ピアノが大好きになれる場所「I Love Piano」 岡山県の小さな町で生まれたピアノ教室が、広島、大阪、奈良と広まり、7年で会員数1000名になるまでの軌跡と今後への想い
コウキ商事は1964年に設立され、楽器販売ならびに音楽教室の運営をしている会社である。
「くらしに音楽を」を経営理念として、奈良県一円で音楽教室、およびピアノ・管楽器・ギターなどの各専門店を地元密着型で展開している。ただ楽器を販売するだけではなく、「音楽人口の拡大」とともに、ピアノ調律、管楽器修理など技術スタッフも多数有し、お客様が長く音楽を楽しんで頂けるようにサポートし続ける企業を目指している。
2021年からは新コンセプトのピアノ教室「I Love Piano」をFC展開し、大阪・奈良で出店を続け、2023年10月には4店舗目の「I Love Piano イオンタウン天理教室」を出店。
今回は、「I Love Piano」誕生から、コウキ商事がFC展開することにより、会員数が1000名になるまでを紹介する。
(コウキ商事・本社)
ピンチは転機のチャンス~序章~
「I Love Piano」 をFC運営するきっかけはコロナ禍だった。
2020年4月、コロナで3カ月間もの音楽教室休業を余儀なくされたコウキ商事の3代目社長に就任したばかりの西田裕亮は、苦渋の決断で不採算教室2会場の閉鎖を決めた。経営判断としては仕方ないとはいえ、「地域での音楽人口拡大」をミッションとして活動していた西田は「何かこれまでとは違う形での音楽教室展開も考えられないか?」ということで、ずっと頭を悩ませていた。
そんな中、同年夏に奈良市にあるイオンタウンのリーシング担当より、1本の電話が。
「80坪の空き物件が出たので、出店を検討しませんか?」
ヤマハ音楽教室を誘致したいという主旨の電話だった。
しかし、新規出店してもコロナでグループレッスンができるのかも見通せない時期で、もちろん出店はありえない。ましてや閉鎖した不採算会場から、さほど距離もない。
しかし、ふとその時、広島で出店を続けているピアノ教室「I Love Piano」のことが、西田の頭に浮かんだ。
「5坪くらいの物件は空いてないの?」と聞くと、「今度出ます!」
西田はすぐに広島でI Love Pianoを展開しているワタナベミュージックラボ・渡邊社長のもとに向かった。
西田社長が向かったI Love Piano Vol.8 フジグランナタリー教室
I Love Piano誕生まで~第1楽章~
そもそも、「I Love Piano」という教室はどのように誕生したか、生みの親であるワタナベミュージックラボ・渡邊社長の視点から紹介します。
~I Love Piano1号店の誕生~
「ピアノ?子どもの時に習っていたけど先生が怖くてやめました。」
「昔習っていたけど挫折した。」
「ピアノ習っていたけど、弾けません」
昭和40〜60年代、子どもの習い事といえばピアノ。それなのに現在大人となった人のほとんどの方が「弾けない」と答える。ピアノという楽器は鍵盤を打鍵すると、ハンマーが弦を打ち音がなる仕組み、そう!鍵盤を押せばだれでも音が出せる簡単な楽器であるにもかかわらず、皆が口をそろえて「難しい」「苦手」と言う。
昭和29年創業のワタナベミュージックラボ(旧ワタナベ楽器店)3代目となる渡邊朋子は4歳でピアノに出会う。両親の営む楽器店には音楽教室が付随していたので当たり前のようにピアノを習い、ピアニストを目指していた。当時のピアノ教師は、たくさんの生徒を持ち、とても華やかな存在感があったが、厳しく怒ったり、ピアノを弾いている生徒の手を叩いたり、と「怖い」のがお決まりのパターンだった。渡邊自身も何度も挫折しそうになりながらも海外留学や音楽大学への入学を果たし、ピアニストとして活動を始める。演奏活動などを通じてたくさんの人と出会うが、冒頭に述べたようなピアノに対するネガティブな発言ばかり目立つことに違和感を抱いていた。ピアノは本来もっと楽しく、心が豊かになれるものであるべきなのに・・・そんな思いをもったまま、10年余り前に家業を継承する時を迎えた。
世の中は少子化、以前は生徒で溢れていた音楽教室もどんどん生徒数が減る、といった中での社長就任。だが、体質は子どもで溢れていた過去となんら変わっておらず、ピアノ教室は子どもの習い事、先生と生徒は師弟に近い上下関係が存在する、怖くても厳しくても「ピアノを上手くする先生」が良い先生とされていた。「上手にならなくたっていいじゃない?来るだけでハッピーになれるピアノ教室を作りたい。ピアノの道を目指してきた私だからこそ実現できるのではないか?」
数年間の思いが突然現実化する。ある日40坪程度の教室投資を行うため、打ち合わせに現地ショッピングセンターを訪れた渡邊。その目に飛び込んできたのは、正面入り口真横のたった6坪の空き物件。以前そこにはクリーニングの取次店が入店していた。
「ここだ!」何もないがらんどうの空間に、インテリア雑誌に載っているような部屋に置かれたグランドピアノが見え、ピアノ講師と生徒の笑い声が聞こえた気がした。
(渡邉社長が描いたI Love Pianoのイメージ図)
(岡山県井原市にオープンした I Love Piano vol.001 ゆめタウン井原教室)
ここは師弟関係ではなく、ピアノを通じて音楽を共に楽しむ場所、地域の人が気軽にお買い物のついでにピアノを楽しみに訪れる場所、名前は、そう。
「I Love Piano」がいい!
