4月3日(土)、生配信オンラインイベント「ボクらの時代 The Deep」が開催され、宝塚歌劇団トップスター、トップ娘役として活躍した安蘭けい、柚希礼音、夢咲ねねが出演した。

本イベントは、毎回さまざまなゲストが集って語り合うトーク番組『ボクらの時代』(毎週日曜7時〜)の、番組初となるオンライン企画。レギュラー放送よりも長い90分ノーカット、台本なしのフリートークで、ゲストたちの“生の声”を引き出す。

今回出演した3人は、宝塚歌劇団星組の先輩、後輩にあたる。安蘭は確かな歌唱力で退団後も数々の舞台・ミュージカルで活躍しており、今月には「芸能生活30周年コンサート」を控えている。

柚希は安蘭からトップの座を引き継ぎ、ダイナミックなダンスと洗練された男役像でファンを魅了。退団時の千秋楽公演ではライブ中継で大勢の観客を動員するなど、絶大な人気を誇る。夢咲はトップ娘役として柚希とコンビを組み、その華やかさで見る人の多くを虜にしている。

トップスターの癖が抜けない安蘭「センターが私を呼んでいる」

柚希から進行役を頼まれた安蘭は「聞き役で…」と返すなど、和気あいあいとした雰囲気でスタート。まず柚希は、安蘭が“組替え”で星組にやってきた当時のことを「革命が起きた。新しい風が吹いた」と懐かしそうに振り返った。

宝塚時代を懐かしそうに振り返る、安蘭けい

柚希は、安蘭が務めた役を新人公演で演じることが多かった。しかし、華奢な安蘭の衣装は、柚希の体にはなかなか入らず…。シワ加工が施された衣装を頑張ってそのまま着た際は、安蘭直々に「シワ加工・ちえ(柚希の愛称)が履いたら・ピタパンツ」と一句もらったと、笑いながら回顧した。

夢咲の印象について、安蘭は「スタイルの良さ。背中がめちゃめちゃ柔らかい」と、柔軟性に驚いたそう。柚希も「脚が長すぎる」と目を丸くすると、夢咲は謙遜しながら照れ笑い。

すると、柚希は「トップになって10kg痩せました」と驚きの発言。「2番手だった最後は、めちゃめちゃ太ってたのに」と続け、トップスターならではのハードな日々を暗示させた。安蘭はトップ就任の約3年前、重要な役どころを立て続けに演じたときに、もっとも痩せていたそう。「体脂肪率を測ったら一桁で、腹筋割れてたもん。パンツの中にもう一枚パンツを履いてた」と、下着すら緩くなったと明かした。

退団から、安蘭は12年、柚希は6年経つが、男役出身ゆえの苦労について柚希は「女の園で育ちすぎて、すぐ着替えちゃう」と告白。舞台袖に入るや否や、すぐに衣装を脱ぎ始めて、周りを困惑させてしまうのだとか。これに対し、安蘭は「恥じらいないの?」とツッコんで笑いを誘った。

しかし、そんな安蘭も「肩で風きって歩く。あと、気付いたら絶対センターに立ってる」と、トップスターならではの癖が身に染み込んでいるよう。「0番(センター)が私を呼んでるんだと思う」と、名言まで飛び出した。

安蘭も柚希も、退団後は女性役を演じている。安蘭は2016年にミュージカル「THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット・ピンパーネル)」でヒロインを演じたが、トップコンビを組んでいた遠野あすかに見られて「恥ずかしかった」と本音をポロリ。

柚希も「(「ロミオとジュリエット」の)ジュリエットやれって言われたら、ねね(夢咲)に見られるの嫌かも」と苦笑い。夢咲は、柚希の退団後初舞台の姿は「すごく素敵だった」と言うものの、別作品で「初めてのキスシーンを見て、恥ずかしくなっちゃって。ボルテージあがりました」とお茶目に笑った。

そんな夢咲も、在団中はスカートばかり履いていたが、退団後は「パンツはきます、すごいラク。ちえさんと一緒にお買い物した時のデニムとカーディガンを、いまだに持っています!」と声を弾ませた。

そして話題は、宝塚の品格を保つための暗黙の規範「すみれコード」に。当時は、“人前で食べ物を口に入れるところは見せない”などのルールが存在したのだが、柚希はこの厳しい風習を“霞を食う”と例えたかったのか、「すみれを食べる…」と言い間違い。すかさず夢咲が「かすみ」とツッコんで、一同は大爆笑。

お茶目な一面も覗かせた、柚希礼音

ちょっと天然な後輩・柚希について、安蘭は「意外とピンクが好きで、まるくチーク入れたり」とキュートな一面を語る。さらに、男性に接するときに「女性らしくならないの?」と斬り込むと、柚希は「よく分からない…」とタジタジで、安蘭と夢咲は大笑い。

