3人の俳優が、年齢、悩み、俳優という仕事などについて語りました。
11月13日(日)の『ボクらの時代』は、11月23日(水・祝)公開予定の映画「母性」で共演している戸田恵梨香さん、永野芽郁さん、高畑淳子さんが登場しました。
11歳年の差のある戸田さんと永野さん。戸田さんが「芽郁ちゃんには気を遣わない。私のギャグとかも、理解してくれてます」と言うと、永野さんも「戸田さん、本当に面白いんです」「ひと言突っ込みを入れるか、ひたすら笑ってます」とにっこり。
和やかに鼎談がスタートしました。
「若いから大丈夫」と言われてしまうつらさ
高校卒業後の進路を決める際に、女優の道を選んだという高畑さんは「30代まで何も仕事ができなかった」と下積み時代を振り返り、戸田さん、永野さんに「若くてお美しいときに、じゃんじゃん仕事ができるってどんな気持ちだろうと思う」と投げかけました。
高畑:朽ち果てたときにしか仕事ができないっていうのと、自分の持っている美しさを武器にお仕事ができるっていうのって、すごいじゃないですか。
戸田:うーん。
高畑:きれいなときは、そう思わないのか。
永野:私は、なんかずっと年齢に抗(あらが)おうとしているんです。
戸田:ほお。
永野:なぜか、早く年を重ねたくて。今は、どれだけ同じことをしても、どれだけ同じように寝ていなくても「若いから大丈夫!」って、絶対言われちゃうのが、何かちょっとしんどくて。
戸田:うん。私もそんな時期ありました、確かに。
高畑:そう。
戸田:若い…けど、しんどいときはしんどいし、きついなって思うときがあるのに、「それは言い訳になるんだな」みたいな。
永野:(うなずく)
高畑:ふーん。
戸田:「若くてピチピチなうちに!」というよりは、「ちゃんと自分の足で立ちたい」という思い、そっちが強かったです。
戸田さんの「自立したい」という思いは、父親の影響を強く受けていたといいます。
戸田:「恵梨香は、早く東京に行って仕事をしなさい。学校なんか行かなくていい。仕事一本でやれ」って(父親に)言われて。運良くオーディションに受かって忙しかったんですよ。私は、下積み時代そのものは、ほとんどなかったんです。だけど、自分に得意なものがない。お芝居ができない。演出されている意味がわからない。演出家に言われている言葉がわからなかったんです。
高畑:へぇ。
戸田:「もうちょっと早く言え」って言われると、ただの早口言葉になっちゃうとか。
永野:(うなずきながら聞き入る)
戸田:落ち込んで、家族に「私もう無理かもしれない。できない。向いてない」って弱音を吐いたときに、「恵梨香を食べさせるくらいの余裕はあるから、いつでも帰ってきなさい」って言われて。そのときに「あ、帰っちゃだめだ。自分に負けるなんて嫌だ」って、負けず嫌いが発動したんですよね。
その父親からの言葉をきっかけに、「頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせてきたと語りました。
高畑淳子「悩みや不安を解消する方法はない」
戸田さんは「悩みや自分の中にあるネガティブなものって、どうやって解消されているんですか?」と高畑さんに聞きました。
高畑:意外とグジグジすることがあるから、目の前にうわっと怒涛のように(悩みが)押しかけることはあるね。
永野:うーん。
高畑:それは、ないわけではなくて。(解消する)方法はない。考えるし、それに苛(さいな)まれる。(戸田さんに)どうしてる?
戸田:私は、本当にずっと考えちゃうタイプなんですよ。
高畑:考えるよね。
戸田:うん。特に、ベッドに入って「よし寝るぞ」っていうときに…。
高畑&永野:わかるー!
戸田:一番、(悩みや考えごとが頭の中を)回転しちゃうんですよね。
高畑:なんで寝る前に来るわけ?あいつら。
戸田:なんででしょうね。
永野:あははは。来ます、寝る前に来ますよね。
戸田:あれ、苦しいですよね。
戸田恵梨香「この人がいる」という安心感
そこで、高畑さんは戸田さんに「でも、今はパートナーいるから、いいじゃない」と言いました。
戸田:夜になって、ベッドに入るといろんなことを考えちゃうというところから、割と恐怖心みたいなものが芽生えたりとかするんですよ。
高畑:うん、うん。
戸田:あとは、死について考えちゃう。子どものころから「いつか死ぬんだ」っていうことを考えると、シクシク泣いていたんですけど。
高畑:わかる。
戸田:いまだに、泣きそうになるくらい恐怖に苛まれる瞬間があるんですよ。だけど、(結婚したことで)「この人がいる」っていう安心感が芽生えて。ようやく「あ、一人で死なずに済む」って。少し楽になった部分はあります(照れ笑い)。
高畑:…ごちそうさまでした!
戸田:あはははは!
永野:(笑)。
戸田:いつかは子どもが欲しいとか、いつかの子どものこと考えたら、やっぱり長生きしたいなって思うし。
それを聞いた高畑さん、永野さんは「私たちも(戸田さんの)ベビーが見たい」と声をそろえました。
永野芽郁「メンタルが強くなりました」
一方、永野さんに結婚願望を聞くと…。
永野:いつかできたらいいな、くらいに思ってます。
戸田:何歳までにとかそういうのは?
永野:30代のうちに、くらいですかね。子どもが好きなので、いつか子どもが欲しいなって思いから、「30代くらいで結婚できたらいいなぁ」とは思ってます。
「でも、やっぱりまだ想像ができない」と話す永野さんに、戸田さんは「もし芽郁ちゃんが結婚するってなったら、泣いて喜ぶかもしれない」と思いをはせました。
高畑さんが「いいお母さんになりそう」と永野さんの印象を語ると、話題は「俳優という仕事について」へ。
高畑:荒れないほうでしょ?感情のアップダウンが。
永野:そうですね、あんまり振れ幅もないかもしれない。
戸田:へぇー。
永野:メンタルが強くなりました。
戸田:なんで?
永野:傷つくことってやっぱり多いじゃないですか。思いもしないところで傷ついたり。
高畑:ある。
永野:それに触れるたびに、最初はすごく落ち込んで悲しがっていたんですけど。それに疲れちゃって。「免疫だ!」と思って耐えてたら、強くなりまして。
高畑:(うなずいて)鍛えられるよ。女優は一番、鍛えられるよ。
高畑さんが「強くなきゃできないよ。女優さん、みんな強いもん」と言うと、戸田さんも「そうじゃないと、世間の声に耐えられなくなりますよね」と共感していました。