君島十和子さんが輝き続ける秘訣を明かしました。

ファッション誌の専属モデル、俳優として活躍後、結婚を機に美容家へ転身した君島さんが7年ぶりとなる著書「アラ還十和子」(講談社刊)を出版。

<【写真10枚】この記事の写真をみる>

美容から更年期、育児にいたるまでを赤裸々に語った本書にどんな思いを込めたのか、また、現在の君島さんを形成する大切な要素や、今後のビジョンなどを聞きました。

<君島十和子 インタビュー>

――「アラ還十和子」というタイトルにまず驚いてしまったのですが…。

タイトルをご覧になった方から「60歳なの!?」と驚かれるのですが、正確には5月末に57歳になりますので、あと3年で還暦を迎えます。

普段、私は美容に関する情報を発信しているのですが、ハッシュタグで「#30代 #40代 #50代」と入れていて、どうもピントが合わないなと感じていたところに、何となく「#アラ還女子」と入れてみたんですね。

アラ還と女子って、一見、遠いもののように感じるかもしれませんが、女性は何歳になっても“女子マインド”をもっているもの。皆様に興味をもっていただく糸口になればと、それ以来、このワードを使用するようになりました。

さらに、これまで出させていただいた本のタイトルに「十和子」と私の名前を入れていることが多かったので、今の私を表現するにはピッタリだと思って、「アラ還十和子」というタイトルにしました。

――ひと昔前の還暦は「赤いちゃんちゃんこを着て」というものでしたが、今どきの60代はとても若々しく、そんなイメージはまったくありませんよね。

私も以前は「赤いちゃんちゃんこって何?」みたいな、自分とは無縁のものだと思っていたんですけど、50代になったときに、はたと気がついたといいますか、いきなりリアルに年齢を感じるようになったんです。なんだか不思議な気持ちでしたね。還暦を迎えたあかつきには、赤いドレスでも着ようかな(笑)。

前作の出版から7年、内面にも大きな変化が…

――「アラ還十和子」執筆にいたった経緯を聞かせてください。

きっかけは30代、40代のお母様や共働きの女性に向けて私が発信していた、仕事と家事の両立に関するエールについて取材を受けたことでした。

次女は現在大学生で、ごはんを食べさせて、お風呂に入れて…みたいな子育てからは当然卒業していますが、精神の部分では親としてやるべきことがまだまだある。かといって、子育てと仕事に追われているというような状態ではない。自分が今までやってきたことを俯瞰した視点でみられるようになったというのが、まさしく今だったんです。

「アラ還十和子」の前に書籍を出版したのが7年前で、この7年の間に私の内面にも大きな変化がありました。もちろん同じ人間ですので、根本は変わりませんが、7年前はもうちょっとカッコつけたかったり、自分をよく見せたかったりという思いが強かったんです。

自分の失敗などを詳(つまび)らかにしないと世の中の皆さんには共感していただけないですし、SNSによって新たなつながりもたくさんでき、私が得た情報や経験をSNSだけでは伝えきれないと感じたので、書籍という形でまとめることになりました。

――コロナ禍によって変わったものもありますか?

まずは人との関わり方が大きく変わりました。コロナまでは自分の人生において、時間は有り余っていると考えていたんですけど、「いや、そんなことはない」って。

一緒にお仕事をさせていただけることがありがたい、出会いがありがたいなど、その一つ一つが奇跡みたいなものだと気づいたんです。それは仕事相手だけではなく、お客様お一人お一人もそう。環境の変化が、仕事への向き合い方も変わるきっかけになりました。

あとは、断捨離をしたことがきっかけで、いろんなものが変わり始めたというのもあります。ただのお片付けと捉えていた断捨離が、自分の人生のスイッチみたいなものになりました。

――著書では自身の更年期にもふれていますが、更年期で悩んでいる世の女性へアドバイスを送るなら?

