採掘場跡地の中や、登り窯の上、能楽堂など、日本各地の非日常空間で、食のイベントを開催する料理家の大塚瞳さんに密着しました。

大塚さんは、全国を旅しながら、料理のみならず、テーブルコーディネート、空間の演出など、イベント全体を作り上げます。

大塚さんを番組に推薦した本谷有希子さんは、3年前に参加したイベントが忘れられないそうで、「芝居の千秋楽・屋上・そうめんっていうのが、記憶の1つとして自分の中にあって。あのときの情景とか、あのとき屋上からの景色とか、そういうのも全部演出で。もう、ドラマなんですよ」と称賛。

日本各地での食のイベントを開きながら、2020年には福岡県におばんざいの店「台所ようは」をオープン。さらに今年、新しくイタリアンの店と和食の店を開きました。

番組では、大塚さんの料理を作る上でのこだわりや、イベントを開く上でのルールに迫りました。

旅する料理家・大塚瞳さんの“セブンルール”とは?

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ルール①:世界中のスパイスで口の中を旅させる

山口県長門市にある、長門温泉郷の中心に架かる、橋の上で行われたのは、山口県の食材を使った8品のコース料理が味わえる2日間限りのレストラン。

大塚さんの料理は、世界各国のスパイスを掛け合わせることで、見た目を大きく裏切る味わいを生み出します。

鮎の春巻きには、パンチフォロンという5つのスパイスを加えることで、インド風の味付けに。エソのすり身のさつま揚げには、ヒマラヤ山椒、中国の陳皮、マダガスカルの胡椒など、30種類以上のスパイスが使われました。

渡航が自由じゃないときに「口の中だけでも旅ができたらいいな」と思いついた大塚さんは、世界中のスパイスを使うことで、食べた人の口の中を世界旅行へいざないます。

ルール②:メニューは固定しない

2年前に、古民家を改装しオープンした「台所ようは」では、日本各地の郷土料理をベースに大塚さんがアレンジしたおばんざいが並びます。

午前中に食材の買い出しに行くと、その日採れた旬の食材を大量に買い込み、メニューはそこから店で考えます。

そのため、お店のメニューは固定されず、当日のお楽しみというスタイルに。

大塚さんは「各地の郷土料理がおばんざいとして並ぶ飲食店を、47都道府県に作れたら」と語りました。

ルール③:地方に行ったら1日7食

福岡生まれの大塚さんは、3歳のとき、父の仕事の関係でアメリカに移住し、「ホームパーティが日常だった」というアメリカで育ちました。

帰国後、「いつかこの国でも1つのパーティという食空間を作れたら」という思いを抱き、大学時代から本格的に料理を学び始めました。

大学卒業後は、スペイン・タイ・台湾・中国など、海外の料理教室を渡り歩き、今でも、時間を見つけては、料理を学びに日本各地を飛び回っています。

この日、長崎県・小浜を訪ねた大塚さんは、朝食にそうめんを食べると夜までに7軒の店をはしご。

地方に行くと、「行かなかった後悔をしたくない。味覚を通してその街を知りたい」と、1日7食が習慣になっているそうです。

ルール④:子どもの味覚に合わせない

「台所ようは」では、仕出し弁当もやっており、この日は保育園のイベント用に40個の注文が入りました。

「子ども向けとかは考えたことがない」という大塚さんは、自身が食べたいという、山椒をきかせた「タコときゅうりの和え物」や、唐辛子を加えタイ風の味付けにした鶏の唐揚げを作りました。

大塚さんには、もし食べられなくても、体験してみることが大事という思いがあるため、子どもに合わせた料理にはしないそうです。

「タコ食べたことない」、「すごく酸っぱい」と感想が上がる中、お弁当を完食する子も。大塚さんが「もう1個食べる?」と聞くと、首を横に振りました。

ルール⑤:その土地の器を使う

佐賀県唐津市にある3号店の「たまとり」は、オープンまで1ヵ月を切り、この日は設計士と店内レイアウトの打ち合わせ。

細かく設計の指示を出し、大塚さんが向かったのは、唐津焼の窯元。

「(その土地の)同じ土から生まれた農作物と陶器を、料理人として間に立って提供したい」という思いを持つ彼女。

「たまとり」店内の、大皿料理が並ぶカウンターは、銅の鉄板を使うことで唐津焼が美しく見える設計にしました。

ルール⑥:スタッフはナンパで集める

白洲次郎・正子夫妻の旧邸宅である、旧白洲邸・武相荘で初の食のイベントを行うことになった大塚さん。

開催日が七夕に近いことから、食卓の真ん中に数メートルの竹を飾る演出プランを描きました。

イベントを開催する際には、料理、器、会場の演出を考えるだけでなく、スタッフの手配も悩みの種になるといいます。

スタッフについては、大塚さんが直々に、店のお客さんや偶然会った子たちをスカウト。

面接ではなく、飲食店で必要な「機転が利いたり、その瞬間に対応してくれる子」というのを見極め、声を掛けているそうです。

スタジオでは、料理だけでなくすべてを演出する完璧な大塚さんについて、「普段、汚い毛玉だらけの(服装だったりしない?)」(YOU)、「靴ずれをおこしているとか?」(青木崇高)、と疑問の声があがりました。

ルール⑦:同じイベントはしない

武相荘では、テーブルの真ん中に、七夕にちなんで竹と笹を飾り付け、料理を彩る器は、武相荘に保管されていた骨董品と、敷地内で切り出した竹が使われるなど、この季節に、この場所でしか出来ないイベントになりました。

食のイベントについて、大塚さんは「(毎回)開催場所も料理の内容も変えています。イベントっていうのは1回限りで、その瞬間のために作って終わったら壊す。私もお客さんも集中して、今日しかないことのために来てもらいたいなと思ってる」と語りました。

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