『レンアイ漫画家』第1話完全版
久遠あいこ(吉岡里帆)が働く「あかり葬祭」では、若くして亡くなった刈部純(白石隼也)の葬儀が営まれていた。 純は、あいこの高校時代の初恋相手。 あいこは先輩社員から純の忘れ形見の息子、レン(岩田琉聖)の面倒を見るよう指示される。 母親もいないため、レンは突然1人になってしまっていたのだ。
あいこがレンに挨拶をしていると、黒のパーカーでフードを被った大柄な男がやって来る。 あいこがレンに誰かと尋ねると、伯父だと答えた。純の兄、刈部清一郎(鈴木亮平)だった。 葬儀にそぐわないその風体に、親戚たちは変人にレンが育てられるのか?と呆れている。あいこが、そんな声を聞いているとレンがいなくなった。
高所にいるレンを見つけたあいこは、その姿に純を重ねる。あいこは高校時代に純に何回も告白して交際してもらったことなどをレンに話し、思わず涙目に。 そんなあいこに、レンがハンカチを渡そうと放ると、いつの間にか現れた清一郎がキャッチした。
驚くあいこに、清一郎は「レンアイしろ!」と言い放って詰め寄る。あいこは思わず清一郎を突き飛ばしてしまった。清一郎は頭を打ってうずくまってしまう。
清一郎にケガをさせたことが原因で葬儀社を解雇されてしまったあいこ。職探しも難航する中、アパートに戻ると不審な男がいた。 出版社の向後達也(片岡愛之助)と名乗る男は、あいこに仕事を依頼したいと持ちかけ、ある豪邸に連れて行く。
そこであいこを迎えたのはなんと葬儀場で突き飛ばした男・清一郎だった。清一郎は正体を隠して大ヒット漫画「銀河天使」の連載を続ける人気少女漫画家だという。
その漫画のネタのために、あいこは疑似恋愛のミッションを依頼される。あいこは断って清一郎宅から出て行く。邸宅の玄関まで行くと、居候として訪ねて来たレンと会った。あいこを追って来た向後はレンを家に迎え入れる。そんなレンに清一郎は仕事の邪魔をしたら出て行ってもらうと突き付けた。
次の朝、仕事もなく寝ていたあいこは向後のドアチャイムで起こされる。あいこは恋愛ミッションは断ったはずだと言うのだが、向後は清一郎に直接言って欲しいと再び清一郎の家に連れて行く。
あいこは清一郎に正式に断ろうとするが、うっかり漫画をバカにするようなことを口にしてしまう。怒った清一郎は、あいこに対等の立場になってから言えとピシャリ。様子を見ていたレンにも、清一郎はここにいたいなら自分と対等になれと手厳しい。
あいこが同情すると、清一郎はレンが可哀想だと思うなら仕事を受けろと無茶なことを言い出す。あいこは仕方なく、自分に恋愛の仕事は向いてないと話しだす。そして、過去に崩壊した恋愛を話したあいこは、友人から“ダメ男ホイホイ”と言われていると打ち明けた。
あいこの話にあきらめると思いきや、清一郎は「銀河天使」のヒロインのエピソードにふさわしいと俄然乗り気に。そして、恋愛ミッションの報酬は100万円と言う清一郎に、仕事もないあいこはうっかり受けてしまった。
清一郎はあいこに丸の内OLとして好青年に恋をするよう指示。様子を見に来た向後も大乗り気で、OLに化けるための交通費や衣装、化粧品代は別途支払うと請け負う。また、向後はあいこに「銀河天使」を“刈部まりあ”として執筆しているのが男性の清一郎であることは内緒にするようにと釘を刺した。
出版社では、編集長が向後に「銀河天使」のネームを催促。新編になるので熟考していると向後が答えた時、金條可憐(木南晴夏)が現れた。可憐は“刈部まりあ”と人気を争う少女漫画家。「銀河天使」の原稿が落ちたら、いつでも自分の漫画が埋め合わせをすると言って去る可憐に向後は焦りを感じる。
