フジテレビアナウンス室に配属となった堀池亮介(ほりいけ・りょうすけ)アナウンサー、藤本万梨乃(ふじもと・まりの)アナウンサーを始め、全国のFNS各局で採用された新人アナウンサーが集まり受講しているアナウンス研修の模様を紹介するレポートの第4回。
この日、講師・伊藤利尋アナウンサーが新人アナたちを連れて向かっていたのは、『めざましテレビ』と『S-PARK』のスタジオ。研修内容は、“スタジオ実習”だ。
【スタジオ実習】講師:伊藤利尋アナウンサー
まず、伊藤アナが新人アナをアテンドしたのは、収録された音声や映像の調整をするサブルームと呼ばれる副調整室。
声のボリュームを調整し音のバランスをとる音声スタッフ、映像を切り替えるスイッチャー、映像の色味などを調整するビデオエンジニア(VE)、照明スタッフが、伊藤アナの問いかけに答える形でそれぞれの仕事内容を説明していく。
「サブのスタッフと顔を合わせることは少ないけれど、“ここを詳しく紹介したいから寄りの映像にスイッチして”など、お互いの思いを“あ・うん”の呼吸で伝え合うことはとても多いです」と伊藤アナ。アナウンサーも技術スタッフの仕事をきちんと理解し、普段からコミュニケーションをしっかり取っておく必要があるそうだ。
「台本をマイクの近くでめくると、その音を拾ってしまうからできるだけ避けてほしい」(音声スタッフ)、「屋外では、影から急にひなたに出てこられると光の調節が難しい」(照明スタッフ)など、スタッフから出た具体的なリクエストに、新人アナたちは真剣な表情で聞き入っていた。
伊藤アナからは「音声のオン/オフを切り替える(スイッチの)“カフ”は“咳(cough)”が語源」といった説明もされた。
番組制作には大勢が関わっていることを忘れないように
ひと通りサブルームの説明を終えたら、いよいよ収録が行われるフロアへ!伊藤アナはスタッフと共に、アナウンサーの必需品であるマイクやカメラの種類と使い分け、台本などに書かれるカメラ用語の基礎知識を、実際に機材を動かしながら解説していく。
カメラの切り替えに合わせて“カメラ目線を取る”練習では、“目だけを動かすと不自然”“体ごとカメラの方向に向けると自然”など、実際、カメラの前に立ってみないとわからない注意点が多く、「とても勉強になります!」と新人アナたち。
そんな彼らに、伊藤アナはカメラの前で気を付けるべきことを次々伝授していく。
フリップのめくり方や照明の反射を抑える方法、街頭インタビューでインタビュー相手が逆光で顔が暗くなる位置に立った時の対処法、スポーツ中継でインタビュー相手の声が小さい時のマイクの向け方などなど。「喋りは上手いに越したことはないけど、そういった気遣いができるのが大切」という伊藤アナ。アナウンサーには、臨機応変な対応力が求められる、ということだろう。
実際に、スポーツ中継などで使われるヘッドセットを付けた堀池アナ。伊藤アナからは「マイクに集中して音を拾っているスタッフがいることを常に意識して声を出すように」とのアドバイスが飛んだ。
そして、いよいよ実践編。新人アナは全員ピンマイクを付けて、カメラの前でニュース原稿を読み、自分の映った映像を順番に確認していく。原稿の下読みをする新人アナたちの姿に「みんな目の色が変わりましたね。ずっと原稿読みの練習をしてきましたから」と藤村さおりアナ。研修中、講師を兼ねながら新人たちを見守ってきただけに、成長を感じたようだ。
新人アナたちは、自分が映った映像をチェックしながら、「もっと顔を上げたほうがいい」「ここは間を大切に」など、伊藤アナからのアドバイスにペンを走らせていた。
今回の講義の中で、伊藤アナが繰り返し言っていたのが「番組制作には多くの人が関わっている」ということ。アナウンサーはたくさんの人が作ってくれた場に最後に入っていく役割を担っているということを忘れてはならない、という伊藤アナの言葉を胸に刻んだことだろう。
<研修中の新人アナウンサー >
岩手めんこいテレビ・三宅絹紗アナ、花田凌南アナ
岡山放送・北村麗アナ、今川菜緒アナ
沖縄テレビ放送・植草凛アナ
サガテレビ・橋爪和泉アナ
福井テレビジョン放送・佐橋嬉香アナ
フジテレビ・堀池亮介アナ、藤本万梨乃アナ
(※放送局50音順)