『スタンドUPスタート』第6話完全版

三星大陽(竜星涼)は、三ツ星重工をリストラされた元社員の武藤浩(塚地武雅)、山口浩二(高橋克実)、加賀谷剛(鈴木浩介)を組ませ、「株式会社ワカラン」を設立。

ワカランが目指すのは、三ツ星重工が売却しようとしている造船所跡地を、巨大なネットスーパーとしてよみがえらせることだった。

<ドラマ『スタンドUPスタート』これまでのあらすじ完全版>

武藤のねばり強い説得のおかげで地元商店街の協力を得ることに成功した大陽たちは、すぐさま造船所跡地の購入に着手。土地の購入に手を挙げている地元の豊光水産の社長・豊水幸男(小沢和義)に会いに行く。

だが豊光は「よそ者にあの土地を任せる気はない」と話も聞かずに大陽たちを追い返してしまう。

そんな豊光の説得役を買って出た山口は、豊光の趣味でもある釣りに同行し、彼の説得に成功。これによって、造船所跡地は、まず豊光水産の子会社に土地を買ってもらい、その子会社をワラカンが買い取るという形で合意する。

配送システムに関しても、小野田虎魂(吉野北人)のチームと加賀谷が開発を進め、鍵と扉の両方に2種類のセンサーを取り付け、配送先の在宅状況を把握することができる「宅・システム」を開発していた。

そんな折、大陽は、三ツ星重工の社長を務める兄・大海(小泉孝太郎)が、産業ロボットのシステム障害問題でピンチに陥っていることを知る。この件で三ツ星はすでに10億円もの損失を出していた。

商工会の奥田利江(西尾まり)と競っていた風汐市の「元気なまちづくり」推進補助事業は、山口のプレゼンによってワカラン社に決定する。

ご当地キャラ「かざにゃー」を売り込んだ奥田に対して、宅・システムを使って地方都市が抱えるインフラ問題まで解決でき、風汐市は地方創生のパイオニアになれる、というアピールが功を奏したのだ。

一方、配送ドライバーの手配を一任されていた武藤は、造船所時代の仲間たちに声をかけていた。

だが、そのひとりである五十嵐正人(鶴見辰吾)は、武藤の誘いを断る。造船所が無くなった後、再就職が上手くいかなかった五十嵐は、何度も自分に失望し、もう失敗はしたくないと考えていた。

加賀谷が担当する宅・システムも思わぬ問題を引き起こす。試験的に宅・システムを取り付けた家で、センサーのランプが不在を知らせることを悪用した空き巣事件が続いていた。

そこに、ワカラン社を揺るがす事態が起きる。造船所跡地の土地取得をめぐり、税務署がワラカン社に追徴課税を命じたのだ。理由は、土地の売買が低廉譲渡にあたり、関連当事者取引とみなされたためだった。

大陽と三ツ星重工社長の大海が兄弟であるため、身内同士で示し合わせたと判断されたらしい。

大陽は、自分の見通しが甘かったせいだとして追徴課税分の1億4000万円を個人資産から出すと武藤たちに申し出る。そこに割って入り、大陽を止めたのは専属秘書・M(雨宮天)だった。

利益の見込めない投資を行ったら、投資家ではなくなる、というM。それを聞いた武藤は、大陽が金を出すことに反対。「資産は人なり。あなたがそう信じているなら、あなたは投資家じゃなきゃダメだ」と武藤は大陽に訴えた。

その言葉で大切なことを思い出した大陽の脳裏に、ある作戦が浮かび…。

それから3日後、大陽に呼び出されてワカラン社に大海と社長室長・高島瑞貴(戸次重幸)がやってくる。

大海たちを出迎えた武藤は、そこで彼らに1億4000万円の追徴課税を三ツ星重工に負担してもらいたい、と切り出す。AIを使ってロボットの運転制御にも使用可能な宅・システムは、三ツ星重工が抱えているロボットの遅延問題の改善にも役立つとして、その使用料として1億4000万円を支払ってほしい、というのだ。

さらに加賀谷は、もう一つの条件として、三ツ星重工が持つ電気使用情報を共有させてほしいと付け加える。三ツ星製の一般家庭用電気メーターは、風汐市でシェア9割を超えているからだった。

しばらく考えた大海は、宅・システムのβ版での実証テストと、電気メーターの情報部にもデータ共有の準備をさせるよう、高島に指示。

そのとき、隣室に隠れてそのやり取りを聞いていた大陽が姿を現す。大陽は、大海をドライブに誘い…。

大陽が向かったのは、すでにワカラン社の看板が取り付けられている造船所跡地だった。

そこで大海は、少年時代に高島からもらったドローンの試作機の話を始める。大陽は、そのドローンで何ができるのかを試し、何度も壊しては高島に修理を頼んでいた。

一方、大海は箱から出さずに飾っていた。人は簡単に壊れる──大海は、そう大陽に告げると、自分は会社を守るためなら個人の犠牲は厭わないが、大陽のやり方はそれよりも危険だと告げ、数少ない成功例を見せられても賛同できないと続けた。

武藤たちワカラン社の面々は、高島とともに大陽たちの帰りを待っていた。

加賀谷は、大陽が三ツ星から追放した相手と手を組もうとすることを称賛した。すると高島は、大海と大陽にドローンをプレゼントしたときの話をする。大海は、大陽が壊したドローンの修理に苦戦していた高島に、自分の機体の部品を使ってほしいと申し出たのだという。

「必要なら、いくらでも自分を差し出す。社長はそういう人なんです」。高島は、そう武藤たちに告げた。

その話を聞いた山口は、大陽には大海の真意が伝わっているのではないか、と返し…。

2ヵ月後、ワカラン社のネットスーパーが稼働し始める。ドライバーの中には、武藤の再度の説得に心を打たれて参加することになった五十嵐の姿も。

豊光ら地元の人間たちも、ネットスーパーの成功で町にまた活気が生まれつつあることを喜んでいた。

同じころ、三ツ星重工の社長室で仕事をしていた大海は、ワカラン社を後にする際に、武藤から教えられた話を思い出していた。

実は武藤が三ツ星重工の株主総会で大海の責任を追及したのは、三ツ星重工の労働組合員を名乗る男から金を渡され、そうするように指示されたからだった。

「気をつけてください。あなたの失脚を企てている人がいます」。武藤は、大海にそう忠告していて…。

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