だって私はみんなにピアノが上手くなってほしいのではなく、ピアノが大好きになってほしいから。「30分個人レッスンのピアノ教室I Love Piano」が誕生した瞬間である。
社内外では斬新すぎる教室名や、型破りなコンセプトが失笑を買った。
だが、I Love Pianoはピアノを上手になるためだけの場所ではない。
「ピアノが大好きになれる場所」……ピアノをもっと気軽に、ピアノをもっと楽しく、ピアノをもっとどなたにでも……渡邊の思いに賛同するピアノ指導者は意外にも多かった。また、ピアノの指導力はもちろん、人間力が高い人材ばかりが集まってきたことに手ごたえを感じた渡邊は第1号店の看板に「Vol.001」と記す。
「え?まだ作るんですか?」
「そうだよ。100個あっても困らないように最初から3桁にしておいたの。」
また、I Love Pianoのコンセプトを語ると商業施設のテナント担当者は皆「音楽文化をスーパーマーケットから発信しましょう」と目を輝かせた。スーパーマーケットもモノだけでなくコト消費や地域のコミュニティ機能について模索していたのである。
2015年の1号店開設から、ピアノを気軽に習いたい層にI Love Pianoは支持され続け、2020年11月には11会場まで増えていた。
I Love Piano FC契約締結~第2楽章~
「I Love Pianoのようなピアノ教室を作りたい!」からFC契約へ
「I Love Pianoのようなピアノ教室を作りたい」
「商業施設にお客様が通いやすいピアノ教室を作りたい」
コウキ商事の西田社長が広島に向かったのは、ちょうど「vol.011 フレスタ海老園教室」がオープンする直前だった。2会場を見学して、自身も楽しくワクワクした気分で帰った西田は当初「I Love Pianoのような教室」を目指していたが、「I Love Piano」をやりたいに変わっていた。
元々同業者としての繋がりもあり、お互い気軽に仕事の相談をする旧知の仲ではあったが、古い楽器業界の体質の中には、楽器店のFCに楽器店が加盟するというのは発想もなかった。しかし、西田の頭の中にためらいはなく、「I Love Pianoを一緒にやりたい」とすぐに申し出た。渡邊社長も「是非!」と即答。
I Love PianoがFC展開を始めることになった瞬間だった。
翌2021年4月にコウキ商事のFC1号店「Vol.13 イオンタウン富雄南教室」をオープン。エリアを越えて、関西でもILove Pianoのコンセプトは指導者、そして生徒に受け入れられた。
6年で11会場だったILove Pianoは2社で展開することになり、一気に拡大した。
移転、統合もあったものの、広島・岡山、そして奈良、大阪へと広がり、18教室で1000名に「ピアノを気軽に楽しむ人」が広がった。
両社ともにヤマハ音楽教室を長年運営しただけあり、生徒募集の実績は十分ある。
しかし、成功の秘訣は「ピアノへの想い」や「ピアノを愛する人を応援したい」という両オーナーの「想い」が地域に広がったことだろう。
もちろん順風ばかりではないが、教室が1つ増えるたびに新しい音楽教室の形が点から線になり、面をなして広がっていくことをI Love Piano代表として渡邊も実感した。
I Love Piano 今後の展望について~第3楽章~
西田は立場上、FC加盟店の一つである。が、I Love Pianoの拡大に協力的に取り組もうとしている。それはコンセプトに強く賛同しただけではない。
商業施設内にあるI Love Pianoでピアノの音が流れると、今まで思ってもなかった多くのお客様が足を止める。西田がI Love Pianoを始めて感じたことは、「世の中にはピアノに興味を持っている人が自分たちが思っている以上の人がいる」ということと、そうは思いつつも「ピアノが弾けたらいいなあ」と思っているだけで、最後の一歩を踏み出せない人が想像以上に多いと分かったことだ。
(I Love Pianoが定期的に開催するコンサートには多くの人が足を止める)
ピアノを好きになって楽しむ人を、世の中にまだまだたくさんの方を増やしたい。
楽器業界でも注目を浴びていて、同業者からもよく様子を聞かれる。
商業施設や食品スーパーの一角での出店を続けているが、I Love Pianoの存在を知った施設の担当からは今も絶えず誘致の声が続く。
2023年2月にコウキ商事は大阪に初出店した。和泉市にあるコムボックス光明池教室は想定以上のペースで多くの生徒を迎え入れている。このことで、奈良県以外のエリアへの出店にも手ごたえを感じている。今後、大阪府、京都府への出店にも意欲的だ。
まだ具体的にはなっていないものの、誘致の話は止まらない。
また、ワタナベミュージックラボ・渡邊社長は九州進出も踏まえ、西日本での未出店地域へも意欲を見せている。両社長が、これまでのFC本部、加盟店という関係にとどまらず、お互い常に情報交換や改善提案などを怠らず、より良い形を求めて活動している。
それは生徒数、会場数など数だけを求めているのでもない。
I Love Pianoはピアノを上手になるためだけの場所ではない。
「ピアノが大好きになれる場所」……ピアノをもっと気軽に、ピアノをもっと楽しく、ピアノをもっとどなたにでも…
この想いを西日本、そして全国へ広げて、楽しくてハッピーな教室をたくさん作りたい。
誕生から8年経っても、気持ちはブレない。
そして、これこそがお客様、ピアノ講師、地域に受け入れられている秘訣なのであろう。
(新教室オープンの際には、渡邊代表自らピアノ演奏を披露。ラクア緑井教室で)
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