琵琶湖と山々の豊かな自然に恵まれた滋賀県北部、この地を拠点に月2回、日曜日に定期開催されるのが子ども向け自然体験教室「預かり自然体験dive(ダイブ)」です。こ

のサービスは、朝9時から午後3時まで子どもを預けることができ、保育士など専門知識を持ったスタッフが見守る中、子どもたちは田畑や野山、古民家などをフィールドに、自然の中で自由に遊びながら過ごします。


運営するのは、株式会社dive in LIFE(ダイブ・イン・ライフ)。「自然体験を通した子どもの成長と、子育て中のパパママのリフレッシュを応援」することを目的に、2022年3月から始まった事業です。


きっかけは、同社の代表・熊谷理美(くまがい・さとみ)さんが育児中に抱いた、「子どもを預けること」に対する罪悪感。平日は仕事、休日は家事育児と、がんばり過ぎて体を壊した経験から、「子どもを安心して預けながら、親が自分らしい時間を持てる仕組みをつくりたい」と起業しました。「“子育て中だから”とあきらめなくてもいい社会の実現」をめざす熊谷さんに、起業のきっかけ、この事業にかける思いをうかがいました。


代表 熊谷 理美


●結婚を機に大阪から滋賀県へ。出産後、仕事と家事育児にがんばりすぎる日々を経て2020年、長浜市に移住し、目標だった起業に挑戦


・・・はじめに、起業されるまでの経緯をお聞かせください。


もともと20歳の頃から自分で何か事業がしたいと思っていたのですが、結婚して長浜に移住するまでは、京都の職場で働いていました。結婚前は大阪に住んでいて、夫の職場は長浜だったので、結婚を機に、双方の中間地点である滋賀県近江八幡市に移り住みました。その後、遠方への通勤を続けながら、第一子、第二子の出産、育児休暇、職場復帰を経験したのですが、平日は仕事、土日は家事育児と、一人で全部抱え込んで頑張り過ぎてしまい、会社に行けなくなるほど寝込むことが数回ありました。いま思えば、もっと誰かに頼ったり、子どもを預けたりしたらよかったと思うのですが、その頃は「自分がやらなければ」という強い思いと、休日に子どもを預けることに罪悪感がありました。


こうした経験から、一人目の子どもが小学生になるタイミングで夫の実家のある長浜市への移住を考えはじめ、2020年に移住、三人目の子どもを妊娠中だったこともあり、退職して長浜で出産しました。

この移住は、起業に向けて動き出す転機にもなり、翌年2021年3月には、食品ロスをなくす事業「わけわけDeli(デリ)」を立ち上げました。捨てられてしまう食材、わけあり野菜を使った惣菜を販売し、主にマルシェへの出店やYouTubeでの発信を行っていました。


●“子どもは自然にdive、パパママは自分時間にdive”。子ども預かり型の自然体験教室「預かり自然体験dive(ダイブ)」始動


・・・現在の事業へと移行するきっかけは?


きっかけは、「N-LAP(エヌラップ)」(長浜ローカル アクセラレーション プログラム)への参加です。これは、地域発のスタートアップ支援プログラムで、長浜を拠点に持続可能な未来をつくるビジネスの起業をめざすチームに対し、起業の実現や、将来的な関係人口の拡大を目的に、4か月間のさまざまなプログラムを通してビジネスの立ち上げ支援を行うものです。当時、食品ロスをなくすための活動を始めていたものの、自身の根底にある思いを掘り下げていく中で、もう少し自分の体験に寄り添ったものを事業化すべきではないかと悩みはじめていました。

その体験というのが、育児休暇から復帰し、仕事と家事育児で自分の体に大きな負担をかけていたことで、「このしんどさを解消するサービスをつくりたい」と思っていたんです。


 当時、子どもを預ける方法は探せばあったのですが利用できませんでした。平日は保育園に預けているのに土日も預けるのか、自分の意志で子どもを産んだのに、子どもをこれ以上寂しい思いをさせていいのか、でもやっぱり自分の健康も大事だと思ったり。その頃の思いを振り返り、親が罪悪感なく長時間、子どもを預けられるサービスをつくろうと決め、2022年に「預かり自然体験dive」を立ち上げました。


「寝ころんで目を閉じて地球を感じるワーク」の様子



・・・事業化するにあたり、重視したことは何ですか?


