杉野遥亮さんが、草彅剛さんとの共演で得たものを語りました。
草彅剛さんの主演ドラマ『罠の戦争』が、3月27日に最終回を迎えます。
今作は、弱者による強き権力者への復讐劇。愛する家族を傷つけられた議員秘書・鷲津亨(わしづ・とおる/草彅)が、知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快なエンターテインメント。
息子・泰生(たいき/白鳥晴都)が瀕死の重傷を負った事件の隠ぺいを、長年尽くしてきた“先生”犬飼孝介(いぬかい・こうすけ/本田博太郎)から命じられたことをきっかけに、復讐を決意した鷲津。
犬飼ら事件隠ぺいに関わった人物を排除し、自ら政界に進出すると、取りつかれたように権力を欲するようになり、序盤では優しくて家族思いだった鷲津の豹変ぶりが話題となっています。
そして、先週放送された第10話で、鷲津を陥れるような怪文書をばらまいていた犯人が判明。それは、鷲津のもとで私設秘書として働いていた蛯沢眞人(杉野遥亮)でした。
陳情をないがしろにされたことで過労死した兄の復讐を果たすため、犬飼に近づいていましたが、実はその陳情は鷲津が受けていたということを知り、鷲津への恨みを募らせていたのです。この復讐劇はどんな決着を見せるのでしょうか。
最終話の放送を前に、杉野遥亮さんが取材会に出席。草彅さんとの共演について、最終回を目前に控えた率直な心境などを聞きました。
<草彅剛「漣さん、見ててよ」6年ぶり主演作でもあふれる大杉漣さんへの思い>
草彅剛との共演は「刺激にもなりましたし、幸せでした」
<杉野遥亮 インタビュー>
──草彅剛さんとの共演はいかがでしたか?
ずっと贅沢な時間だなと思っていましたし、ありがたい経験だなと思っていましたし、うれしかったです。
草彅さんはお芝居をしているとき、発するエネルギーとかオーラが変わるんですよね。その力に引っ張ってもらった感覚です。
そして秘かに「マネしたいな」「どうやったら(草彅さんのような芝居が)できるんだろう」と思っていて。でも、草彅さんが積み重ねてきたものは、自分とは比べ物にならないということを痛感しました。
それが刺激にもなりましたし、俳優としては幸せだったと思います。
──お芝居について、さらに考えるきっかけになったのでしょうか。
そうですね…草彅さんを見たからということだけではありませんが、今回は1人で落ち込むことも多かったです。「自分って、本当にできないな」と打ちひしがれていました。
ただ、草彅さんはそういう僕の様子をさりげなく見てくれていて、温かい言葉をかけてくださるので救われました。
それに一緒にお芝居していると「楽しいな」と思うんですよね。そういう先輩と出会えたことはすごくよかったなと思っています。
実はこの間、草彅さんと会ったんですよ。クランクアップしてからずっと会いたくて。そうしたら、マネージャーさんが「この日だったら」と言ってくれたので、会いに行って3、4回ハグしました(笑)。
──10話のラストで、ついに鷲津と対峙しました。そのシーンの撮影で、何か草彅さんと芝居の相談などしましたか?
してないです。全体を通して、僕のスタンスはまちまちだったんです。自分の感情を優先させるときもあれば、草彅さんのお芝居を見ていたときもあって。あの10話のラストシーンに関しては、芝居に関して話すということはなかったですね。
あのシーン、実は個人的にはすごく悔しいなと思っていて。そこで出たものがすべてではあると思っているので、「現状の自分はこれくらいなんだ」ということを突きつけられたというか。いろいろと思うことがありましたね。
そういうシーンを経て、最終話のクランクアップの日に撮影したシーンは、草彅さんとはしゃべらなくても分かり合えている感じで。すごく胸にくるものがありました。
共演者の凄まじいエネルギーを現場で体感「先輩方との共演は財産になった」
──眞人は、最終的に鷲津に復讐するということは最初から分かっていたのでしょうか?
最初にそううかがいました。
──序盤は慕い、兄の陳情をないがしろにした張本人が鷲津と知ったあとに復讐心を燃やすようになりましたが、そんな眞人の気持ちをつくるうえで意識していたことはありますか?
自分の中で兄を思う気持ちをどれだけ内面に作れるかが勝負でしたね。そのうえで、気持ちを抑えるとか、出すということが…難しかったです。
ただ感情とバックボーンと役を入れるだけでは、表現できないな、と。会話の前後のセリフとか、自分が引っかかるポイントを見つけるのにちょっと苦労しました。
今回、いろいろな先輩のお芝居を間近で見て、自分の芝居を崩してみたりしていたんです。「こうかな?」「違うか」「じゃあ、これは?」と。何かを見つけたいと、お芝居に対して貪欲になっていました。
そうした試行錯誤は、結果的に兄を思いながら働く眞人の気持ちとリンクするところがあったかなと思います。ただ、兄とのことは、もうちょっと自分の中で膨らませられたはずなんですよね…撮影が終わっているので、どうしても反省会になっちゃうんですけど(笑)。
あと、こんなに先輩方に囲まれる現場はなかなかなくて。1話の犬飼先生のパーティのシーンには、本当にたくさんの俳優さんが集まっていましたが、「このドラマすごいな」って、すごく楽しみだったんですよね。
その中に入らせてもらったからには、「頑張りたい」って思っていて。だから、空回っちゃったところもありますし、もうちょっと冷静になればよかったなと思っています。
──現場でそういった眞人を演じるうえでの悩みを草彅さんやほかのキャスト、監督に相談することはありましたか?
監督には、特に10話は相談しました。怒りを内包して、維持するのが難しかったので。
──最終話以降の眞人がどんな人生を歩むのかなど、思うことはありますか?
このままいったら眞人ってどうなるんだろうと、10話の台本もらった時点で想像していました。この人が進む道って、もしかしたら鷲津のあとを追うことにも、鷲津みたいになることもあり得るな、と。
でも、眞人を演じていて感じたのは、ちゃんと自分の意見や軸を持ってる人だなということ。何がしたいか、何をして生きたいか、自分はここでどうするべきなのか考えている人なので、何があってもちゃんと生きていけると思っています。
──今回の『罠の戦争』の出演で得たものは?
僕は以前、新人の頃に『嘘の戦争』に出演させていただいていたのですが、その頃と同じ監督、チームの皆さんが集まっていて、当時も重厚に感じていた現場に改めて入ることになり、「もっとできることを見つけたい」と、この現場にある種の答えを見つけに行っていたんです。
でも、先輩方を見て、いろいろな人がいて、いろいろな演じ方があるということが勉強になりました。
…本当のことを言うと、めっちゃ悔しいんです!「もっとできたな」「くそっ!」って思っていて(笑)。本当に悔しいから、次に皆さんに会えたら、もっと頑張りたい、もっと自分ができることをちゃんと表現していきたいなって思っています。
悔しかったけど、先輩方との共演は財産になりました。草彅さんと片平なぎささんが対峙するシーンとか、見に行っちゃいましたからね。皆さん凄まじいエネルギーでお芝居をされるので、それを体感できて、本当によかったなと思っています。
僕は、もうちょっと頑張ります!
──最後に、最終話の見どころをお願いします。
ずっと、鷲津さんの妻・可南子さんってステキだなって思っていて。井川(遥)さんが伝わるお芝居をされているから、よりそう思うのかもしれないのですが…心って大事だなと思いますよね。
心の大切さが伝わり、ホロッとしたり、スカッとしたりする最終回になっていると思うので、楽しみにしていてください。
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