木曜劇場『silent』の村瀬健プロデューサーが、ドラマ考察について答えました。
毎週木曜22時から放送中のドラマ『silent』。
主人公の青羽紬(あおば・つむぎ/川口春奈)が、本気で愛しながらも、突然、別れを告げられてしまった恋人・佐倉想(さくら・そう/目黒蓮)に、再会したことから動き出すラブストーリーです。
見逃し配信が累計1000万再生を突破、Twitterで「#silent」が世界トレンド1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいます。
村瀬プロデューサーはこれまで、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年/フジテレビ)、映画「信長協奏曲」(2016年)、「約束のネバーランド」(2020年)などを手掛けてきました。
インタビュー後編では、村瀬プロデューサーに、SNSで話題となっている本作の伏線の真相や、芸能界からの反響について聞きました。
【前編】『silent』村瀬健P×脚本家・生方美久が語る舞台裏「ことさらに演出をしない」
「湊斗」の名前の由来はスピッツ!随所に見られるスピッツ愛
――第3話で、戸川湊斗(鈴鹿央士)が、部屋で見つけたてんとう虫を逃がすシーンがありました。てんとう虫は「幸運のシンボル」とされることから、SNSではさまざまな考察がされています。
「てんとう虫は幸運のシンボル」という話は、監督も交えての打ち合わせで、すでに出ていましたが、みなさん、すごくじっくり見てくださっているなと思いました。
第1話でスピッツの楽曲「魔法のコトバ」を流しましたが、このCDジャケットにてんとう虫が描かれていることも、SNSで考察されていますよね。実はこれも、打ち合わせで軽く話していたんですが、放送後に話題になって、結構驚いています。
――主人公・青羽紬の名前から、スピッツの「若葉」「つぐみ」を連想するといった声も出ています。
詳しくは企業秘密ですが(笑)。脚本を手掛けた生方美久さんも僕も、スピッツが大好きなので、今回の作品にはいろいろ影響しています。僕は、高校時代にスピッツのコピーバンドをやっていたほど好きです。
スピッツの曲って、メロディがハ長調で、ピアノなら「ドレミファソラシド」の8鍵だけで弾ける簡単な構成が多いんです。歌詞も、みんながよく使う言葉が並んでいるのに、独特な雰囲気になっているのが特徴だと思っていて。
一方でMr.Childrenなんかは転調しまくるし、8鍵以外の音もいっぱい使うし、歌詞もすごく文学的な言葉が使われている。
それで言うと、生方さんの脚本は、すごくスピッツ的だと思うんです。いい意味で平易な言葉を使って、ハ長調のような耳障りの良さがあるのに、すごく深いことを言っている。「生方さんの脚本ってスピッツみたいだな」と思っていたら、生方さん本人が「(草野)マサムネさんの世界観が大好き」と言っていて。
「こういう設定でドラマを作ろう」と考えた時点で、僕の頭の中にスピッツの「楓」が流れたんですが、生方さんもやっぱり「楓」をイメージしていたみたいです。「楓」は第1話で少しだけ流した楽曲です。
ほかにも、生方さんが「みなと」という曲から「湊斗」の役名を考えたり…というように、スピッツはドラマのいろいろなところに散りばめられています。
――「魔法のコトバ」は映画「ハチミツとクローバー」(2006年/以下、ハチクロ)の主題歌です。さらに、同作に登場するセリフ「人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった」を湊斗が口にするなど、「ハチクロ」との関連も話題です。
「ハチクロ」はちょうど、生方さんやドラマの登場人物たちの世代で流行った作品なんですよね。「『ハチクロ』は彼らの世代にとって、ものすごく大きい存在だった」という話も聞いて。だから、狙っているとかではなく、ごく自然に出てきたのだと思います。
SNSでも話題!紬×想「窓越しの会話シーン」は予定外だった
――第3話では、紬(川口春奈)と湊斗がファミレスの窓越しに会話をしようとするも、意思疎通できないシーンがありました。その後、紬と想(目黒蓮)がカフェの窓越しに手話でスムーズに話すシーンが登場。SNS上では「あえて対比させたのでは」という見方も出ていますが、実際どうなのでしょう?
