『スタンドUPスタート』第7話完全版

三星大陽(竜星涼)は、洋菓子店「クレヨン・ドゥ・クルール」社長の永野凛子(白石聖)から出資を求められる。

凛子は、昨年フランスで開かれたスイーツコンクールの世界大会で日本人初の優勝という快挙を成し遂げた実力者で、斬新な発想で作られたスイーツの数々は若い世代から圧倒的な支持を受けていた。

大陽に出資を依頼したのは、コンクールの審査員から勧められて、パリに2号店を出そうとしていたからだった。

<ドラマ『スタンドUPスタート』これまでのあらすじ完全版>

実は凛子は、老舗洋菓子店「ながの製菓」の次女。ながの製菓は、凛子の姉で、大陽の幼なじみでもある姉・絵美(大西礼芳)が父親の後を継いで社長に就任。しかし、年々売り上げが落ち、今や四期連続の赤字状態が続いている。

凛子自身も、3年前まで同社の商品開発部で働いていたが、新製品のアイデアを出してもはねのけるばかりの絵美とケンカになり、店を辞めていた。

大陽がながの製菓にも出資しようとしているという話を聞いていた凛子は、「あんな会社に出資するのに自分の店への出資が嫌とは言わせない」と自信をのぞかせる。

だが大陽は、具体的な戦略がない凛子への出資はできないと返すと、ながの製菓への出資もすでに断ったことを明かした。

凛子と別れた後、大陽はながの製菓へ。そこで、ながの製菓にケーキのEC製造販売ベンチャー「αトルテ」が買収を持ちかけてきたことを知る。

絵美は、αトルテが求めているのはながの製菓の取引先とのコネクションと店舗だけだと知りながら、看板を守るためにはそれもやむを得ないと考えていた。

大陽は、そんな絵美に、最後まであがく覚悟があるのなら幼なじみとして力を貸す、と告げる。そこで大陽が提案したのは、低コストを実現させて競合より優位に立つ、コストリーダーシップ戦略だった。

ただしそのためには、報酬や昇格などの人事制度を見直し、努力すれば評価される会社だと社員たちに思ってもらえるようにする必要もあった。

同じころ凛子は、無理な要求をする客・倉越宗(矢柴俊博)とトラブルに。彼を追い返した凛子だったが、倉越は最初からそのやりとりをこっそり撮影しており、映像を編集して凛子が傲慢な態度をとっているように見える動画を拡散させる。

その影響で、凛子の店は出資が取りやめになるだけではなく、スタッフも辞めてしまう事態に陥っていた。

翌日の営業に向け、1人で仕込みをする凛子。そこにやってきたのは、絵美だった。

凛子の手伝いを申し出る絵美。すると凛子は小学生のころ、中学生だった絵美に協力してもらいながら一緒にケーキ作りをしていたころを思い出す。

クレヨン・ドゥ・クルールという店の名前は、ケーキの絵を描いていた凛子が、絵美から色えんぴつセットをプレゼントしてもらったことに由来していた。

大陽は、「三ツ星重工」の社長室長・高島瑞貴(戸次重幸)にコンタクトをとり、同社社長の兄・大海(小泉孝太郎)と会う約束を取り付ける。

大陽は、やってきた大海に、子どものころによくやっていた「社長ゲーム」をしようと提案。それは、実在する会社のIR資料から、業績を上げるための方法論を議論するというゲームだった。

今回の会社は、ながの製菓。大陽のコストリーダーシップ戦略に対し、大海が出した答えは老舗のブランド力を生かし、昔からのファン層のCS(顧客満足度)を向上させて安定した売り上げ基盤を作るリソースベースド・アプローチだった。

大海は、「コストリーダーシップ戦略をとっても、人件費が上がり生産性は落ちるだろう。特別報酬や成果の見える化で盛り上がるのは一部の若手社員だけだ。老舗企業に長く勤めているものはむしろ、望まない競争を強いられやる気を削がれている」と指摘。

さらに、大陽は人の欲望や可能性を信じて戦略を立てるが、経営者は常に人の弱さを戦略に入れている、と続けた。

そんななか、今期も営業赤字になる見込みだと知った絵美は、買収提案を受ける代わりにその内容について交渉させてほしいとαトルテ側に申し出る。従業員たちの雇用条件と、取引先の待遇を守るためだった。

1週間後、絵美は、αトルテ役員・江原洸希(前川泰之)たちとの交渉の席に着く。そこに現れた大陽は、江原たちにいきなり「今回の買収話は断る」と言い放った。

その代わりと言って提案したのが、五分の条件での業務提携。そこで大陽は、凛子と彼女を支えてきた部下の木原美嘉(池上紗理依)を呼び入れ、「クレヨン・ドゥ・クルールがながの製菓と業務提携し、自社の商品を提供すると言っている」と江原たちに告げる。

江原は、凛子の店がSNSで炎上したことを指摘するが、大陽は専属秘書・M(雨宮天)に嫌がらせ動画を投稿した男・倉越を特定させ、編集前のオリジナルの動画を拡散させることによって、クレヨン・ドゥ・クルールの評判を以前以上に上げることに成功していた。

ながの製菓はαトルテにリアル店舗と業界のコネクションを、クレヨン・ドゥ・クルールはながの製菓に商品とブランドを、αトルテはクレヨン・ドゥ・クルールに商品の製造ライン、ながの製菓に資金をそれぞれ提供することで最強のチームになる、と大陽が提案し…。

「サンシャインファンド」に戻った大陽は、αトルテ社長の大岩絵里子(天海祐希)に会う。実は、大陽は旧知の大岩に、ながの製菓買収の相談を持ちかけていたのだ。それは江原も知らない話だった。

絵美と凛子の姉妹がこれからどうなるか楽しみだ、という大陽。すると大岩は、「あなたたちはどうするの?」と大陽に問いかけた。経営者は誰にも相談できない悩み事を抱えており、それは大海も同じだと言うのだ。

大岩は、「大事にしなさいね。兄弟だから分かってあげられることもある」と大陽に告げた。

そのころ高島は、部下から、航空事業部の不正に関して、何者かが会計ファイルに不正アクセスした形跡があったという報告を受けていた。

そこにやってきた副社長で叔父の義知(反町隆史)は、大海から頼りにされるような存在にならないといけない、と高島に忠告する。

大陽は、再び高島に電話をして大海につないでもらう。

そこで大陽は、ながの製菓の話を切り出し、「人は弱いということを改めて感じたが、だからこそ誰かと繋がって力を合わせるのではないか」と告げると、照れながら携帯電話番号を教えてほしいと大海に頼み…。

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