普段は美容に関する質問をうけることが多く、そこに対してはピシャッとお答えできるのですが、更年期だけは個人差があったり、日によって症状が違ったりするので、「これがいいですよ」と明確な答えを見出せないのが正直なところです。

あえて言うなら、運動と睡眠、腸活の三本柱さえちゃんとしていれば、立て直すことができるというのは、私自身の経験を通してわかったことでした。これをやったからといって、明日からケロリというわけではありませんが、いくらか症状を軽減することにつながったり、何かしらの目標をもったりするきっかけになるのではないでしょうか。

最新メイクのヒントはK-POPのガールズグループから

――TWICEのコンサートに行くなどの“推し活”をしているほか、IVEのウォニョンさんのメイクをチェックしているなど、読めば読むほど驚くことばかりでした。

意外でしたか(笑)?ウォニョンちゃんだって、5年前のメイクは今とは全然違っていたのですが、どんどん進化していき、あっという間に若い女性たちのカリスマのような存在になりました。

「10代の彼女のメイクが私の胸にもズキューンときたポイントは何だったんだろう?」「何を可愛いと私は感じたのだろう?」と咀嚼し、自分というフィルターを通すことが、今の時代を感じとる指針になると思ったんです。

美容を発信する立場として、「この話は5年前も、10年前も聞いたよね」と思われるようなものでは、ブランド自身も私自身も信頼度が落ちていきますので、常に新しい情報をキャッチするようにしています。

――そんなふうに好奇心旺盛な君島さんが今、興味をもっていることや、これからチャレンジしてみたいのはどのようなことでしょうか?

美術館にも行きたいし、映画も観たいし、本も読みたいし、やりたいことがあり過ぎて、一つに決められません。チャレンジしたいと思っているのは、最近、TikTokを始めまして、現在は真面目な美容情報だけを発信しているので、そうではなく、TikTokらしい動画を流したいなぁ、なんて考えています。

――曲に合わせて踊る君島さんの姿が、近い将来、見られるということでしょうか?

そうですね(笑)、チャレンジしたいです。それにはもうちょっと練習が必要なので、娘のTikTokを見ながら情報を収集します。

美容の仕事は天職!輝き続けるため、心と体のコアを整えていきたい

――仕事から家事にいたるまで完璧なイメージの君島さんですが、ダメなところはあるんですか?

結構おっちょこちょいなので、いっぱいありますよ。インスタライブをしているとき、話しながらも、視線は皆さんが送ってくださるコメントを読んでいるので、そうすると口から出ることと自分の頭が乖離(かいり)してしまって、何を話しているのかわからなくなることがしょっちゅうです。

他には、夫に「解決は求めていないから、とにかく聞いてほしい」と前置きして、不安に感じていることをバーッとさらけ出すことが年に数回あります。

――そのとき、ご主人の反応は?

一方的に思いの丈を訴えていると、夫がついアドバイスしそうになるのですが、そうなった途端、私は逃げるんです。決して解決策を求めているわけではないので。

だって、何か言われたら「そんなこと言われなくてもわかってます」みたいな気持ちになるじゃないですか。かといって、「ふん、ふん、ふ~ん」と流されるのもイヤで、きちんと聞いてほしい。複雑ですよね(苦笑)。

――君島さんが輝き続ける秘訣は何でしょうか?

美容の仕事をしている時間が本当に楽しく、私の天職だと感じているので、それが輝きのもとになっているんじゃないでしょうか。

人間ですから、自分では「まだいける」と思っても、朝、なかなか起きられないなんてことやモチベーションが上がらないことだって当然、あります。そんなときに少しでも気分を盛り上げるため、好きな香りや好きな音楽、好きな食べものなど、これがあるから頑張れるというようなスイッチを身の回りにたくさん置くようにしているんです。

――今後のビジョンを聞かせてください。

とにかく立ち止まりたくない、今後もチャレンジ一直線でいきます。こうなりたいなどの目標を決めてしまうと、そこまでの距離を測ってペース配分してしまいそうな自分がいるので、ゴールは決めず、今もてるエネルギーを使って、行けるところまで行きたい。

世の中には素敵な先輩方がたくさんいらっしゃるので、皆さんのようになるために、体のコア、気力のコアを整えていきたいです。

「アラ還十和子」(講談社刊)発売中

「アラ還十和子」の詳細はこちら

撮影:河井彩美

ヘアメイク:黒田啓蔵(Iris)

スタイリング:後藤仁子