世の中の独特の世界観を持って生きるダメ人間=アウト人を招き、マツコ・デラックス、矢部浩之、山里亮太の3人とアウトなトークを展開する異色のトークバラエティ『アウト×デラックス』。
まさに「アウトとグッドは紙一重」であり、毎回登場するアウトなゲストたちの歯に衣着せぬ発言は、時に共感を呼び多くの視聴者のハートを掴んでいる。
今やテレビでその姿を見ない日はない坂上忍や“ひふみん”こと棋士の加藤一二三などのブレークの火付け役といっても過言ではない当番組には、2019年も多くのアウト人が登場し茶の間を賑わせてくれた。
フジテレビュー!!では、「アウト×デラックス・オブ・ザ・イヤー」と題し、2019年度の放送で特にデラックスに光り輝いたアウト人について演出を手がけるフジテレビ・鈴木善貴(すずき・よしたか)ディレクターに突撃取材!
もっともアウトだったゲストとの秘話に迫る前編と番組制作の裏側について掘り下げた後編の二本立てでお伝えする。
2019年「アウト×デラックス・オブ・ザ・イヤー」はボディビル界の若き新星横川尚隆
――2019年を振り返って、印象に残っている「アウト×デラックス・オブ・ザ・イヤー」についてお話を伺えればと思います!
鈴木:当番組を注目していただけるのは嬉しいです。さっそくですが一人選んでいいですか!?ズバリですが、先日、日本一にも輝いたボディビルダーの横川尚隆くんです。
今年も豊作で、その他にも独身住まいの高級マンションに訪問させていただいた漫画家・柴田亜美さん、結婚条件が多すぎる俳優・中村俊介さん、9000万円以上も整形に使っている整形男子のアレンくんなど、いろいろ悩みました。
柴田さんも「アウト女子会」で引き続き出てもらいましたが、中でもずっと変わらずアウト軍団の一員としてレギュラーで出演をしてもらっているのが横川くんですね。
自分に嘘をつかない人が“アウトの真髄”
――なるほど。視聴者としても納得のセレクトですね。選定理由を教えてください。
鈴木:まず、僕らが考える“アウトの真髄”って「自分に嘘をつかない人」だと考えています。純粋な人間って面白いじゃないですか。本当に振りきっていて“アホ”だなって思ってしまいます(笑)。彼は頭一つ突き抜けているんですよね。
“普通の幸せ”に涙を流せる純粋さがアウトすぎる
鈴木:先日、横川くんと番組スタッフ何人かでご飯に行ったんですが、彼はこの3年間筋肉中心の生活だったので、「みんなと一緒にご飯に行ける」という事実だけで涙を流してました(笑)。深夜2時とか3時になって、普通なら帰る時間だと思いますが「もっと一緒にいたい」って。ジムと家の往復ばかりしているので、それが辛いわけではないけど「普通の幸せがわからない」って言うんです。
その時は、表参道とか代官山とか、普段出向くことがない「おしゃれな街でイタリアンを食べたい」っていうオーダーがあったので連れて行きました。ボディビルの大会が終わった後だったので、ピザを全種類食べ尽くしていましたよ(笑)。「普通なことが、こんなに幸せなんだ」って涙目になって食べ続けていました。
本当に純粋で面白いですよね。横川くんのおかげでゲスト選定のハードルが上がってしまいました。いまや横川くんは、“アウトの基準”になっています。
――横川さんの出演のきっかけについて教えてください。
鈴木:もともとは違うアウトな人の打ち合わせに行ったら、「もう一人推薦したい子がいるんでけど話聞いてくれませんか?」と言われて、少し話してみたら面白かったので。ビジュアルも良い若者っていうところにもすごく興味を惹かれました。
会いに行ってみると筋肉がすごすぎて「横になれない」とか「背中洗えない」とか、いろんなアウトなネタが出てきたんです。そして何よりそれ以上に彼は“筋肉バカ”でした(笑)。それが番組出演のきっかけですね。
番組を作るときに、アウトなポイントはもちろん押さえて臨みますが、こちらが知らなかったことが現場で出ることがたまにあるんです。横川くんは特にですが、今でも叩けば叩くほど出て来ますよ。本当に、制作側としてはすごくありがたいです。
アウト探しは半端なく大変!本物のアウトは自覚症状なし!?
――アウトな出演者の方々って一体どうやって見つけてくるのでしょうか?
鈴木:リサーチャー2人と放送作家4人、あとは番組ディレクターとADが気になった人をそれぞれ見つけてきて出し合います。実際にオファーしても、6割の人が出演してくれません。
例えば、鬼束ちひろさんに出演してもらった時は、約1年間オファーし続けて、ご自身のライブとかにもお邪魔させてもらってようやく交渉成立に至りました。
確かにマツコさんの前に行くと、全て話すくらいの覚悟はいるかもしれないですが、僕らはアウトなことは良いことだと考えているので、出演をきっかけにさらに飛躍して欲しいと思っています。
あと、実際に会っても「アウトじゃないかも?」という人もいます。本物は、やはり目でわかるんですよね。第一声で「私、アウトじゃないですよ」っていう人は、8割合格します(笑)。
自分で自覚していないパターンが一番アウトです。好きなことを話した時の目が本物なんです。日々、アウトのハードルも上がっていますし、マツコさん、矢部さん、山里さんの3人もそこそこのアウトじゃ満足しなくなってると思います。
(後編に続く)