『イタズラジャーニー』の松本祐紀チーフプロデューサー(以下、松本CP)が、番組の裏側を語りました。

1月7日(土)21時より、かまいたち(山内健司さん、濱家隆一さん)、チョコレートプラネット(長田庄平さん、松尾駿さん)が出演する、土曜プレミアム『イタズラジャーニー 新春2時間SP』(フジテレビ)が放送されます。

この番組は、かまいたちとチョコレートプラネットの4人に、旅の道中でさまざまなイタズラをしかけ、毎回予想外の展開やリアクションを楽しむというもの。

ツアーガイド役を務める渋谷凪咲(NMB48)さんも、段取りは把握していますが、イタズラの詳細までは知らされていません。

これまで2度の特番を放送し、10月からは毎週土曜18時30分よりレギュラー放送(※関東ローカル)がスタート。

松本CPは、2002年に『ワンナイR&R』のADを担当。その後『クイズ!ヘキサゴンⅡ』『はねるのトびら』などでディレクターを経て、『人志松本のすべらない話』『さまぁ~ずの神ギ問』などの番組で、プロデュースを担当してきました。

今回、松本CPに、かまいたちとチョコレートプラネットの現場での様子や、イタズラへのこだわりなど話を聞きました。

かまいたち、チョコプラは「ずっと嫌がっていて、終始テンションが低い」

――昨年10月から、毎週土曜18時30分でレギュラー放送が始まりましたが、評判はいかがですか?

過去にスペシャルを2回やっているんですけど、レギュラー放送は30分ということで、どうやってうまくストーリーを伝えようかと工夫しています。

番組では「シーズン制」と呼んでいて、シーズン1が「愛知編」(30分×5回放送)で、今放送されているのがシーズン2の「静岡編」みたいな。どう輪切りにしても、(30分の放送で)面白く見られるようにと工夫しています。

――かまいたち、チョコプラからの反応がよかったものは、どんなイタズラですか?

面白かったなと思うものは、いろいろあるんですけど。(反応としては)基本、4人ともずっと嫌がっていて、終始テンションが低いです(笑)。

うちの番組では、必ず最初に大玉が転がっていくんですよ。まず「その玉を誰が受けるんだ」と、みんなビクビクしながらオープニングをやっていたりするので、そこはやっぱり面白いですね。

あと「イタズラ透視チケット」という、何のイタズラを受けるのかが(事前に)分かるものがあるんですけど。

食事のシーンで、注文するもの中で1つ、2つがイタズラになっていると、透視した人はどの料理がイタズラなのか分かるわけじゃないですか。ここでの、かまいたちとチョコプラの心理戦のトークは、抜群に面白いですね。

「大玉転がし」への熱いこだわり

ロケ地が決まってから、撮影するまでに準備期間を2ヵ月くらいかけるというこの番組。

撮影場所を決める際に、大事にしていることを教えてくれました。

――イタズラを仕掛ける場所を探す際の、こだわりはありますか?

“坂ありき”の番組なので、まず坂があるところを探します。

坂を見ると玉を転がしたくなるスタッフがいるので、坂ありきで考えていますね。

――テレビならではの、イタズラの規模感みたいなことは意識していますか?

そうですね。でかい仕掛けであるほど、イタズラがバカバカしく見えるように意識しているというか。

でかい玉を作って坂を転がしているだけなんですけど、あの大玉には美術の力がすごく詰まっていて。

僕も1回シミュレーションで大玉を喰らったんですけど、やばいんですよ、マジで。

――もしケガをさせてしまったら、大問題になりますよね。

そうなんです。玉自体は、結構固いんですよ。だから本当に玉の(転がる)スピードが速すぎると、ケガしちゃう可能性があるんですよ。

あと(倒れる場所に)マットを敷くタイミングとか、あの辺は美術と制作スタッフで事前に、何度もシミュレーションをして「このスピードなら大丈夫か」と練った上でやっていますね。

ただ威力が弱すぎても面白くないじゃないですか。そこの微妙な塩梅といいますか、絶妙に面白いところを狙っていて。玉のことについてこんなに語る人もいないと思いますけど(笑)、結構そこを大事にしていますね。

若い美術さんには、あの規模の道具を作ったり、爆破(のイタズラ)も含めて、そういったノウハウがなかったりするんですね。なので、そこはちゃんと演者さんやスタッフをケガさせないために、手練れの美術さんに入ってもらい、仕切ってやってもらっています。

――あのようなイタズラを考えつくスタッフの方は、どのような方ですか?

