この夏フジテレビでは、市川海老蔵の十三代目市川團十郎襲名を記念した特別企画ドラマを放送する。
ドラマは、今川義元の大軍を数的に劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇と謳(うた)われ、織田信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦、“桶狭間の戦い”を題材とした本格時代劇『桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~』(仮)。
この度、今川義元役に三上博史、信長の母・土田御前役に黒木瞳の出演が決定した。
当代随一の武将・今川義元を演じる三上博史は、今作品が海老蔵と初共演。
信長にとって最大の脅威は、駿河の大大名・今川義元だった。義元は遠江、三河を我が物とし、いよいよ信長の所領・尾張に侵攻する。その数、二万。“御所(足利将軍家)が絶えれば吉良が継ぎ、吉良が絶えれば今川が継ぐ”と言われた名門・今川家。また、“うつけ者”と揶揄(やゆ)された信長とは対照的に、義元は海道一の弓取りと謳(うた)われ、武将としてもその名をとどろかせていた。
時代劇は、2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』の鳥羽上皇役以来となる三上。大軍を率いて、圧倒的有利と思われていた“桶狭間の戦い”において、まさかの敗北を期した義元を三上がどのように演じるのか。
このドラマでは、信長の弟や母とのゆがんだ感情も描かれる。そんな信長の実母・土田御前役を黒木瞳が演じる。幼児期の信長は、幾人もの乳母の乳首をかみ切ったと言われるほど、とても勘の強い子供であった。
実の母親・土田御前は、信長には手を焼く一方で弟・信勝には手放しで愛情を注いだ。今作品では二人の息子の間で戦国の世の無情を目の当たりにする。黒木と海老蔵の共演は、舞台『オイディプス』(2019年)以来となる。
<三上博史コメント>
このたび、今川義元を演じさせていただくことになりました。これまで、実在の人物を演じる機会は何度かありましたが、その都度、神経をすり減らしてきました。野口英世、宮沢賢治、中原中也、安倍晴明、鳥羽上皇、どなたにもお会いしたことがないのはもちろん、史実は断片しか教えてくれません。
一人の世を生きた人物として、そしてその時代背景をみなさまに体感していただくには、どうしたらよいのか?それぞれの魂から叱責(しっせき)されないように、ありったけの想像力と直感と大胆な表現を駆使して、今回、今川義元に臨みます。
織田信長を演じます市川海老蔵さんとは、初めてご一緒しますが、撮影のその時、そこに、ぼくらではなく、織田信長と今川義元がふわりと立ち現れればよいなぁ、と心から願っています。
<黒木瞳コメント>
――今回の話が来た時は、どう思われましたか?
昨年10月、市川海老蔵さんと、舞台『オイディプス』で、妻でありでも本当は母だったという役を演じておりましたので(お話がきたときは)何となくしっくりきました。
市川新之助さんの時代から拝見させていただいていたこともあります。今回、母親役を演じさせていただいて光栄です。
――役を演じるにあたって心がけたことは?
土田御前は、鬼才な信長をどう扱っていいのかわからない…どうしても弟の方に愛情が偏ってしまう母親で、そんな二人の息子との距離感を大切にしました。
――海老蔵さんが演じる“織田信長”の印象はいかがですか?
海老蔵さんが信長と伺ったときに、「視聴者の方はこれを待っていたのでは?」と思いました。
“敦盛”のシーンも、華麗に舞うところに海老蔵さんならではの人間の業のようなものが入っていくのでは、と思いますので楽しみにしています。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
数々映像化されている“織田信長”の中でも、今回は“桶狭間”に集約されているところが、最大の見どころだと思います。
“うつけ”と言われた信長が、家臣をまとめて今川にたち向かっていく。そこまでの過程が描かれていることがとてもわかりやすく、“信長”という人物を描いていると思います。
<あらすじ>
1560年、清洲城。27歳の織田信長(市川海老蔵)が「敦盛」を舞っている。
同じころ、今川軍の先鋒・松平元康(後の徳川家康)は、織田軍の砦(とりで)の前で、その采配を振るう時を待っていた。駿河の総大将・今川義元(三上博史)が織田家の領地・尾張を我が物にするべく、二万の大軍をもって侵攻してきたのだ。
前夜、今川軍に対抗する策を訴える家老衆をあしらった信長は、翌早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。恐れをなして逃げたのだという生母・土田御前(黒木瞳)に対して、濃姫は決して逃げたりはしないと言い切り信長の身を案じる。
信長は木下藤吉郎など信用できる者たちを動かし、今川軍の情報を集め、義元が大高城に向かうのではなく、織田信長軍と戦う構えで桶狭間にいることを突き止めた。やがて、織田軍本陣に家老衆が軍勢を率いて現れたが、その数は二千ほどで、今川軍との差は圧倒的だった。
二万VS二千。果たして信長はどんな戦略でこの大軍に立ち向かうのか…。奇跡の戦いが今始まろうとしていた。