舞台で共演する3人が、「推し」の話題で盛り上がりました。
8月28日(日)の『ボクらの時代』は、舞台「阿修羅のごとく」の上演を控える、小泉今日子さん、木野花さん、安藤玉恵さんが登場しました。
連続ドラマ小説『あまちゃん』(NHK/2013年)で共演していた3人は、「最初300人くらいいた打ち上げで、朝の8時か9時くらいに、この3人が最後まで残って飲んでいた」と笑い合い、鼎談がスタートしました。
木野花「教師という仕事は面白かったけど…」
俳優で演出家の木野さんは、地元・青森県で「教師をやってました」と明かしました。
小泉:あ、先生だったんですね。
木野:美術の教師。中学のね。やってて、務まらなくて。
小泉:なんで(笑)?
木野:教師が、つらかった。
小泉:向いてなかった?つらかったんだ。
木野:単純に、朝起きて、授業に間に合うように…。
小泉:毎日ね。
木野:7時…何分かな。
安藤:うん、うん。
木野:教師という職業は面白かったんだけど、その、「務める」ということが…。
安藤:無理だった?
木野:それが、びっくりするくらい、つらかったの。だから、教師というのは、私にとってはすごく無理があった。
さらに、木野さんは、当時の職員室は「今から見たら封建的。本当に保守的で、男尊女卑ってはっきり言えるくらい」だったと振り返りました。
そんなある日、美術雑誌「美術手帳」でアングラ特集をやっているのを見て、「『今は、演劇なんだ』って思って、怖いところに飛び込もうという感じ」で、東京に出てきたと明かしました。
安藤玉恵「こんなに面白いことがあるんだ」
安藤さんは「外交官になりたかった」と語りますが…。
木野:え?外交官!?
小泉:ドラマの中の話みたい。
木野:初めて聞いた。「外交官になりたい」って(いう人)。
安藤:本当ですか?なりたくて、最初、外国語学部にいたんですよ。それを、すぐに辞めちゃって。
木野:なんで?
安藤:合わなかった。
木野:やっぱり(笑)。
安藤:そう。(教師を辞めた木野さんと)同じですよ(笑)。なんとなく、大学が合わなかったか、「ちょっと違ったな」って思っちゃったか。10歳くらいからずっと(外交官になりたいと)思っていたのに、いざ、始めてみたら…。
木野:大学の時点で、すでに「外交官じゃない」と思ったんだ。
安藤:大学を変えて、たまたま演劇サークルに誘ってもらったのがきっかけで入って。エチュード(即興)稽古、新人稽古というものがあって…楽しかったですね。
木野:よかったんだよ、絶対。面白かったんだよね。
小泉:きっとね。
木野さんは「19歳くらいでしたけど、こんなに面白いことがあるんだと思った」と、演劇との出合いを振り返りました。
小泉今日子「顔にも筋肉があるんだ!」と実感
小泉さんは、中学生のときに『スター誕生!』(1971年~1983年/日本テレビ)のオーディションを経て、16歳でデビュー。
安藤:疲れたりしなかったんですか?「もう無理」みたいなのとか。
小泉:「顔にも筋肉があって、筋肉痛になるんだな」って思ったことはある。
木野:あはははは!ちょっと待って!
安藤:それは、歌いすぎとか?
木野:ずっと笑ってるから?
安藤:笑ってるからか。
小泉:そうそうそう、広告の撮影とか、1日中撮影があったりすると、ずっと笑ってるじゃないですか。
安藤:うん。
小泉:「うわ、顔にも筋肉があるんだ」って実感、みたいな。筋肉痛に…。
安藤:痛い?顔が?
小泉:(うなずく)
木野:そんなに、笑ってなきゃいけないの?
小泉さんは、キャリアを重ねるうち「表情筋が鍛えられちゃって、心で笑ってなくても笑顔を作れるようになった」と、にっこり笑ってみせました。
木野花 根津甚八さんは「女殺し」
鼎談の後半は、小泉さんが大ファンだったという、根津甚八さんの話題で盛り上がりました。
小泉:私はもう、本当に大ファンで。
安藤:へぇー。
小泉:『冬の運動会』(1977年/TBS)っていう、向田邦子さんの(作品)を見たときに、もう、本当に「ギュン!」ってなりました。
木野:何それ(笑)。
小泉:矢が刺さった(笑)。
木野:刺さっちゃった(笑)。
小泉:(当時)12歳とか、11歳とかだけど、もう、不動の第1位ですね。いまだに。
木野:いや、あなたがそれを言うなら、私も言いたいけど…。
小泉:言ってください。
木野:あんな役者はいない!
