けがをしたとき、自然と血が止まる——それは、私たちの体に備わった生命を守るための精巧な仕組みです。


血液には、出血を防ぐ「固める力」と、血のかたまり(血栓)を「溶かす力」が備わっています。もし、そのバランスが崩れてしまうと、脳梗塞や心筋梗塞、血友病などの病気につながることがあります。こうしたリスクを見極め、適切な治療や手術の判断を支えるのが「血液凝固検査」です。


シスメックスは、この血液凝固検査の分野で、検査の価値を高め、それをより多くの医療現場に届けるための取り組みを進めています。

その一環として、EMEA地域(欧州・中東・アフリカ地域)では、従来は間接的に販売・サービスを展開していた国・地域において、より医療現場に寄り添うことのできる体制に転換。約1年で20カ国以上への直接販売・カスタマーケア体制を整備するという大規模な挑戦を進めてきました。この変革の背景について、EMEA地域の事業責任者 Daria Dzharageti が語ります。


Daria Dzharageti

Director, Hemostasis Business Line, Sysmex Europe SE

地域それぞれの医療課題に、確かな解を届けるために


Daria:私が統括するEMEA地域は、非常に多様な医療環境・課題を抱えています。

西欧では、臨床検査技師の不足や高齢化を背景に、検査の質と効率を両立する高度な自動化・デジタル化が求められています。一方、検査へのアクセスが急速に広がる中東・アフリカでは、初めて自動検査機器を導入する施設でも扱いやすく、基本性能に優れた検査システムへの需要が高まっています。東欧では、政府主導の医療インフラの整備が進み、術前スクリーニングなどの検査が医療現場で積極的に導入されています。

また血液凝固検査は、診断薬の性質や、採血条件(温度や量など)によって結果が左右されやすく、非常に繊細な検査です。信頼性の高い検査結果を得るには、専門的な知識と技術に加え、医療従事者への継続的なサポートが重要です。

だからこそ私たちは、こうした複雑かつ多様な医療課題に応えるため、より現場に寄り添った販売・カスタマーケア体制への転換を進めてきました。

“安心”を直接届ける体制へ──現場に応える仕組みづくり

血液凝固検査の現場で信頼される存在となるためには、検査に対する深い理解と、状況に応じた的確な対応力が求められます。


Daria: シスメックスでは、新しく血液凝固検査チームに加わるメンバー全員に対して、検査の臨床的価値や診療ガイドラインを含む高度な内容を網羅したトレーニングを実施しており、高い専門性を維持するための人材育成に注力しています。

また、各国に新設されたサポートユニットには、技術サービスやアプリケーションサポートの専門人材を配置しています。これらのエキスパートが定期的に医療施設を訪問し、最新の臨床情報を直接お届けするなど、技術面・臨床面の両方からきめ細やかな支援ができる体制を整えています。


さらに、医療従事者の継続的な能力開発を支援するため、デジタル教育環境の整備、コンテンツ拡充にも注力。多忙な医療従事者の方々が、時間や場所を問わずスキルアップできるような環境を提供しています。


先日、当社システムを導入いただいたポーランド有数のがん診療センターにて、地元の医療関係者向けに研修会が開かれました。その研修会では、当社の検査技術やカスタマーケアが日々のがん診療・手術にどのように活用され、医療の質向上につながっているかを紹介してくださったのです。このように、血液凝固検査の重要性や当社製品・サービスの価値が浸透していく様子を見るたびに、販売・カスタマーケア体制の強化が着実に成果を生み始めていることを実感しています。


製品・サービスの進化がひらく、診断の新しいかたち

体制強化に加えて、私たちが提供する製品・サービスも、進化を続けています。


Daria:  現在の医療では、検査項目を個別に評価するのではなく、複数の検査を組み合わせて、病気の全体像を捉えることがより重要となっています。シスメックスは、診断のプロセス全体を包括的に捉え、医療の質向上にどう貢献できるかを考えながら、製品・サービスの開発に注力しています。

例えば、EMEA地域で提供を開始した統合検査システムは、血球計数検査(ヘマトロジー)と血液凝固検査を一つの自動化ラインに集約。分野ごとに分かれていた検査の流れを統合・効率化することで、手作業工程の削減や結果報告の迅速化を実現し、医療の質向上にも貢献しています。

さらに、こうした検査システムの導入にあたっては、機器の設置だけでなく、検査室全体の運用改善を支援するコンサルティングも行います。検査の流れや作業動線を見直すことで、検査結果がより早く医師に届き、早期の治療方針決定につながる環境づくりをサポートしています。

検査のあり方を進化させることで、患者さんが最適な治療へと一歩でも早くたどりつけるよう支援する。これこそが、シスメックスが目指す“より良いヘルスケアジャーニー”であり、私たちが医療現場の皆さまとともに歩んでいく未来です。


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ヘマトロジーと血液凝固検査を一つの自動化ラインに統合した血液統合検査システム

検査のチカラを、もっと多くの人へ──願い続けた未来が、いま動き出す

血液凝固検査における直接販売・カスタマーケア体制の拡大により、より多くの医療現場へ、検査システムの提案・導入から運用支援、教育まで、一貫した支援を直接届けることができるようになりました。

Daria:  「いつかEMEA市場全体にアクセスし、もっと多くの患者さんに、私たちの素晴らしい技術を届けたい」という10年来の願いがついに形となり、これから新しい価値提供を拡げていけることを本当に嬉しく思っています。

この節目を迎え、EMEAのチームでも、喜びと手ごたえが広がっています。最近実施したエンゲージメントサーベイでは、多くのメンバーが「シスメックスで働くことに誇りを感じている」と答えてくれました。


Daria: これからも私たちは、地域ごとの医療課題に真摯に向き合い、現場に寄り添ったソリューションを届けていきます。血液凝固検査の進化を通じて、より多くの人々が質の高い医療を受けられる未来を実現するために。仲間とともに、挑戦を続けていきます。


関連プレスリリース

米国およびEU諸国でシスメックスブランドによる血液凝固検査関連製品の販売開始

https://www.sysmex.co.jp/news/2024/240402_02.html

▶ 他のストーリーを読む

シスメックスのさまざまな取り組みや、従業員の声は、コーポレートサイト>ストーリー (https://www.sysmex.co.jp/stories/index.html)からご覧いただけます。

シスメックス株式会社について

シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。シスメックスの詳細については、シスメックスの公式ウェブサイト (www.sysmex.co.jp)をご覧ください。


※「ヘルスケアジャーニー」はシスメックス株式会社の登録商標です。




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