の上京物語

2021年4月。料理人を目指し3人の若者が上京してきました。栃木県の同じ高校出身の千春さん(18)と楽壱(らいち)くん(18)。彼らより1つ年上で、茨城県からやってきたあかりさん(19)です。

就職先は、かつて『料理の鉄人』にも出演した洋食界の巨匠・大宮勝雄シェフ(71)が経営する有名店「レストラン大宮」。

3人の中で、特に料理への思いが強い千春さんは、終業後も、寮の自室で自炊し料理の腕を磨きます。千春さんが料理人を目指すきっかけとなったのは、中学時代、闘病で食欲のない祖母のために料理を作ったこと。食の大切さを実感し、料理人になることを決意。

往復2時間半かけて調理科のある高校へ進学。パティシエ部とそば打ち部に所属し、料理漬けの高校生活を送りました。夢に向かって突き進んできたものの、「レストラン大宮」で命じられたのは、ホール担当。

一方、同期入社の2人は調理担当に。次第に差を広げられる千春さん。気持ちが焦るほど失敗し、空回りしていきます。一人悩みを抱える彼女が向かったのは…。

大きな夢と立ちはだかる現実を前に揺れる18歳の上京物語を、自身の“上京組”の上白石さんはどう見たのでしょうか?収録後に聞きました。

「さらにパワーアップした『上京物語』が生まれたんじゃないかな」

<上白石萌歌 インタビュー>

――今回は、昨年、上白石さんが“語り”を担当した『新・上京物語』の新シリーズでした。

レストラン大宮の大宮シェフ、そして七久保先輩も!これだけ時間をかけて同じ場所で働く人たちの生きざまを追うことは、なかなかないので、なんだか“新刊”が出たような気持ちがして。どんな物語が続くんだろうと思って楽しみに読みました。

――“新刊”の内容はいかがでしたか?

『ザ・ノンフィクション』の醍醐味だと思うんですけど、やっぱりすごく現実的で。みんな理想と現実の間で揺らいでいて、自分が100%やりたいと思ったことで心を満たしているのは誰一人いない気がしました。

それぞれが何かを切り捨て、何かを選ぶということをやっているので、上京組はみんな10代ですけど、すごく大人っぽいし、覚悟があるし、目の奥に強さを感じました。

さらにパワーアップした『上京物語』が生まれたんじゃないかな、と思いました。

――レストラン大宮で迎える“先輩”、そこに入ってくる“新人”が紹介されますが、ご自身はどちらの心情で見ましたか?

上京する側です。先輩から叱られているシーンとか、もう胸がキリキリしちゃって(苦笑)。「(自分にも)こんなことあったな」なんて思い出しました。

自分の仕事の現場でも、以前は年上の方が多かったのが、最近、年下の方も増えてきたんです。そういう変化も感じていた中だったので、こうやって上京してくる姿を見ると、同じく(鹿児島から)上京してきた身としてはいろいろと思い出します(笑)。

――新人時代の失敗談で教えてもらえることはありますか?

お料理と一緒で、お芝居も自分の心情とかがそのまま出るものなので、焦ってしまうとセリフが速くなったり、出てこなくなったり…。焦ると何もできないんだなっていうのは、仕事を始めてから今でもずっと感じていることです。

――新人が先輩に怒られる場面も多かったですが、「怒られて感謝している」先輩はいますか?

先輩ではないんですが、私が上京したころから10年以上、ずっと見てくれている事務所の方です。最初、東京の路線図を書いたものを渡されて「定期入れに入れておきなさい」ということから始まり、ものの言い方やマナーとか…やっぱり子どもだったので、ちょっとしたことでムスッとしてしまうことがあったんですが、そのたびに叱ってくれました。

大宮シェフの言葉通り、怒らないでいるほうがラクなのに、それを自分も嫌な思いをしながらも怒ってもらったことはすごくありがたいことだなって思います。

――そういった経験を生かして、今後、後輩を叱れそうですか?

ちょっと、まだ想像ができないですね。逆に「ずっと怒られていたい」って気持ちがあるので…。

怒られる側の苦しさを知っていると、言い方を変えたり、ちょっと助言っぽくなっちゃったりするかな、って思います。

でも、いざとなったら怒れるかな?…いや、怒れない気がします(苦笑)。

<ナレーションの一部をご紹介>