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Superfly・越智志帆 パブリックイメージとのギャップに苦悩も…初エッセイ執筆で「楽になった」

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Superfly・越智志帆さんが初の著書となるエッセイ集「ドキュメンタリー」を刊行。デビュー以来となる取材会が行われました。

「ドキュメンタリー」(発売中)は、新潮社のWebマガジン「考える人」での連載「ウタノタネ」をまとめたもの。越智さんが人生の中でこころを動かされた出来事を、独自の感性ですくいあげ、綴った17篇と、特別書きおろし「母になること、私であること」を収録したエッセイ集です。

刊行決定のニュースが流れると、予約が殺到し、発売前に重版が決定した注目作です。

Superfly・越智志帆 パブリックイメージとのギャップに苦悩も…初エッセイ執筆で「楽になった」_bodies

書くことと歌うことの共通点は「心の底から自分と向き合うこと」

<Superfly・越智志帆 インタビュー>

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──まずは、発売日(4月13日)を迎えた感想を聞かせてください。

まさか人生のなかで、自分が書いた本が発売されるとは想定してなかったので、制作しているときは信じられませんでした。

実際に本が完成して、初めて手に持ったときに、何かすごく不思議で。「もうこの本は(すでに)世の中にあるんじゃないか」と、見たことがある感じがして。ちょっとデジャブのような、そういう感覚がありました。

これから、世の中にこの本がより一層なじんでいけばいいなと思っています。

──「ドキュメンタリー」は、どのような本になりましたか?

普段、私が頭の中で考えていることがそのまま形になったような本です。

最初に「Webの連載で3000字、好きなことを書きませんか」と編集の方からお誘いいただいたのですが、そんなにボリュームのある文章を日常で書いたことがなかったので、「果たして、できるのだろうか?」と、不安を抱えながら書き始めました。

ところが、回を重ねるごとに、どんどん文字数がオーバーし、そして、本にまとめる際に書き下ろしたエッセイでは、6000文字くらいになってしまって(笑)。図々しくも、すごく書けるようになりました。

いつもだったら自分一人で解決してしまっている何気ないことが、皆さんと共有できるような、そういう本になっているんじゃないかなと思います。

──「ドキュメンタリー」という、タイトルに込めた思いは?

エッセイの中でも書いているのですが、「作詞」と「エッセイ」は、どちらも言葉を扱う表現ですけど、「この差って何だろう?」と考えたときに、作詞は「写真」のようなもの、エッセイはまるで「映像作品」のようだなと思ったんです。

長い時間かけて考えていることを、ずっとカメラで追いかけているような、そういう感覚があって。本当にかっこ悪い私がたくさん描かれているんですけど、まさに「映像作品」がまとまったエッセイになっているので、タイトルは絶対に「ドキュメンタリー」だな、と。

私、タイトルを付けるのがすごく苦手で(笑)、曲やアルバムのタイトルもスタッフみんなの力を借りないと付けられないんです。でも、この「ドキュメンタリー」は、私が付けました。

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──このエッセイは「ウタノタネ」という連載をまとめたものですが、その「タネ」はどのように見つけていたのでしょうか?

連載は月一だったので、「これは絶対にネタ切れする日が来るぞ。どうしよう」と思っていました。でも、これが不思議と、作詞をするのと同じで、書く時期がきたら、書くべきことがやってくるんです。

テーマがふっと現れて「じゃあこれについて考えてみようかな」と進めることが多くて、あまり悩まなかったですね。

でも1回だけ、書くネタが本当にないときがあって。そのときは「考えるネタがない」というテーマで書きました。それはそれで楽しかったです(笑)。

──「書く」と「歌う」の共通点はありますか?

共通点は「思い切り、心の底から自分と向き合うこと」だなと思いました。

歌うことは、歌詞とメロディをライブで表現するという、クリエイティブだけではできないような、肉体的な表現かなと思うんです。でも、結局は1曲について「どうやったらもっといい歌が歌えるんだろう」とか、「どうやったらもっといい声が出るんだろう」と、ずっと考えて、向き合っているんですよね。

それと同じように、書くことも、「心の奥の本当のところは何を感じているんだろう」とか、「答えは何なんだろう」とか、すごく深い部分までじっくり向き合わないと、やっぱり書けない。そういう意味では、つながりがあったかなと思います。

エッセイを執筆したことで「より一層、歌詞を書くことが大好きに」

──「書く」という作業の中でこだわったことを教えてください。

一つひとつがそれなりにボリュームのあるエッセイなので、テクニックなどで乗り越えられるようなものではないから、感性一発でいきたいと思っていました。

あと、エッセイは「映像作品」だと言いましたが、素の私を描かざるを得ないようなところがあったんです。

普段の私と、私のパブリックイメージに結構ギャップがあるらしく、プライベートで初めてお会いする方に、驚かれる。そのギャップが私の持ち味とも言えるし、自分の中ではコンプレックスでもあって。

「ちょっと苦しいな」というときもあったので、普段なかなか見せることのない自分をオープンに描くことは、大切にしたいなって。パブリックイメージを意識しないように、飾らずに書こうと思っていました。

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──エッセイの中の飾らない越智さんに、読者からの反響はありましたか?

「意外だな」と言われることが多かったですね。「パワフルで強い」というイメージを持たれることが多かったみたいですが、「悩むこともあるよね」とか、身近なことを書いているので「(親近感があり)ホッとした」というようなことを言われました。

──エッセイの執筆を通して、越智さん自身に何か変化はありましたか?

かなり変化がありました。自分が考えている、飾らない言葉とか、飾らない私をお見せしたことで、気が楽になった部分もありますし、以前よりも、より一層、歌詞を書くことが大好きになり、ワクワクするようになりました。

私がこういう思考を持っているんだということを、改めて周りのスタッフや身近な人たちが理解してくれたことも大きかったです。

今、アルバム作りをしているのですが、新しい曲を作るときも、自分の考えを伝えやすくなりましたし、すごくコミュニケーションがとりやすくなって。みんなと距離が近くなったことで、新しく作った曲が良くなっているなと実感しています。

──「書く」ことが、人とのコミュニケーションにつながったんですね。

そうですね。このエッセイを書き続けることで、だんだん、みんなとコミュニケーションをとるのが楽しくなりました。

こころには形がないし、目に見えない。それが形になっていくのが文章。「書く」ということは、ものすごい表現方法ですよね。

そしてその「書く」ということが、こころのセラピーになりましたし、自分にとってかけがえのないものなんだなと気づかせていただいた、とっても貴重な時間でした。

──今後「書く」ことで挑戦したいことはありますか。

Superflyの活動の中で、ほとんどの歌詞を担当しているのですが、作詞の前に、長い時間考え事をするんですね。その考え事の時間というのはすごく大切で、それが熟成してきたころに、作詞に落とし込む、という作業をするんです。

なので、今後、歌詞を書く前に本気でエッセイ風なものを書いて、作詞につなげていく…みたいなことをやっても面白いかなと思いました。

「ドキュメンタリー」の中のエッセイは全部、作業を進めていって、メロディがあれば歌詞になることばかり。本当に「ウタノタネ」が詰まっていますから(笑)。

もっと文章を書くことに近づいていきたいなと思います。

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