「俺たちは夫婦だったんだ――」剣崎元春 (大倉忠義)は、建石澪(広瀬アリス)に過去を変えたことを打ち明ける。澪と結婚したがうまくいかなくなってしまった以前の人生でタイムスリップする機会を手に入れ、過去に戻り、別の人生を選択して生きることになったと明かす元春。しかし、澪はバカげていると言って去ってしまう。

翌日、元春も仕事に身が入らず、津山千晴(松下洸平)との関係修復もままならない。仕事を休み家にいた澪は、元春の告白と今までの行動を思い返す。すると、元春の告白と母の久恵(片平なぎさ)の妄想だと思っていた話の共通点に気づく。

終業後の元春を、澪は喫茶店に呼び出す。澪は夢の中で見ていた元春の姿と久恵の話、そして当事者でしか知ることが出来ない高校時代のバスでの出来事を元春が知っていたことで、過去を変えた話に納得するしかないと告げた。

続けて澪は、なぜ結婚生活が上手くいかなくなったのかと元春に問う。元春は仕事にかまけて家事や育児をないがしろにし、澪が寂しい思いをしていることに気づこうともしなかったことで、辛い思いをさせてしまったと謝る。そして、自分は澪にふさわしくないと告げて店を出た。

それでも諦めきれない澪は、木田なぎさ(川栄李奈)から元春の宿泊しているホテルを聞いて車で連れ出す。二人は元春の前の人生で行った初デートの海辺へ。澪は結婚生活の破綻はどちらか一方のせいではないと話し、悪いと思っているなら今の自分のそばにいて欲しいと元春に伝える。

そんな時、元春の携帯電話に西徹也課長(マギー)から緊急連絡が入る。沙也佳(瀧本美織)の父、江川秀彦(山田明郷)に頼まれて元春が銀行に紹介した融資先が不渡りを出したのだ。元春が電話すると、秀彦は自分も騙されたと謝った。

この不渡りは、元春が勤務する支店存続に関わる大きな出来事だ。津山が調べると、融資先は支店の融資を受けた直後に破産手続きを行っていたため、計画倒産の疑いも出てくる。

宮本和弘支店長(おかやまはじめ)は、倒産した融資先から報酬をもらったのではないかと本店から疑惑の目を向けられた。そんな時、融資先の住所は東京なのに、軽井沢から投函された郵便物を津山が見つけ、元春の顔色が変わる。

元春は、秀彦が持つ軽井沢の別荘に向かう。すると、秀彦が倒産した融資先と電話で話しているではないか。元春に気づいた秀彦は、融資は仕組んだわけではないと言う。金は投資で出したマイナス補填のために借り、すぐに返すつもりだったと秀彦は続けた。

今回は目をつぶって欲しいと頼む秀彦だが、支店長が解雇されてしまうと元春は譲らない。すると、秀彦は元春と沙也佳の離婚を持ち出した。この件を公にすれば、別れたばかりの沙也佳まで傷つけることになると、秀彦は元春を揺さぶってくる。

その夜、元春に沙也佳から連絡が入る。電話に出た元春の様子に、沙也佳は何かあったと察して家に呼んだ。元春は融資の件を全て沙也佳に話して謝る。だが、沙也佳は元春の判断に任せると言う。失うものが大きいと言う元春に、沙也佳は「いらないと思っていた」と答える。

元春は、監査部に赴いて全てを話す。事情を知った澪や津山、支店の同僚たちは元春の擁護に向けて運動を始める。しかし、この件については検察庁の取り調べも行われた。秀彦はもちろん、元春も検察の取り調べを受けることになる。

一方、銀行では懲戒委員会が開かれた。その結果、宮本支店長は出向という形で救われたが、元春の解雇が決まってしまう。検察の調べを終えた元春に、その連絡が入った。呆然とする元春の足は小池良治(生瀬勝久)がいる公園へ向かう。

元春は小池に、秀彦が犯罪者になったのも全て自分のせいだと話す。澪、沙也佳、秀彦と周囲を不幸にしてしまったと言う元春に、小池はやり直すチャンスはまだあると、500円硬貨を渡そうとした。

チャンスは今夜一度だけだと教える小池だが、元春は過去を変えても、またみんなを不幸にするだけだと受け取らない。元春は小池も人生を諦めているようにしか見えないと言うと去って行った。

その頃、検察に出向いたまま戻らない元春を、澪や津山たちが探し回るが見つからない。一度家に戻った澪は、初デートの海を思い出して出かけようとする。すると、久恵が来て、必要になるかもしれないと500円硬貨を澪に持たせた。澪は亡くなった夫に会うために久恵も過去に戻ったことがあるのではないかと気づいて尋ねる。微笑んだ久恵は澪を抱きしめ、早く行くようにと促した。

暗闇の波打ち際に元春が佇んでいると、澪は戻るよう呼びかける。死を意識しているのではないかと必死に引き止めようとする澪に、頭を冷やしに来ただけだと元春は言う。一緒にいて欲しいと再び強く頼む澪だが、元春は自分はみんなを苦しめると断る。さらに、澪に帰るよう告げる元春。しかし、澪はもう譲らない。元春の腕を取り、ずっと一緒にいるとしがみついて離れない。元春は澪に譲り、ホテルまで送ってもらう。

澪の車を見送った元春は、小池の元へと向かう。元春の顔を見て全てを察した小池は、500円硬貨を渡した。元春は車に乗って、ひとりで時間を超える料金所へ。硬貨を投げ入れ、「もう戻らない」と元春が決心して発進させた車は、闇の中へと吸い込まれるように消えた。