演出は、池田哲也という人物なんですけど、彼は『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)育ちで、AD時代は(総合演出の)片岡飛鳥という人間に鍛え上げられて。

『めちゃイケ』を辞めた後に、遠藤達也というフリーのディレクターを師匠と仰いで、一緒にやって。片岡飛鳥と遠藤という、モノの作りかたがまったく違う2人についたことで、ハイブリッドな新しいディレクターが誕生した感じですね。

イタズラの多くは、主に池田という演出家の頭の中から出てきていて。野球が大好きだから野球のイタズラが多かったりとか、昔見ていた映画「キョンシー」が好きだからキョンシーが登場したり、「桃鉄」が好きだったから、桃鉄のいたずらが出てきたり…。

こういう番組って特にそうなんですけど、個人の引き出しから考えていくので、偏ってはいるのですが、突き詰めていく中で面白くなっていくという。

あと、池田はイタズラを考えるときに、「自分の子どもが見て、笑うか笑わないかをすごい大事にしている」と言っていました。多分、大玉が転がってきて、人にぶつかれば子どもは笑うだろうという発想です。

大玉だけじゃないですけど、結局、かまいたちさんとチョコプラさんのリアクション芸を見る番組でもあるので。リアクションができる程度のイタズラじゃないと、受ける側も嫌がれないじゃないですか。

ある程度、痛みを与えないと、笑いは降ってこないし、おそらく、本人たちも(そのことを)分かっていると思うんですよ。

ただ、嫌すぎることをやらせてしまうと、いじめっぽくなっちゃうので、(そうならない)ギリギリのラインを攻めるというところが、一番大事なところかなと思っています。

キャストは「イタズラを回避する」ことに“全振り”

――イタズラを受ける、かまいたちとチョコプラはどうですか?

冗談じゃなくて、本当に(イタズラを受けるのが)嫌なんですよ、あの人たち(笑)。

バスの中でも暗いし、全然喋らないし。みんなずっと携帯をいじりながら「どこ行くのかな?」とか思ってるんでしょうけど。

でも、自分じゃない人が受けているときは、めっちゃうれしそうで。そのうれしさのためだったり、「イタズラをどうやって回避するんだ」という方向を向いているところもあって。

かまいたちとチョコプラって、そんなに芸歴に差がなかったりもするので、ちょうどいい掛け合いになってるんだろうなという気がしますね。だから(キャラ的に)松尾くんとかが、多分一番背負わされたりするのでしょうけど、その辺も含めていい2組だなって思います。

――1月7日(土)放送のスペシャルで、松本さんが一番面白いと思うイタズラは何ですか?

過去にも何度かやっているんですが、番組史上最大規模の逆バンジーが出てきます。あと、とんでもない仕掛けのある玉が出てきます(笑)。

――過去の放送も含めて印象深いイタズラを教えてください。

スペシャルの回になっちゃうんですけど、松尾くんを「身代わりチケット」で、逆バンジーに飛ばしたときのリアクション。逃げ回り方が、もう何回見ても笑えます。

(見逃してもらうために)そこに落ちてるどんぐりを食べようとするとか(笑)。どうにか逃れようとしているあの感じは、めっちゃくちゃ面白いです。今回の放送でも、そのようなシーンがあるので、そこは見どころになってくると思います。

先輩への配慮よりも、“イタズラを受けたくない”

――松本さんから見てガイド役の渋谷さんはいかがですか?

渋谷さんは、大喜利力や瞬発力もありますが、なにより笑顔がいいんですよね。

この番組でいうと、みんながイタズラを受けているときに、あの笑顔を見せられるとむかつくじゃないですか、絶対に(笑)。

(スタッフから)渋谷さんにお願いしているのは、「進行に集中するよりも楽しんでくれ」ってことなんです。そうすることで、楽しそうな渋谷さんと楽しくない4人という対比が生まれて、面白くなるみたいな。

たまに出てくるワードセンスがすごいなと思うことはありますね。長田さんを呼び捨てにするタイミングとか、すごく上手いですよね。

――今回のスペシャルには、ゲストにフットボールアワーの後藤輝基さんが出演します。後藤さんが番組で、イタズラを受けているようなイメージはないのですが、いかがでしたか?

やっぱりこれって、イタズラを受けているイメージがない人であるほど、面白いんですよね。もちろん出川(哲朗)さんがやっても面白いと思うんですけど、後藤さんは、普段スタジオを仕切ってやっていて、多分こういうことを避けてきた方なので。

そういう方が(イタズラを)受けているのは面白いですよね。後藤さんがくらっているときは、みんなもうれしそうでしたよ(笑)。

もちろん4人にとっては大先輩なんですけど、それ以上に「イタズラを受けたくない」「ここに来たからには、もう同等だよね」という感じでやっていたので。

だから普段の先輩・後輩じゃないようなところも、見られたりするかもしれないです。