『真夏のシンデレラ』第1話完全版
蒼井夏海(森七菜)は、海の町で生まれ育った明るく真っ直ぐで負けん気が強い性格。父・亮(山口智充)、弟・海斗(大西利空)と3人暮らしの夏海は、サップのインストラクターをする傍ら、亮が経営する食堂の運営と家事全般をこなしている。
多忙な日々を送る夏海にとって至福の時間は、マッチングアプリにハマっている美容師アシスタント・滝川愛梨(吉川愛)、18歳の時に産んだ息子を育てるシングルマザー・小椋理沙(仁村紗和)とつるんでいるとき。
愛梨たちは、夏海が大工をしている幼なじみ・牧野匠(神尾楓珠)に想いを寄せていることを知っている。しかし夏海は、「今の関係、壊したくないじゃん」と言って積極的になれないでいた。
水島健人(間宮祥太朗)は、一流大学を卒業し、有名建築家の父が経営する大手建築会社で働いている。
高校時代からの友人で、エリート思考の強い医師・佐々木修(萩原利久)、明るいムードメーカー・山内守(白濱亜嵐)とバカンスに出かけた健人は、夏海の指導でサップを初体験。
人を見下したような態度を見せる修のせいで、夏海は一流大卒のエリートだという3人になんとなくバカにされたような気分になってしまう。
そんな折、夏海は、愛梨から海辺の別荘で行われるパーティに誘われる。マッチングアプリで知り合った男性が、たまたま近くに遊びに来ているのだという。
亮と海斗に店を任せ、お手製の料理を持って別荘を訪れた夏海。するとそこにいたのは、健人たち3人だった。
お互いに自己紹介をする夏海たち。愛梨と理沙は、この別荘の所有者だという守が用意していたキャビアに盛り上がっている。
夏海は、男性陣が用意した豪華なおつまみと一緒に、持参した料理をテーブルに並べた。夏海の料理を絶賛する健人と守。「貧乏くさい」と言っていた修も、その美味しさを認め…。
夏海が後片付けをしていると、健人が手伝いにやってくる。布巾を取り出し、洗い終わった皿を拭く健人を見て、この別荘が健人のものだと察する夏海。
夏海がホエールテールのチャームネックレスを身につけていることに気づいた健人は、子どものころは海洋生物学者になりたかったと話した。
そこに海斗から、客をさばききれず、食堂が大変なことになっているという緊急連絡が入る。
急いで食堂に戻った夏海は、ケンカになっていた亮と客の間に割って入り、何でも1品サービスすると言って周りの客たちにも詫びた。
翌日が夏海の誕生日だったため、密かにプレゼントを用意していた愛梨と理沙は、それを渡せないまま別荘を後にする。
理沙は、別れた夫・村田翔平(森崎ウィン)が暮らす東京に遊びに行っている息子の春樹(石塚陸翔)に電話した。ゲームを買ってもらったとうれしそうに理沙に報告する春樹。
すると電話を替わった翔平は、自分が春樹を引き取って東京で育てたほうがいいのではないか、と言い出した。
電話を切ったあと、動揺した理沙は、スマートフォンを落としそうになってバランスを崩し、そのまま海に落ちてしまう。そのとき、海に飛び込んで溺れた理沙を助けたのは、ライフセーバーの早川宗佑(水上恒司)だった。
あくる朝、宗佑の部屋で目を覚ました理沙は、裸で寝ていたことに気づき、隣で寝ていた宗佑も裸だったためパニックに。宗佑から事情を聞き、ようやく落ち着きを取り戻した理沙は、真っ直ぐな目をした彼の言葉を信じることにして、仕事場へと急いだ。
夏海がウエットスーツを干していると、健人がやってくる。夏海が別荘に持って行ったタッパーを返しにきたのだ。
するとそこに、修理を終えた食堂のイスを持って匠が現れる。健人が一流大学出身だと聞かされ、匠は「俺たちとは住む世界が違うな」と夏海に告げた。
夏海とともに食堂にやってきた匠は、誕生日のプレゼントだと言って、手作りだという小さな木彫りのクジラを手渡す。そして匠は、夏海を食事に誘った。
しばらくして、愛梨と理沙が夏海のもとへやってきた。理沙が全裸の知らない男と一夜を過ごしたと聞き、驚く夏海たち。そこで夏海は、匠に自分の気持ちを伝えようと思っていることを打ち明けた。
夕方、仕事を終えた夏海は、いつもより少しだけお洒落をして匠と約束した店へと向かった。
匠から遅れるという連絡を受け、店に入って待つことにする夏海。だが、いつまで待っても匠は現れず、連絡もつかない。
実は匠は、夏海のもとへ向かう途中に長谷川佳奈(桜井ユキ)に呼び止められ、故障してしまった彼女の自転車を修理していたのだ。佳奈は、夫の仕事の都合で来月またこの町に引っ越してくることになったことを匠に伝えた。
匠が店に向かうと、雨の中、傘を差す夏海を見つける。夏海に謝り、怒って帰ったかと思った、という匠。夏海は、そんな匠に「好きな人のことなら、いくらでも待てるでしょ」と告げた。
匠は、突然の言葉に驚きながらも、「俺、夏海のこと女として見たことなくて」と返す。夏海は、すまなそうな表情の匠に、冗談に決まっている、と言ってその場を誤魔化した。
翌日、水族館へ出前に行った夏海は、スタッフのはからいで館内を見て回る。
そこで健人と偶然再会。夏海と健人が水族館を出ると、日が沈みかけていた。その美しさに見惚れた健人は、海の上から夕日を見たいと言い出す。
サップボードに乗り、海に出た夏海と健人は、夕焼けに染まる美しい海の上で2人だけの静かな時間を過ごした。
夏海たちが陸に戻ると、花火が上がる。そして2人に愛梨たちが声をかけた。
愛梨たちのもとへ駆け出そうとすると、直しながら使っていたビーチサンダルがとうとう壊れ、転んでしまう夏海。そこで健人は、夏海へプレゼントするために用意していたビーチサンダルを手渡す。鼻緒にはホエールテールが付いていた。
健人は、夏海にビーチサンダルを履かせてやりながら、「決めた。やっぱり帰らない。好きになったから、この町が」と告げて…。