心臓移植を拒否する少年の本心を聞いた武四郎（吉沢亮）は…＜『PICU』第6話完全版＞

全ての画像を見る

“しこちゃん先生”こと志子田武四郎（吉沢亮）は、丘珠病院のPICUから網走の病院、へ転院する杉本淳之介くん（松野晃士）くんと父・亮平（結木滉星）を見送る。網走までは救急車での搬送になるため、PICUの科長・植野元（安田顕）が同行した。

＜ドラマ『PICU 小児集中治療室』これまでのあらすじ完全版＞

武四郎が先輩医師の綿貫りさ（木村文乃）とともに、急性リンパ性白血病で7歳のころから丘珠病院の小児科を受診してきた立花日菜ちゃん（小吹奈合緖）の回診を行っていると、ずっと意識がない状態が続いていた隣のベッドの小松圭吾くん（柊木陽太）が目を覚ます。

植野からカンファレンスを仕切る役目を任された武四郎は、麻酔科医の今成良平（甲本雅裕）や小児外科科長の浮田彰（正名僕蔵）、救命医の東上宗介（中尾明慶）らとともに、圭吾くんの今後の治療方針を検討。

拡張型心筋症で、心不全の憎悪を何度も経験している圭吾くんには、心臓移植が必要だったが、圭吾くんは心臓移植を希望しておらず、移植待機の登録もしていなかった。

圭吾くんの担当医となった綿貫は、サポート役の東上、武四郎とともに彼にあいさつをする。

ところが圭吾くんは、胸に聴診器を当てようとした綿貫の手を振り払い、「どうせ死ぬんだから放っとけよ！」と言い放った。

その夜、しばらくの間、志子田家の世話になる予定の幼なじみ・矢野悠太（高杉真宙）がやってくる。涌井桃子（生田絵梨花）、河本舞（菅野莉央）も駆けつけ、夕食をともにした。

桃子たちが帰った後、武四郎は悠太に、丘珠病院で働いたらどうかと持ちかける。すると悠太は、網走総合病院を辞める時、看護師さんから助けられなかったことを謝られた、と話す。「俺、逃げてきたのに…」。そうつぶやく悠太に、武四郎は、逃げたわけじゃない、しばらく休んでもいい、と告げた。

眠りにつく前、武四郎は悠太に、さりげなく母・南（大竹しのぶ）の体調を探ってほしいと頼む。武四郎は、南の顔色がすぐれないことに気づき、心配していた。

あくる日、圭吾くんの体調が急変。処置にあたった武四郎は、綿貫の手が震えていることに気づいた。幸い、圭吾くんの容体は落ち着き、武四郎たちはホッと胸をなでおろす。

だが、圭吾くんは「何で助けたんだよ！」と叫んで暴れ、その際に倒れた点滴台が顔に当たった武四郎は、頬に傷を負ってしまう。

武四郎と綿貫が、圭吾くんを検査室に連れて行こうとすると、藤原優里ちゃん（稲垣来泉）が圭吾くんに声をかけてきた。

彼女は、圭吾くんの幼なじみ。優里ちゃんから話を聞いた武四郎は、彼女が圭吾くんに会うために、土日を利用して札幌に住む祖母の家に泊まりに来ていること、圭吾くんに会うのは2年ぶりであること、SNSで連絡しても返信がないことを知る。

武四郎は、そんな優里ちゃんに、手紙を書いてみてはどうか、とアドバイスした。

圭吾くんの母・真美子（野村麻純）は、優里ちゃんから受け取った寄せ書きと修学旅行で行った東京のみやげだという“願い事が叶うキーホルダー”を手渡す。しかし圭吾くんはそれを投げ捨ててしまった。

真美子が拾い上げてもう一度圭吾くんのベッドに置くと、寄せ書きを破り、キーホルダーを真美子に投げつける圭吾くん。廊下にいた優里は、そんな彼の姿を見てしまい…。

夜、武四郎は、テープで直した寄せ書きを持って圭吾くんのもとを訪れる。隣のベッドの日菜ちゃんから、「圭吾くんはたぶん怖いんだよ」と教えられたことを話す武四郎。日菜ちゃん自身も、倒れて目を覚ました時、もう次は目を覚まさないかもしれないと思うから一番怖いのだという。

