<コラム>『全ラ飯』第3話
いよいよ!1週またいで焦らされた「ぺスカード・フリート」が完成ッ!!!
主人公・一条(近藤頌利)のモノローグ
「うまそう…」(うんうん、そうだよね!)
「やっぱりここは…」(そうそう!“あれ”に決まってる!!)
「やってしまおう…」(“あれ”ですよね?1週待ったんですからね!?)
(扉をそっと閉める一条)(そう!!!前回の反省だよね!!目撃されちゃうからね!!)
(エプロンの紐を解く一条)(そのためのエプロンだったんだね!!)(何が?)
(ワイシャツのボタンを一つずつ外していく一条)(そのための休日ワイシャツだったんだね!)(違う)
(ワイシャツをそのへんに脱ぎ捨てる一条)(一条、そういうとこあるぞ!!)(どういうとこ?)
―――庭の光が差し込むリビング
“全裸”の一条
「いただきます!」
!!!!!?????
カーテン閉めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!!!
いやもう最高ですか?このドラマ。あの瞬間、視聴者全員、ツッコんだよね?「カーテン閉めてぇぇぇ!!!」って、視聴者全員ツッコんだよね??おそらく、カーテン文化史上(カーテン文化て何?)、最も多くの人類が、いっぺんにして、“カーテンを閉めることの重要性”に気づいた瞬間だったよね(結果はセーフだったけど、そういう問題じゃあない!!)。しかも、ただただ、何の前置きもなく、“一条を光差し込むリビングに置いた”のではなく、その前に一回、(扉をそっと閉める一条)=(前回の反省を活かす)ってのをはさんでからの、“光リビング全裸一条いただきます”(まとめすぎ)ですからね!!しかもしかも、その前には、(ワイシャツをそのへんに脱ぎ捨てる一条)=(ちょっと雑な一面を見せる一条)という、“予感”まで仕込ませている!!そう!!一回期待させといて、そっから予感へと落とす!…“カーテンを閉めることの重要性”を、究極まで高める高等演出テクニック!!!天・才・かッ!!!
今回のおはなしの肝は、なんといっても、終盤の一条と真尋くんの“車内での雰囲気”ですよね♡
というわけで、ついつい『“カーテンを閉めることの重要性”における演出技法について』で、前半のほとんどを埋めてしまいましたが、今回のおはなしは、そこじゃないんよね(結局な)。
今回のおはなしの肝は、第1話で作ったのが「ハリッサを使ったクスクスサラダ」(辛口のペーストスパイスを使った、クスクス=粒状ショートパスタのサラダ@チュニジア風)で、第3話が「タヒンでぺスカード・フリート」(辛みと酸味が効いたスパイスで味付けした白身魚のフリットにトルティーヤを添えて@メキシコ風)と、一条ってば、インスタントラーメンに野菜入れて卵落とすくらいの調理レベルなのに、いくらなんでも難易度高すぎじゃね?っていうか、最初に作るレシピがニッチ過ぎじゃね??ってことではなく(とか言いつつ、公式ページに「レシピノート」があるので、それ見るだけでも楽しい)、一条:エプロンも着たことない♡、一条:包丁も使えない♡、一条:玉ねぎ目に染みる~♡、一条:揚げ物はじめて♡、からの、真尋くん(ゆうたろう):パクチーどこにつけてんだよッ♡、からの、一条:それ取ってパクッ♡…という“♡”大連発なのに、そのどれもがちっともあざとくない!!
キラーン☆的な演出効果をつけてもよさそうなのに、そういうの一切施(ほどこ)さなくって、何もかも自然で、♡は視聴者が勝手に自然発生させている…いや、だけど、さすがに、真尋くん:パクチーどこ(=頬)つけてんだよッ♡は、あの真尋くんのピチピチお肌&ぷっくりほっぺに“パクチー”はりつくって、さすがに不自然だし、あざといし、さらに、そっからの、一条:パクチーパクッ♡は、とてつもなくやり過ぎてる??…気がしないでもない?…んだけど、そうはいっても、どこまでも二人の世界観重視!!それに寄り添った自然すぎる演出だったもんだから、素晴らしかったよね…ってことでもなく(ないんかい!)、中盤の、一条の初部屋着姿(スウェット)披露!でもなく(それは絶対違う)、一条が思いのほか社交的だと判明した“おむすび畑の会”(=おいしいで人をむすぶ会)が実にインターナショナルだったし、青果店の劉さん(台湾出身/フィガロ・ツェン)の存在とか、“さまざまなヒト・コトの結びつき”をさりげなく丁寧に描いているよね…ってことでもなく(違うんかい!)、そこへ突然現れた里穂ちゃん(福室莉音)が真尋くんに“ナチュラルあーん”(スプーンで試作品食べさす)繰り出して、軽めのイチャコラはじめるってどんなツワモノ!?でもなく(違うって知ってた)、やんややんや言い過ぎましたが(前振り長すぎだろ)、なんといっても、終盤の、一条と真尋くんの、“車内での雰囲気”、ですよね?!!?ね!??!?!(鼻息)
あの、なんというか、得もいわれぬ、あの、“雰囲気”、ですよね??(プロなら言語化しろ)「もう二人付きおうてますやん?」という、あの雰囲気ですよね?(なぜ関西弁)恋愛ドラマにおいて、最も重要なことは(このドラマの主軸が恋愛だけでないことは置いといて)、“二人がお似合いかどうか”にかかってるわけですよ。それはつまり、二人の何気ない会話ですらこっちがニヤけちゃう=二人の世界ができあがっちゃってる=誰にも邪魔させない=「もう付きおうてますやん?」ってことなんですよ(どういうこと!?)。
ああもう、あの“車内の雰囲気”、思い出すだけでニヤついちゃうよね…。だって、真尋くんを人として尊敬してる風なことを自然に言えちゃう一条、とはいえ、里穂ちゃんへの嫉妬心もほのめかす一条、からの、真尋くん「勘違いすんなよ!!」とムキになってみせる…からの、“来週の土曜日♡(約束)”…真尋くん「今度は…仕事早く終わるといいね…」(さりげなく見つめ合う二人…)。そして、懸命に仕事をこなしながら、カレンダーで“土曜日”を追う一条…。そんな最中、同僚・小町ちゃん(片山友希)が、心配そうな表情で、
「アタシ、どうしたらいいですか?」
って、邪魔すんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
うん、結果、軽く終盤を振り返って、叫んだだけになりましたが、私(わたくし)、このドラマ、心底気に入っております!!『全ラ飯』だなんて、一回ツッコミんだら、それで済む。ただの“出オチ”ドラマだと心配しておりましたが(おい!)、「カーテンの開け閉め」と、「アタシ、どうしたらいいですか?」というワードのみでここまで興奮できてしまう、最高過ぎる、旨味しかないドラマじゃあないですか!!??ねぇ??(誰に!?)みなさん、奮ってお誘いあわせのうえ、このドラマ、見ましょう!!!『全ラ飯』、見ましょう!!!