毎回さまざまなジャンルで活躍するゲストが集い、多彩な話題や事象を取り上げていくフジテレビのトーク番組『ボクらの時代』。

4月25日(日)の放送は、鈴木敏夫、あいみょん、吉岡秀隆が登場した。

あいみょん、吉岡が、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木のラジオ番組にゲスト出演したことがきっかけで、今回の鼎談が実現。世代の違う3人が家族の話や表現者として感じる理不尽さ、アニメーションの魅力などを語った。

鈴木&あいみょんが『北の国から』を吉岡に「めっちゃいいですよ」

あいみょんは、もともと吉岡が出演している映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の大ファンで「最近『北の国から』をすべて見た」という。

鈴木:でも、なんで『北の国から』を見ようと思ったの?

あいみょん:友達に、ずっとすすめられていて。「よし、見てみよう」と見てみたら、もう止まらなくて。今、2周目に入ってます。

鈴木:2回目っていうこと?でも、そうなるよね。僕でさえ、3周くらい見てるもん!

吉岡:僕、1周もしてないかもしれない(笑)。

鈴木:わはははは。何それ。

あいみょん:めっちゃいいですよ!

鈴木:すごい面白いよ。面白いよって俺が言うのもなんだけど(笑)。

あいみょん:めっちゃ面白いですよ!

吉岡:(苦笑)。僕、本(脚本)で見ちゃう。映像よりも。倉本(聰)先生の…。

吉岡は「去年かな。(倉本から)電話かかってきて『北の国から』の続編をやりたがっていましたよ」と明かした。

吉岡「あっちの方がだんだんにぎやかに」田中邦衛さんの訃報で…

また、吉岡は『北の国から』で長年親子役を演じてきた田中邦衛さんが今年の3月に亡くなったことにも言及した。

吉岡:でも、本当に、みんな、あっちに行っちゃう人…あっちの方がだんだんにぎやかになって…。ね、邦さんも亡くなられて。

あいみょん:うん。

吉岡:倍賞千恵子さんが、すぐに電話くださって。「秀、大丈夫か?」って。「大丈夫ですけど、お母さん(倍賞)、今どこにいるんですか?」って言ったら、「うん!?天国」って。

鈴木:天国って(笑)。

あいみょん:ドキドキしちゃいますね。

吉岡:もう、おっかしくて。「じゃあ、みなさんによろしく言っておいてください」って言って。

あいみょん:へぇ。

吉岡:「うん、言っとくよ」なんて…(それで)ずいぶん救われて。

吉岡は「そういう人がいてくれるんだと思うと、まだまだ、頑張らないとな、と思う」としみじみと語った。

あいみょん「誰かのために曲を作ることはない」

また、自粛期間中は「変わらず曲作りをしていた」というあいみょん。吉岡が「オーディエンスに向けて作る曲と、分けたりするの?これはこの人、とか」と質問すると「誰かのために曲を作ることはない」と返答した。

あいみょん:「これを聞いて、救われてほしい」とかはなくて。世の中に出たときに、結果的に誰かの背中を押したり、恋愛を助けたりするっていう形が取れていればいいなって。めっちゃラフに。

吉岡:じゃあ、生みの苦しみみたいなものは…!?

あいみょん:まだ、来てないですけど。そのうち来るかもしれないですよね、きっと。

鈴木:なんか、楽しんでる感じ。

吉岡:うん。

あいみょん:だから、10代のころ、曲めっちゃ作りました。400曲くらいあって。

鈴木:400!?

吉岡:400曲!?

「世に出ていないものもある」と語ったあいみょんに、吉岡は「天才!」と称賛。あいみょんは「めっちゃうれしい」と喜んだ。

スタッフの「バラードは売れない」に発奮し制作した「裸の心」

昨年、あいみょんはシングルとして初のバラード曲「裸の心」をリリース。そのきっかけは、スタッフからの「近年、バラードは売れない」という言葉だった。

あいみょん:最近、CDが売れないじゃないですか。バラードって、イントロからAメロが始まるまで長かったりとか。

鈴木:長い、と。

あいみょん:歌詞が頭に入ってくるまで、時間がかかるんですよ。ゆっくり歌うので。

サブスクリプションでの音楽の聴き方だと、冒頭からインパクトのある曲や歌詞が好まれるというスタッフの話に「悔しくなっちゃって。私はやれる気がする」とバラードを制作。「ドラマの主題歌になったことも大きな理由の一つ」だが「たくさん聴いていただけるようになったので、ガッツポーズでした」と明かした。

吉岡「順番が違う」受け取り手の姿勢に疑問

すると、吉岡は「何か不思議なことになっている」と切り出した。

吉岡:視聴者のためとか、聴く人のために作るというのが、何か順番が違うというか。

鈴木:ああ。

あいみょん:そうですね。

吉岡:アーティストがいて、初めて作品ができて、それを聴く、それを見るという順番が、ずいぶんと図々しく(変わってしまった)…。

鈴木:そうだよね、その通りですね。

吉岡:聴く側とか見る側の…。

あいみょん:あっち(受け取り手)の都合に合わせなくちゃいけないというか。

吉岡:そう、それが何かね、違うだろうと思う。

あいみょん:思いますよね。

吉岡:順番がまったく違う。

吉岡が「でき上がったものを批判されても、そいつの感受性が足りないだけで。作品のせいにするなよって思う」と持論を展開すると、あいみょんも「それめっちゃ思います(笑)」とうなずいた。

鈴木「当たりそうもないものを必ずヒットさせる。それが楽しい」

あいみょん:(鈴木に)流行るものを作り続けなきゃいけないみたいな使命感はありますか?

鈴木:逆なんだよね。要するに宮崎(駿監督)は自由な発想で作り出すじゃない。そしたらそれを、世間に認知してもらうのが僕の仕事だから。彼自身はね、「これでうまくいく」とか「これがヒットする」とか考えてない。自分が作りたいものを作ってるんだもん。

あいみょん:そうですね。

鈴木:ある人に言われたんですけど「当たりそうもないものを必ずヒットさせる。そこがすごいですね」って(笑)。それが結構ね、楽しいんですよ。

あいみょん:そうですよね。ギリギリの危険な道を行っているくらいの方が楽しかったりするのもあるので。

鈴木:そうそう。

あいみょんは、曲をリリースするたびに「これがダメだったら実家に帰ろう」と思っていると明かし2人を驚かせた。

あいみょん:いつもスタッフさんに言っているのは、「私はいつ『音楽を辞めます』って言うかわからないです」と。

鈴木:すごいな。

吉岡:それはいいよね、とても。

あいみょん:もしかしたら急に写真撮りたくなるかもしれないとか。

鈴木から「芝居、やりたいんだよね?」と振られると、あいみょんは「声優やりたいんですよ!」と、笑顔で明かした。