あれは、先に紬と湊斗のシーンを撮っていて、紬と想のシーンは本当は渋谷の路上で撮る予定だったんです。ただ、おかげさまでドラマの反響がすごくて、川口さんと目黒さんが昼間に渋谷に現れると大変なことになるだろうと考え…カフェで待ち合わせ、という設定に変えました。
生方さんと、第3話を担当した髙野舞監督と僕で話しているときに「(第2話で紬と想が会った)あのカフェなら窓がすぐ横にあるから、湊斗と同じように窓越しに話すことで対比にできる」と、思いついたんですよね。
その場で生方さんに脚本を書き直してもらい、髙野監督が演出を考えました。だから“偶然の産物”とまでは言わないけれど、チームのフレキシブルさから生まれたもので、結果的にすごくいいシーンになりました。
――ナインティナインの岡村隆史さんや、パンサーの向井慧さんが、ラジオやTwitterで話題にするなど、芸能界でも大きな反響があります。
「ナインティナインのオールナイトニッポン」は僕も聞かせていただきましたが、びっくりすると同時に、うれしかったです。あの岡村さんが「泣きそう」とお話しされていたので、本当に泣いてもらえたら素敵だなって。岡村さんに泣いてもらう、という目標ができました(笑)。
向井さんは、これまでにも『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年/フジテレビ)のことを話してくださっていて。ドラマ好きですよね。
芸能界に限らず、ドラマ好きの方はもちろん、そうでない方も、こんなに多くの方が『silent』について語りたいと思ってくれていることが、作り手として本当にうれしいです。こんなに幸せなことはありません。
おかげさまで、見逃し配信でリピートしてくださる方も多くて。僕自身もTwitterでつぶやきましたが、登場人物の気持ちが分かった上で第1話から見直すと、物語の見方が大きく変わると思うんです。連続ドラマの面白さって、こういうところにもあるんじゃないでしょうか。
今は見逃し配信があるおかげで、何度でも見直せます。さらに、SNSでドラマについて語り合える。なんて素敵なんだろうと思います。『silent』は、見逃し配信という“新しいメディア”に、すごく合っているのかもしれません。
視聴率もさることながら、再生回数が話題になることが、テレビドラマの新しい物差しになっていくだろうという手応えを感じています。
「作ったものが、どう受け止められるか」キャリアを重ねた今も緊張
――村瀬さんはTwitterで「放送前夜は緊張して眠れなくて。放送日の夜はどう受け止められたか気になって眠れなくて。結局オンエア前後は眠れないまま過ごしてます」とつぶやいていましたが、村瀬さんほどのキャリアがあっても緊張するものですか?
毎回ドキドキですよ!僕はここ5年ぐらい、映画制作をしていたので、視聴率からは離れていたんです。映画も興行収入という指標はあるけれど、それが出るのは、映画が完成した後ですから。視聴率は、リアルタイムでドラマを作っている最中に出るから、ものすごくドキドキします。
視聴率だけではなく、SNSもそうです。やっぱり自分が作ったものが、みなさんにどう受け止められているかは気になります。その緊張は昔から変わらないし、今回は特に強く感じます。多くの方にドラマを楽しんでいただけている分、すごく気にしています。
――視聴者のみなさんの声を受けて、ストーリーは変わったりするのでしょうか?
物語を大きく変えることはないですが、細かい部分に影響することはあると思います。でも連ドラの良さって、そこだと思うんです。映画は完成したら、お客さんの反応を取り入れることはできないけれど、連ドラはみなさんの声を反映できますからね。
みなさん、第4話までご覧いただき、ありがとうございます。第5話以降も、ぜひご覧ください!
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