2022年、デビュー40周年を迎えた原田知世さんが、10月16日(日)に東京国際フォーラム ホールAにて「原田知世 40th Anniversary Special Concert “fruitful days”」を開催しました。

1982年のデビュー以来、俳優、歌手として活動を続けている原田さん。アニバーサリーイヤーとなる今年は、ファンへ感謝の気持ちを伝えるべく、歌手活動をメインに展開。

3月にはオリジナル・アルバム「fruitful days」を発表。6月にはツアー「原田知世 40周年アニバーサリーツアー2022 “fruitful days”」を東名阪で開催しました。

ここで、16日の公演のレポートをお届けします。

「“知世まつり”に参加するような気持ちで楽しんで」

この日、全国から集まった4000人の観客により、会場には開演前から温かな雰囲気が漂っていました。定刻から5分を過ぎたころ、場内が暗転し演奏がスタート。ステージ中央に赤いワンピースを身にまとった原田知世さんが現れると、大きな拍手が起こりました。

1曲目は、ラヴソング・カバー・アルバム「恋愛小説3~You & Me」(2020年)からナイアガラ・トライアングルの「A面で恋をして」。歌い出しから、透明感たっぷりで、伸びやかなボーカルが会場内に響きます。

原田さんをサポートする伊藤ゴローさん率いるバンドは、ここ10年近くレコーディングやライブをともにしているメンバー。この日はストリングカルテットやホーンが加わり、原田さん含め総勢11名がステージに。

最初のMCで原田さんは、「今日が40周年最後のライブになります。今回は大好きなゲストの方が次々とステージに上がってくださいますので、“知世まつり”に参加するような気持ちで楽しんでください」と語りました。

「恋をしよう」、「ユー・メイ・ドリーム」(シーナ&ザ・ロケッツのカバー)と華やかなナンバーが続いたのち、先ほどのMC通り、早くも1人目のゲストである大貫妙子さんがステージに招かれました。

披露されたのは、原田さんのデビュー・ミニ・アルバム「バースデイ・アルバム」(1983年)で大貫さんが提供した名曲「地下鉄のザジ (Zazie dans le métro)」。初録音から40年におよぶ深い信頼関係を物語る、相性抜群のデュエットを聴かせました。

そして、デビュー当時に、主演ミュージカルの主題歌として松任谷由実さんから提供された「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」をしみじみと歌ったのち、2人目のゲストの土岐麻子さんがステージに登場。

土岐さんが作詞を手掛け、デュエット・バージョンも録音した「ping-pong」を軽やかに披露。

第1部の最後では、「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」の主題歌になった「冬のこもりうた」を、スクリーンに投影される美しい映像をバックに感動的に歌唱しました。

「14歳の私はこんな日が来るなんて、想像できませんでした」

休憩をはさんだ第2部は、最新作「fruitful days」収録の「Like This」からスタート。

降りたままのステージ幕にさまざまなイメージが投影され、その背景で幻想的な演奏が繰り広げられます。曲が終わって幕が上がり、原田さんのシルエットがステージ後方に浮かび上がると、楽曲は川谷絵音さん提供の「ヴァイオレット」へ。

「今日この時を皆さんとともに過ごせているのが本当に幸せ」

そして、白いワンピースに着替えた原田さんはファルセットを交え、切ないメロディを、凛とした表情のボーカルで歌い上げました。

続いては、ポップ・エレクトロニカ・バンド、pupaで活動をともにした高野寛さんが3人目のゲストとして登場し、高野さんが作詞を手掛けた「fruitful days」収録曲「邂逅の迷路で」を演奏。

高野さんのギターとコーラスが加わることで、楽曲がよりドラマチックに変貌を遂げました。

最後のゲストとして招かれたのは、ムーンライダーズの鈴木慶一さん。鈴木さんは、1992年から96年にかけて原田さんのプロデュースを手掛け、アイドルからアーティストへの扉を開いた人物。

高橋幸宏さんとのユニット、THE BEATNIKS名義で「fruitful days」に提供した「アップデートされた走馬灯」にギターとコーラスで参加。同曲は今回がステージ初披露となりました。

コンサートの終盤には、自身で作詞を手掛けた「夢の途中」や、“もっと多くの人に届けたいので、これからも大切に歌っていきたい”と紹介した「一番に教えたい」という、現在の原田さんの思いが込められたナンバーが続きました。

本編ラストは「銀河絵日記」。作家/作詞家の高橋久美子さんが手掛けた、人生をあてのない旅になぞらえた歌詞を、軽やかで芯のある歌声で表現し、これから先の原田知世を予感させるパフォーマンスとなりました。

アンコール1曲目は、ヒット曲「ロマンス」。ファンへの感謝のしるしとして、この曲のみ観客も撮影OKとなり、原田さんは、ステージの左右まで歩き客席に笑顔を振りまきます。

演奏後には、「14歳の私はこんな日が来るなんて、あの時は想像できませんでした。本当にたくさんの素晴らしい出会い、そして愛をいただきながら、ここまで歩んでくることができました。なにより、一緒に歩んできてくださった皆さんが温かく見守ってくださっていて、こうして今日この時を皆さんとともに過ごせていることを本当に幸せに思います。40周年で、いつも応援してくださっている皆さんにお返しをする一年にしようと思ってやってきましたが、逆にたくさんの勇気や力を皆さんからいただきました」と語りました。

最後は「時をかける少女」。ここで観客が携帯電話のライトを点灯し、左右に振るサプライズが。客席全体が星空のような空間となり、まさに時をかける演出となりました。

原田さんは感激のあまり涙を流し、時おり声を詰まらせる場面もあったものの歌い切り、客席からは惜しみない拍手が送られました。

全曲が終了し、出演者全員がステージから去ったあとも、原田さんは何度も観客に向けて感謝の気持ちを繰り返していました。

公演概要&セットリスト

<公演概要>

原田知世 40th Anniversary Special Concert “fruitful days”

2022年10月16日(日) 東京国際フォーラム ホールA

<セットリスト>

  1. A面で恋をして
  2. 恋をしよう
  3. ユー・メイ・ドリーム
  4. 地下鉄のザジ (Zazie dans le métro)(with 大貫妙子)
  5. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ
  6. ping-pong (with 土岐麻子)
  7. 冬のこもりうた

~休憩~

8.Like This
9.ヴァイオレット
10.邂逅の迷路で (with 高野 寛)
11.アップデートされた走馬灯 (with 鈴木慶一)
12.夢の途中
13.一番に教えたい
14.銀河絵日記

Encore

  1. ロマンス
  2. 時をかける少女

公式サイト:http://haradatomoyo.com/