自然体験を主体にしたのは、私自身、子どもの頃から自然観察会に所属し、生き物や野草に触れる機会が多く、自然の中で過ごすことが好きだったこともありますが、自ら体験し、食べ物が作られる過程を知ることで食品ロスも減るのではないかという考えもあり、農業体験が中心の預かり型の自然体験教室にしたいと思いました。

 実際に始めるにあたって重視したのは、保護者の負担を少なくすることです。現地集合・現地解散なので送迎はお願いしているのですが、例えば、お昼ご飯は子どもたちと一緒につくるのでお弁当は持参しなくてもいい。持ち物が多いと準備が大変なので、基本の持ち物を少なくし、記名も必須ではないなど、負担に感じることを極力なくすようにしています。

 保護者の方には、子どもを預けている間は、自分のやりたいことを思いきりできる時間として使ってほしい、そこはいちばん大切にしています。


現場を知るため自らも体験


●2024年「株式会社dive in LIFE」設立。企業や行政と連携したビジネス計画も進行中


・・・活動を通して、どんなことを感じておられますか?


これまで利用していただいたお子さまは、累計で1000人を超えました。習い事として地元から来られる方をはじめ、長期休暇には都市部から「子どもに普段できない体験をさせたい」と利用してくださる方もおられます。

プログラムの内容は、芋ほり、稲刈り、餅つきなど主なテーマはありますが、それ以外は子ども自身が興味を持ったことを尊重するスタイルで、手出し、口出ししすぎずに見守ることが大切だと考えています。保護者の方々とは送迎時にお話ししたり、連絡帳で様子をお伝えするのですが、「ずっとこんなことをしていました」「これに興味をもっていました」と伝えると、「あの子がやりそうなことです」「意外でした」など反応もさまざまで、一緒に成長を見させてもらっていることが嬉しく、親になった気持ちで感動して泣けてくる時もあります(笑)。

また、「子どもが生まれてから初めて夫婦でデートに行きました」、「diveに預けている日は趣味に没頭すると決めています」、「子どもがdiveに行った日はずっとしゃべっているので、たのしかったんだなあと思い、私だけで育てなくていいんだと思うようになりました」と笑顔で教えてくださる方もいて、過去の自分みたいな「おかん」を助けたいという思いが実現できているのかなと感じています(笑)。



子ども自身の興味や、したいことを尊重するスタイルを重視


・・・法人化を経て、新たに抱く思いはありますか?


活動を知っていただく中で、最近では企業や行政からのご相談も増えてきました。企業様は福利厚生や地域貢献として開催を検討されていたり、行政の方は地域資源の活用や子どもの体験格差の是正、子育て支援、移住促進のきっかけを視野に入れた活用のご相談をくださっています。

かつての自分と同じように、子どもを預けることに罪悪感を持つ「ママ」を助けるためには、子どもを預けることが当たり前の社会になることが必要で、私たちがサービスとして全国に展開し、「このビジネスで社会を変えていく」ことにこだわりたい、法人化はその意気込みと決意の表れでもあるといえます。



自然は子どもの「生きる力」を育む


●子育て中、介護中、どんなライフステージであっても、自分の人生に飛び込める社会をつくる


・・・dive in LIFEが描く未来像をお聞かせください。


「将来の夢は?」と子どもにはよく聞くけれど、親になると自分のことは語らなくなります。それはすべてを子ども優先にしているから。一日24時間を、すべて子ども優先にする必要はまったくなくて、それはとても大事なことではあるけれど、自分の人生がいちばん大事であることも変わらない。私たちの目標は、社名「dive in LIFE」が示すように、自分のライフステージがどんな時でも、自分の人生に飛び込める、自分のやりたいことができる社会にすること。実現には時間の確保や本人の心の持ちようも大切だと思います。


いまは子育て中の人の時間を確保することによって、それを達成しようとしていますが、たぶん介護が始まってもそう思うでしょう。どのタイミングであっても、「この時間だけは自分のために生きているな」「自分の人生、大事にできているな」と、すべての人が思えるといいなと思っています。障壁を取り除いて時間を確保できること、自分を大事にしていいと思える心の余裕を持てること、そういうことを実現できるようなサービスを通して、“dive in LIFE”を社会全体に浸透させたいと思っています。

「親も子も幸せになる社会」=「育てすぎない」が文化になるように、預かり自然体験diveが全国どこでも利用できるように、今後は仕組みの構築、人材育成にも力を入れていきたいと思います。




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■株式会社dive in LIFE(ダイブ・イン・ライフ)

代 表:熊谷 理美

住 所:〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町7-5

E-mail: diveinlife2024@gmail.com

URL : https://dive.wakewakedeli.com/


■プロフィール (※HPより)

大阪府出身、滋賀県長浜市在住、3児の母。

幼少期は淀川自然観察会に所属し、大阪市出身ながら自然に慣れ親しむ。大学時代はボランティアサークルに所属し、長浜の児童と自然体験を経験。

2020年長浜市へ移住。翌年「わけわけDeli」開業。2022年「預かり自然体験dive」開始。2024年「株式会社dive in LIFE」設立。LED関西2023ファイナリスト。滋賀県子ども若者審議会委員(2025年11月より3年間)。


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