街中で、カラオケで、テレビ、ラジオで、そしてイヤホンで。私たちは、音楽をシャワーのように浴びて生きている。もっとも身近なエンターテインメントでありながら、楽しくなったり、華やいだり、感動したり、癒されたり、時には救われたりもする、音楽。

フジテレビ『人と音楽』は、様々なジャンルで活躍する「0」から「1」を生み出すアーティストたちが、普段聴いている音楽にフィーチャー。彼らの音楽観や、なぜその音楽を聴くのか、そこからどんな影響を受け、自らの創作活動にどう循環させているのかに迫る。つまり「人と音楽」の関係をあぶりだしていくドキュメント。

「よく来ていたのは、予備校に通っていた25年以上も前の事であまり覚えてない。」

そう言いながら、日差しがまぶしい東京・井の頭公園を少し気だるそうに歩いているのはASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、後藤正文だ。

音楽に興味を持ち始めた大学浪人時代。「受験失敗して、ここでお酒飲んでいた奴が、アジカン組んじゃうから面白いですよね。人生って分かんないなぁ。」と、後藤は笑いながら当時の思い出を淡々と語る。

自身で音響システム・機材・部屋のデザインなど細部までこだわり抜いたプライベートスタジオ“Cold Brain Studio.”。そんなリラックスできる自分の空間で後藤が突拍子もない事を語り出した。

「夢で見たんですよ、僕が“Apple Vinegar Music Award”という新人賞を作っているのを。意味分かんないですけど、これ実際に俺が作らなきゃいけないなぁ、と。」

後藤はさらにこう続けた。

「“Apple Vinegar Music Award”を作った一番の目的は若手へのサポート。大賞には賞金を用意して機材費や制作費の足しに少しでもなればと…」

今年で3年目を迎える“Apple Vinegar Music Award”は年々その規模は拡大していて若手のアーティスト達の一つのモチベーションとなっている。今回、後藤がセレクトしたプレイリストもまた新進気鋭のアーティスト達が名を連ねる。

多くのライブハウスが密集し、バンドマンの聖地でもある下北沢。クラウドファンディングで集めた資金で4月オープンを目指し現在改装工事中のライブハウス“LIVE HAUS”へ足を運んだ。

そして、後藤自身もこのクラウドファンディングに出資したうちの一人だ。

「若い世代が何か新しい事、面白い事を始めようとしているのなら少しでも協力したい。俺らみたいな少しでも音楽で食えている奴等が協力しないで誰がするのだろうか?」

何故、後藤正文はそこまで執拗に若手が活動しやすい環境を考えているのだろうか?そして、「ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤 正文にとって音楽とは?」という様々な問いに対し彼が出した答えとは…?