小泉:いないよねぇ~。
木野:なんでもっと「キャー」ってならなかったのか、不思議なくらいに。
小泉:なってたでしょう?私、写真集も持ってるよ?
木野:いや、もっと1位になってもいいんじゃないかと思うくらいに。私的にはね。
小泉:私もなの!
木野:「女殺し」だったね。
小泉:ホントですよ。
安藤:「女殺し」!?
木野:はい。恋愛ものをやらせたら、天下一品ですよ。
安藤:色気ですか?
小泉:色気とか。
木野:それがね、よくある色気とも違う…。
小泉:違うんですよ。
木野:それがね、何かもう表現できないような、わけのわからないエロいオーラをこう…。でも、それがエロいという言葉だけでは片づけられない、青年の持つ、何か純粋さみたいなものもあり、たまらなかった。
小泉:たまらなかったです。
小泉さんは「大人になって、もう1回『冬の運動会』を見たときに、私が相手役をできていないことが悔しくなってきて…」と、ももをたたきながら見たことを明かしました。
アイドルがアイドルを好きになるということ
この流れで、小泉さんは「玉恵ちゃんは、いないの?マイアイドル」と質問。
安藤:…いないですね。
木野:アイドル、いない!?
安藤:いない。
小泉:今も、いない?そういう…心の恋人(笑)。
安藤:心の(笑)。ずっと、いないですね…。
木野:これは、珍しい人に遭ったぞ。
小泉:えー!「憧れ」みたいなの…。
木野:じゃあ何?恋愛?恋愛のときは、なるの?本当に惚れちゃったって…。
小泉:でも、旦那さんとかはね、きっとそうじゃないの?才能含めて「好き」って。
安藤さんは、劇作家である夫・タニノクロウさんの「ファンだった。芝居が好きでした」とうなずきますが、現在はそのような存在はいないそうで…。
安藤:(小泉さんに)あります?推し?
小泉:私はもう、BTSに夢中ですよ。
安藤:BTS!あら!
木野:今どきだよ。
小泉:1日1回は、何かしら見ないともう、終われないですね。
木野:わかる、わかる。
安藤:(笑)。BTSを?
木野:わかる。なんなんだろうね、あの感情。ドーパミンがバーッと出てる感じだよね。
小泉:うん、うん。
木野:そういうことで、恋愛をしてるのかね、代わりに。
小泉さんは「恋愛でしか出ないホルモンの代替えができるのが、『ペット』と『推し』しかないんですって。私はもう、『ペット』と『推し』2つある」と満足気。
その後も、小泉さんと木野さんの「推し」トークは続き、2人は韓流ドラマにもハマっているようで…。
木野:睡眠を削ってでも、見ます。ちょっと寝不足の日もある。
小泉:そうですね。何なら早めに起きちゃったら、朝もちょっと見ちゃいますね。
安藤:(笑)。
木野:そう。「休みだから、明日見よう」には、ならない。
小泉:ならないですね。
木野:「休みだから、このまま見ちゃおう」って感じ。
小泉:「今日、見ちゃおう」っていう。
木野さんは「恋愛してたら、1日ずっと一緒にいたいじゃないですか。そういう感じかな」とニヤリ。
安藤:例えば、小泉さんだと、それをされる側でもあるわけじゃないですか。
小泉:うん。
木野:そうね。
安藤:だって、40年間…この前、コンサートに行ったんですよ。
小泉:あ、40周年のコンサートを今年やっていて。(安藤さん)来てくれたよね。
安藤:だから、そういうふうな対象でもあるわけじゃないですか。って思うと、ちょっとびっくりしちゃいますよね。
木野:そうだね。アイドルがね、アイドルを好きってどうなんだろう。
小泉:だけど、K-POPに(ハマって)私、本当にファンクラブにも入ったんですね。
木野:入っちゃったのね。
小泉:入ってるんです。
木野:すごいねー。
小泉:そうしたら、自分のファンの人の気持ちも、手に取るようにわかったんですよ。
安藤:へぇー!
小泉:だから、すごいフィードバックできて。
自身の40周年のコンサートのセットリスト、グッズを手がけた際も「これが欲しいだろうな。これが欲しいはず。だって、私が欲しいわけだから!」と、ファン心理を突くことができ「すごい役に立ちました」と明かしました。