<岡田圭右 コメント>
――岡田さんは大の野球好きで知られています。ご自身の野球の思い出を教えてください。
少年野球時代から、試合ではよくバントをしていました。かなり、うまかったと思うし、実際に監督も何かというと「バント!」とサインを出してきて。だから、今回出演させていただくときに『バントマン』というタイトルを聞いて、まさに自分にピッタリのドラマだなと思いましたね。
――思い出深いバントもありますか??
ありますよ! 岡田圭右伝説のひとつに「清原vs岡田」という逸話がありまして。
あの清原和博さんと岡田少年は、岸和田リトルリーグ時代に対戦しているんです。当時の清原さんは、4番でエース。ピッチャーとしてもすごくて、小学生の中に一人だけ高校生がいるような存在感を放っていました。
そんな清原さんと、一打席だけ対戦する機会がありまして。ピッチャー・清原vsバントの名手・岡田!
この名勝負の結果は…まさかのスリーバント失敗でした(笑)。
――普段の生活にも「野球の考え方」みたいなものが反映しますか?
そうですね。後輩にもよく「フルスイングして帰って来い」と言いますし。何より芸人って、すべてのお仕事に対して「ツーアウト満塁で指名された代打」の気持ちで臨まないといけないと思うんですよね。
そこで、なんとか爪痕を残していくことが重要。私の場合は、結果的にヒットというよりも、振り逃げでどうにか爪痕を残してきたのですが(笑)。
――では、ここはあえてバントに徹するといった場面も?
当然ね、お笑いは皆で作り上げるようなところもありますから。バラエティ番組でいろんな芸人さんがいるとき、「ここで自分はヒットを狙わず、バントに徹して相手を立たせよう」みたいな場面は少なくありません。そういう連携プレーは、常に意識しています。
――今回は俳優としての出演。お笑いとは、どんな点が異なりますか?
お笑いって、ある意味「一発勝負」の部分があると思うんです。それに対して、俳優さんのお仕事は、何度もリハーサルを重ねて本番に臨むわけで、毎回きっちり同じことをしなければならない。
芸人なら「何か、さっきと違ったことをしてやろう」という気持ちが抑えきれない。だから、リハを重ねて精度を上げていく俳優のみなさんのことは、芸人みんなが尊敬していると思います。
――岡田さん演じる、芋川出について教えてください。
野球雑誌などに寄稿するフリーライターという役どころで、野球を陰から支えるという意味では、彼も玄人の中の玄人、ある意味バントマンですよね。
私の場合、ドラマのお仕事を数年に一度いただいていて、まさにハレー彗星のような役者人生なのですが(笑)。今回のスタッフのみなさんは、非常にやさしくて、関西弁のままでいいよということで、岡田圭右に寄せてもらって芋川を演じさせてもらっています。
――梶間(石川瑠華)の師匠という役どころですが、石川さんの印象は?
年齢的には若い方ですが、役者としては自分よりも大先輩だし、何よりプロフェッショナルですよ。スコアブックに書き込むシーンがあるんですが、プライベートでもスコアブックに記入しながら野球観戦をするようになったそうです。
私は「熱狂的オリックス・バファローズファン」を自認していますが、スコアブックの記入方法は知らないので。
それができるようになると、野球の見方もきっと変わるだろうなぁと感服させられました。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
ドラマも終盤に近づいたところで登場する芋川は、野球に例えるなら「切り札」的な存在でしょうか。クローザーとして最後を締める、まさに閉店ガラガラ。そんな意味合いもあるのではないでしょうか(笑)。
それと、このドラマはバントにスポットを当てているわけですが、球威を殺し自分の欲も抑えるバントには、ホームランやヒットよりも人間性が出ると思うんです。
そう考えると、バントは戦術としても非常に深いし、それを知ると野球をより楽しく見られるのではないでしょうか。このドラマを通じて野球に興味を持つ人が増えることも、いち野球ファンとして願っています。