5月20日(木)、高岡早紀が初エッセイ「魔性ですか?」(KADOKAWA)の出版を記念したオンライントークイベントを開催。イベント前に行われた取材会に出席し、エッセイを出版する率直な気持ちを語った。
「私のことを魔性と思っている人にこそ、面白がっていただけるんじゃないかな」
10代でのデビュー以来、女優、歌手として活躍を続ける中で、演じる役の幅広さと“恋多き女”のイメージから「魔性の女」と形容されることも多い高岡。
「魔性ですか?」というタイトルでエッセイの執筆依頼を受けたときは、「普段、魔性と呼ばれている私にあえて『魔性ですか?』という本。すごいことを言う人がいるもんだ、と驚きました。私も魔性と言われることに慣れて、笑顔でスルーできるくらいには大人になっていましたが、最初は『ないない』と思いました」と思わず苦笑い。
しかし、「よくよく考えると、そんなタイトルで書いてと言ってくる人なんてまずいないし、これは面白いかもしれないと思って。暴露本は書きたくないし、自伝もまだ早い。エッセイというのはちょうどいいとも感じました」と執筆に至った経緯を語った。
エッセイでは、日々の生活や仕事のスタンス、3人の子どもとの関係に加え、シングルマザーの恋愛事情やオトコの条件など、これまで語ってこなかった赤裸々な本音を綴っている。高岡は「子どものことや恋のこと、結婚したとき、離婚したときに自分がどう思ったかなど、自分自身のことも改めて振り返り、楽しみながら、思ってることを正直に、嘘なく書いたつもりです。私のことを魔性と思っている人にこそ、面白がっていただけるんじゃないかな」とコメント。
執筆にあたっては、「くすっと笑えるちょっとの毒」を意識したそう。「ちょっとした毒を入れることで笑って読めるように、という課題が最初に与えられたのですが、毒を盛り込むというよりは、自分の考えを正直に書いたら、読む人にとっては毒だと思われるかもしれないなと。『(自分からは)毒しか出ないかもしれない!?』ということは、日ごろから私が自分自身に対して思ってることです(笑)」と明かした。
来年でデビュー35周年を迎え、「35年も経つのかと思うと、自分自身びっくりします。今でもこういう立場でいられるのは、応援してくださるたくさんの方のおかげ。感謝しかないです」と高岡。
仕事も絶好調で、放送中のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で念願の朝ドラ初出演を果たし、6月18日(金)には主演映画「リカ~自称28歳の恋愛モンスター~」が公開される。
「まだまだやってないことはたくさんあるはずなので、私自身も、今後何ができるのかが楽しみです。いずれ年をとってリアルおばあさんになったら、おばあさんの役もやれるでしょうし。今後も自分のペースで、楽しくしなやかに人生を送っていけたらいいなぁと思います」とさらなる意欲を見せた。
野際陽子さんとの“美容トーク”を回顧「肌に大事なのは…」
取材会後、シャンパングラスを掲げた高岡の「カンバーイ!」という声で、トークイベントが和やかにスタート。司会は10代からの友人で、仕事仲間の音楽プロデューサー・nyoro氏が務め、途中、ゲストでギター奏者の吉田サトシ氏が加わった。
書籍に絡めた美容トークになると、「野際さんに、『肌に良いものならなんでもいいから、とにかく保湿クリームを塗りまくるの。いっぱいいっぱい塗るのよ』と言われて、今も塗ってる」と、16歳で共演した野際陽子さんとの秘話を明かす場面も。続けて、「保湿は大事。全然違う!」と実感を込めた。
「あなたが選ぶベストオブ高岡早紀」のコーナーでは、事前に参加者が回答したアンケートを発表。17歳で出演した映画「バタアシ金魚」(1990年)や、再び舞台に立つきっかけとなった「キレイ~神様と待ち合わせした女~」(2005年)など懐かしの作品から近作の「リカ」まで、当時の思いや撮影エピソードを時間をかけて振り返った。
イベント参加者が高岡と画面越しに対話し、ズバリ聞いてみたいことを聞くQ&Aコーナーも。長年、高岡を応援してきた同世代ファンも多く、親しみあふれるやりとりが繰り広げられた。
ここでも美の秘訣をたずねる質問は多く、体型維持について高岡は、「自分がキープしたい体型、体重をいつも意識して、毎日同じ時間に体重計に乗り、体重の変動を把握している」と明かした。
「30代で経験してよかったことは?」という質問には、「結婚と出産と離婚を経験したこと。それによって私は、改めて仕事に意欲を見出したので。もし離婚せずに子育てをしていたら、私は今ここにいなかったかもしれない」と本音で返答。
何事もポジティブにとらえ、前に進むことで人生を謳歌しようとする高岡。美しく自分を律し、凛といられる理由については、「私の宝は子どもたちです。子どもたちのためにと思うと強く生きられるんです」と母の顔を見せた。
時間いっぱいまで質問に答えたあとは、「少しでもライブの雰囲気を知っていただけたら」と、吉田のギターで2曲の生歌を披露。ほろ酔いムードで「ラブ・スコール」「サニー」を歌い、90分のイベントを締めくくった。
良い時期もつらい時期も、自分の人生と真正面から向き合ってきた高岡の歩みが、飾らない言葉で綴られた本書。彼女からの「魔性ですか?」という問いかけを、改めて受け取ってみてはいかがだろうか。
取材・文/浜野雪江