武四郎は、圭吾くんの気持ちが知りたいから話してほしいと頼んだ。そこで圭吾くんは、怖いという思いや、自分だけが取り残されていくことへの悔しさを口に。心臓移植を拒否していたのも、他の子どもが死ぬのを待つのが嫌だからだと明かした。

仕事を終えた武四郎が帰宅すると、悠太の姿がない。良い部屋が見つかって、不動産会社に行ったという。

武四郎が圭吾くんの話を打ち明けると、「その子はきっとわかってるんだろうね。子どもの命ってものすごく重いって」と言う南。武四郎は、そんな南の顔色が悪いことを切り出し、「子どもの命も大事だよ。でも母ちゃんも大事だから。体、つらかったら病院行きなよ」と告げた。

不動産会社から戻ってきた悠太は、南がヘルニアを患っていることを武四郎に伝える。南は、病院を受診し、薬ももらっているらしい。

そのとき、武四郎のスマートフォンが鳴る。圭吾くんの容体が急変したという知らせだった。

武四郎がPICUへ急行すると、胸を押さえて苦しんでいる圭吾くんは「助けて」と訴える。武四郎は、手の震えに襲われていた綿貫に代わって鎮静剤を投与した。

植野と武四郎は、圭吾くんの両親に、心臓に負担をかけないために薬で眠らせて安静にしてもらっていることを伝える。だが真美子は、眠らせてそのまま逝ってしまう可能性はないのか、と言い出す。

「人生に絶望して、そのまま亡くなってしまったら、あの子の人生って一体何だったのでしょうか」。真美子の言葉が武四郎たちの胸に刺さる。病院に来ていた優里ちゃんも、真美子の様子から圭吾くんの病状が良くないことを感じ取っていた。

帰宅した武四郎は、南にある頼みごとをする。それは、桃子の会社のバスを借りて、圭吾くんに修学旅行を体験してもらおうというものだった。

カンファレンスで武四郎は、外に連れ出す危険性は理解しているが、今までにいろいろなことを諦めてきた圭吾くんにこれ以上諦めてほしくない、と訴えて植野の了承を得ると、今成や東上らと協力して準備を始めた。

修学旅行当日、腰痛の南に代わって桃子がバスガイドを務めることに。武四郎は、東上、看護師長の羽生二子（高梨臨）、河本、そしてヘルプの悠太とともに圭吾くんに同行した。

圭吾くんの修学旅行は、札幌市内の各所を東京に見立てる形で行われた。最初は半ば呆れていた圭吾くんも、友だちと一緒にその風景の中にいる自分を想像し始める。

予定の3時間が迫る中、最後に訪れたのは、優里ちゃんやクラスメートたちが待つ土手。圭吾くんは、「会えてうれしい」「圭吾くん笑って」「早く戻ってきて」と口々に呼びかける仲間たちに、「おう！」と声を出して応えた。

病院へ戻る時間になり、バスが走り出した。走ってそのバスを追いかけた優里ちゃんは、「中学生になったら、一緒に部活に入ろう！高校に入ったら、一緒にバイトしよう！大学生になったら、一緒に東京に旅行に行こう！約束だよ！」と叫ぶ。

そんな彼女に、「優里、大好き！」と伝える圭吾くん。「私も！大好き！」。優里ちゃんもそう答え…。

圭吾くんのベッドには、優里ちゃんとお揃いのキーホルダーが飾られていた。

心臓移植を決意した圭吾くんは、「大きくなって、優里と同じ大学行って、結婚するわ。だから俺、先生みたいな大人になりたい」と武四郎に告げた。

武四郎は、後片付けをしていた桃子に差し入れを手渡し、礼を言った。圭吾くんの修学旅行でバスガイドを務める予定だった南が準備をしていた最中に倒れ、苦しんでいたことを思い出し、涙をこぼす桃子。

帰宅し、ゴミ箱の中身を確かめる武四郎。ゴミ箱は今日も空っぽだった。

武四郎は、南が最近食事をとっていないことを指摘すると、改めて「今日、なんで来なかったんだよ」と問いかけ…。

＜ドラマ『PICU 小児集中治療室』は、FODでも配信中（最新柳回は期間限定で無料）＞