その日の夕方、向後はあいこに出会いの相手を指示。その男は向後の後輩で、同じ大学のラグビー部だったと言う。そして、向後はあいこに相手と共通の話ができるようにとラグビーのレクチャーを始めた。
ミッション決行日。あいこは向後に指定された店で相手を探すがなかなか見つからない。あいこの様子を動画で撮影して清一郎に生中継している向後もヤキモキ。もはやこれまでと思った時、あいこはようやく向後が指示した男、早瀬剛(竜星凉)と会う。付け焼き刃のラグビー知識で早瀬と会話を始めたあいこは…。
刈部家を訪ねたあいこは清一郎に経過を報告。あいこは、ラグビーの話で早瀬と意外と盛り上がり、翌朝、同じ店で会うことになったと話す。そして、あいこは清一郎に報酬を催促。ところが、向後からミッションは一つではないと言われてしまう。そして、清一郎があいこに課した次のミッションは早瀬を“デートに誘う”だった。
次の日、約束通りに早瀬と会ったあいこは、どうやってデートに誘おうかと悩む。だが、そんなあいこの不安をよそに、早瀬からスポーツバーに行こうと誘われた。
あいこはその様子を清一郎に伝え、行きつけの店、『2 STORY CAFE』へ。あいこは馴染みの店員、二階堂藤悟(眞栄田郷敦)に早瀬との経緯を話す。すると、二階堂はSNSに早瀬の投稿を発見。その投稿は、早瀬のあいこへの想いを表現していた。二階堂は早瀬を本気にさせて良いのかと、あいこに問いかける。
あいこは清一郎に、これ以上早瀬を騙せないと告げる。すると、清一郎は嘘も突き通せば真実になると言うではないか。大事なのは嘘か真実かではなく気持ちだと清一郎は続けた。それでも、あいこの良心は揺らぐ。
その夜、スポーツバーで早瀬と会ったあいこは、自分は丸の内OLでもラグビー好きでもないと告白した。早瀬が返答に迷っていると、あいこのスマートフォンにレンから清一郎が倒れたと連絡が入る。清一郎が死んだら、また1人になってしまうと言うレンに、あいこは刈部邸へ急ぐ。
刈部邸に到着したあいこはリビングで苦しそうにうめく清一郎に様子を尋ねる。どうやらギックリ腰らしい。清一郎は病院へ行こうと言うあいこに、原稿とペンを持ってくるようにと頼む。締め切りを延ばしてもらえばと良いと言うあいこだが、清一郎は譲らない。仕方なく清一郎の仕事場に必要なものを取りに行ったあいこは、初めて見た「銀河天使」の原稿の素晴らしさに目を奪われる。
リビングで仕事を再開した清一郎だが、腰の痛みは如何ともし難く、あいこに手伝いを命令した。ようやく漫画を仕上げると、清一郎はあいこに早瀬とのデート報告を催促。あいこはすべて嘘だったと早瀬に告白したと教える。話を聞いた清一郎は、嘘を真実に変えてみろとデートしていた店に戻れとあいこに促した。
店に着くと、もう客は誰もいなかった…と、あいこがあきらめようとすると早瀬が現れた。戻ってくると思ったと早瀬は優しい。また、嘘の詳細を聞いた早瀬は自分のために頑張ってくれたとあいこを許すではないか。さらに早瀬は、これからは本当のあいこを見せて欲しいと言う。
その頃、刈部家では清一郎がレンに自分と対等になったと宣言。レンがあいこに清一郎のピンチを報せたから、原稿が締め切りに間に合ったからだ。その話に心配して来ていた向後が割って入る。清一郎の原稿を手伝ったのがあいこだったと知る向後の思いは複雑で…。
翌日、刈部邸に来たあいこは、早瀬と上手く行ったのは清一郎のおかげだと報告と礼を言う。しかし、清一郎は早瀬と別れて来いとあいこに言い放った。