ダメだ…涙が止まらない…。

先週の第3話が大号泣だったので今回はさすがに…って思ってたけど、とんでもない。涙、止まんないよ。特に後半の畳みかけるような泣かせの波状攻撃。どんだけ泣かすんだよこのドラマは。

いやでも“泣かせる”と言うと、お涙頂戴の作為的な感動物語で、安っぽい表現になってしまうんだけど、そうじゃない。こっちが勝手に想像して泣いてるんです。もちろん感動的とか、悲しいとか、そういう場面もあるんだけど、後半の展開はむしろ「ありがとう!」ってこっちが勝手に感謝して泣いてんだもん。ホントに京ちゃん(北大路欣也)生きててありがとう!!

その京ちゃんが救われるまでのシークエンスが素晴らしく丁寧でした。

「最愛の息子を亡くし、気持ちが途絶えてしまい、ベランダの手すりに手をかける京太郎…」

ここまでが、先週の次回予告で見せられたシーン。その危機をどうやって救うんだろう?って、全視聴者が固唾を飲んで見守ってたと思うんですが、その直前のシーンで、それまではてっきりコメディリリーフとばかり思っていた木下ほうかさん演じる阿久津先生が、心先生(松下奈緒)に“グリーフケア”(家族や親しい人が亡くなり深い悲しみにいる人に対する支援)の講義をはじめて、それによって心先生の脳裏に京太郎の直近の出来事が思い出され…。

って、その時凡人の僕は、これは絶対、心先生がハッと気が付いて、走り出して、現場に直行して京太郎を止めるんだ!…とばかり思ってて、それが例えどんな安直で陳腐な展開だったとしても、僕はもう泣ける準備は出来てたし、京ちゃんが救われるのであれば「心先生早くダッシュして!」とすら思ってました。

それなのに「お父さん、今晩、カレーにしませんか?」という電話って…。陳腐なダッシュ救出でも泣ける自信があったのに、他愛もない日常的なセリフで、しかも前半に登場した“カレー”の伏線をそんなところで回収するなんて…泣けるどころの騒ぎじゃないですよ。しかもですよ、その前に漣くん(桑名愛斗)が「京ちゃんがまだいるかなと思って」って、学童保育を抜け出して、家に帰ってるんですよ。そこでも京ちゃんは漣くんに救われてたんですね…。

ってそんな想像を勝手にしていると、さっきの涙に加えてさらに泣けてくるんですよ。それでなおかつですよ、本当はその才能を期待していた息子(中村俊介)が小説を書いていたことを知って、亡くなった人物の懸命に生きていた証から生きる勇気をもらう…って、どんだけ畳みかけるの。それで、前回で心先生は夫との“辛い思い出”を回想していたんだけど、今回はその小説をきっかけに“幸せな未来”を想像させるんですよ?その対比!もう卑怯すぎる。泣くに決まってんじゃんよ!!

“大物脇役”について考えさせられる

またドラマにおける“大物脇役”についてもすごく考えさせられました。今回でいうと北大路欣也さん演じる京太郎ですが、ドラマに配置される大御所のバイプレーヤーって、その存在感と円熟味で、何気ないセリフでも深みがグッと加わるので、ドラマを締める存在で、登場人物も視聴者も安心して身を委ねられる“強い”存在としていることが多かったと思うんです。

だけど今回の京太郎は、序盤こそ主人公を明るく励ます、料理上手でカッコいいおじいちゃんという強い存在として描かれていたけれど、実は息子の死を受け入れられず気持ちが途絶えてしまうような弱い存在でもあった…。それを北大路欣也さんが演じるのがすごく画期的でした。

これまでいろんなドラマで見てきた北大路欣也さんが演じるキャラクターの存在と意味に慣れていたし、安心しきっていた僕は特に衝撃的でした。だって心が弱くなって、お酒に酔って路上で泣いてしまう北大路欣也さんですよ?それはやっぱり衝撃的だし、それがリアルなんですよね…。だから、やっぱり泣くって。

医療モノには珍しく連続ドラマとしての楽しみを存分に堪能できる

あと医療モノだというのにここまで連続性を持った、連続ドラマとしての楽しみを存分に堪能できる作品は珍しいですね。今回の心先生のエピソードは1話から見ていたからこそ体感できるドラマチックだったし、第1話から登場して病院の内情をよく見ている高坂さん(高畑淳子)や、第2話の若い乳がん患者の佐倉さん(小川紗良)が心先生のちょっとした異変に気付いてあげる点も、毎週見ているからこそ伝わる繊細で丁寧な描写でした。

ほんとに毎週見逃せない、いいドラマです。皆さんも今期ドラマで「アライブ」をお勧めする際は、是非「第1話から見て!」と強く念を押していきましょう。僕も微力ではありますが「今期ドラマ何面白い?」って聞かれたら、堂々とそう宣言していくことを心に決めました。

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)

第4話のあらすじ完全版はこちらから