夢咲は、初めてのバレンタインデーで柚希に気を使わせぬようにと、手頃でお茶目なチロルチョコセットを渡したそう。しかし柚希は、きっと慌てて用意したのだろうとショックを受けたそうで、安蘭から「もらえたご身分で!ありがたいと思いなさい!」と喝を入れられた。

安蘭が、意外と夢咲より柚希のほうが男性に甘えるのではとイジると、柚希は「私そんなんしない!」と必死に否定。そんな様子に、安蘭も夢咲もお腹を抱えて笑っていた。

その後も、安蘭が「男性に対して、夢を見過ぎた」と宝塚出身ならではの苦悩を打ち明けたり、柚希が男役になり切るまでに抱えた葛藤や恥ずかしさを語ったりと、赤裸々トークが続く。

ここで夢咲から意外な発言が。「檀れいさんみたいな娘役になりたい」と思って宝塚音楽学校に入学したものの、身長が高い夢咲は、娘役の先輩から「え、あなた娘役やるの?」と言われてしまい、1年間だけ男役志望として学んでいたそう。先輩に従順な夢咲に、安蘭も柚希も驚きの声を上げていた。

「本当に夢咲ねねさんで良かった」柚希の愛ある言葉に、夢咲歓喜

続いて、視聴者からTwitterで寄せられた質問に答えていく。

――今のマイブームは?

柚希は「器集め。新しいお皿が入るとテンションが上がる。あとべランピング。ベランダでキャンプをします。風を受けながら台本を読んだり、考えごとをしたり」と、充実したお家時間を過ごしている様子。

夢咲は「『鬼滅の刃』。たまたまテレビを見て、気付いたら泣いてて。久しぶりにアニメにハマって映画も見に行きました!(泣きそうで)声を押し殺すのに必死」とハイテンションで語る。柚希が興味を示すと、即座に「一緒に(映画)行きます?」と嬉しそうに誘った。

『鬼滅の刃』について熱心に話す、夢咲ねね

安蘭は「韓流ドラマ。今は『結婚作詞離婚作曲』。いろんな家族が出てきて、みんな不倫する話。なんで?と思いながらも見続ける(笑)」と、ハマりすぎて朝の支度中も視聴しているという。

――在団中の大失敗は?

柚希が、夢咲の失敗を次々と暴露。羽を背負って大階段を降りる際に、衣装からうまく足が出ず落ちかける、歌の途中に咳き込むといった事件に、柚希は「めちゃくちゃ面白かった」と、いたずらっ子のような笑顔を見せた。

安蘭は「寝坊。下級生のときに開演35分前に起きた。急いで行って劇場についたのは25分前で、開演5分前には上級生に小道具を配ってた」と、冷や汗ものの失敗に苦笑い。他にも、刀などの小道具が壊れて、とっさに武器ではなく素手で戦って誤魔化すなど、男役“あるある”失敗談で柚希と盛り上がった。

――在団中の出演作品のうち、再びやりたい作品や役は?

夢咲は先日、お稽古場で柚希や演出家の小池修一郎氏らと再会した際に、小池氏が「はい『オーシャンズ11』の稽古を始めましょう!」と冗談を放ったのが懐かしかったそうで、同作を挙げた。

柚希は「やっぱりナポレオンが好きでした。全世界の中で一番“味方”なくらい好き」、安蘭は「『THE SCARLET PIMPERNEL』のパーシー面白かったな。『赤と黒』も好きだな。あの小説が大好きで」と微笑んだ。

――トップ就任時、相手役の名前を聞いたときの心境は?

安蘭はトップスターになる以前、遠野あすかと共演したときに「この人かもなって直感的に思った」そうで、実際に知らされた時も「そうだろうな」と自然に受け入れたそう。

夢咲は、たまたま1人でいた柚希に挨拶をしたら「よろしくな〜これでも見る?」とDVDを渡されたそう。そこには柚希が出演するCM映像が入っており、予想外の行動に戸惑ったと笑い出す。柚希なりの照れ隠しだったようだが、安蘭からは「恥ずかしいね〜」とツッコミが。

すると柚希は少し改まって「卒業してますます、本当に、夢咲ねねさんで良かったな」としみじみ伝え、夢咲は「どうしましょう!やだ、初めて言われました!」と、うれしさいっぱいの笑顔を見せた。

なお、本イベントの模様は、4月10日(土)23時59時までPIA LIVE STREAMにてアーカイブ視聴が可能。その後、音声配信プラットホーム「Artistspoken(アーティストスポークン)」にて4月10日(土)23時59分〜5月30日(日)23時59分まで配信される(有料/月額制)。

5月23日(日)に開催される第2回には、AV女優として活躍する紗倉まな、波多野結衣、天使もえが出演する。チケットはチケットぴあ特設ページにて発売中。第3回の出演者は本イベント公式ホームページおよび公式Twitterにて後日発表予定。