激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いた、レフ・ニコラエヴィチ・トルストイの不朽の名作「アンナ・カレーニナ」が8月から9月にかけ上演される。
主演は宮沢りえ、共演に宮沢氷魚、白洲迅、川島海荷、大空ゆうひ、吹越満、段田安則。演出は、Bunkamuraシアターコクーン上演作に4度目の参加となるイギリスの気鋭、フィリップ・ブリーンが担当する。
「アンナ・カレーニナ」は、ロシアを代表する文豪のトルストイが、1800年代後半に書き上げた長編小説。世界中から称賛され、「芸術上の完璧であって、現代、ヨーロッパの文学中、なに一つこれに比肩することのできないような作品」と言わしめたロシア文学の金字塔だ。
この名作を、イギリスの気鋭の演出家フィリップが新解釈で戯曲化し、演出。アンナ、ヴロンスキー、カレーニンの三角関係を中心に描かれることが多い作品だが、今回は、破滅に向かうアンナの「愛」と、未来への希望を感じさせるリョーヴィンとキティの「純愛」とを対照的に描くという。
激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの長編大作が、フィリップの手によってどのように現代に蘇るのか。
<宮沢りえ コメント>
「アンナ・カレーニナ」のアンナという役は、私にとってとても大きな挑戦です。乗り越えるべき壁は果てしなく高いような気がしていますが、演出家のフィリップ・ブリーンさんを迎え共演者のみんなと、今まで誰も見たことのないトルストイの世界へ皆さんをお連れできるよう、心と身体をフル回転させて挑みたいと思います。
<ストーリー>
19 世紀ロシア。美しく魅惑的な社交界の華アンナ・カレーニナ(宮沢りえ)は、著名な政府高官の夫カレーニン(段田)と一人息子と共にサンクトペテルブルクに暮らしていた。
ある日、モスクワを訪れたアンナは、若き青年将校ヴロンスキー伯爵(白洲)と出会う。一目で惹かれ合う2人。熱烈なヴロンスキーからのアプローチを拒絶し続けるアンナだったが、自分の心を偽ることができず、ついにヴロンスキーと恋に堕ちる。
カレーニンは妻アンナの気持ちと行動を知りつつ、体面を保つために妻に忠告するにとどめていたが、当然心中穏やかではいられない。そんな夫にアンナは、堂々と「ヴロンスキーを愛している」と告げるのだった。
若くして結婚したアンナにとって、それは“初めての恋”にほかならなかったのだ。
カレーニンとの離婚が成立しないまま、アンナはヴロンスキーとの間に娘をもうけ、一緒に暮らし始める。だが、社交界の掟を破ったアンナに周囲が注ぐ視線は、当然冷たい。ヴロンスキーとの愛に全てを捧げる覚悟を決めていたアンナだったが、次第に精神的にも追い詰められていく。
一方、アンナの兄オブロンスキー(吹越)は、自身の浮気が原因で妻ドリー(大空)との夫婦仲が危機に瀕していたが、アンナの取りなしでどうにか事なきを得ていた。
オブロンスキーの若き友人リョーヴィン(宮沢氷魚)はドリーの妹キティ(川島)に一度求婚するも、ヴロンスキーに夢中だったキティにあえなく振られ、田舎で農地経営に精を出していた。
キティもまたヴロンスキーへの淡い恋心を踏みにじられ、愛を信じられなくなっていたが、勇気を出したリョーヴィンからの二度目のプロポーズを受け入れる。2人は真実の愛を手に入れ、地に足の着いた暮らしを始めるのだった。
不安定なアンナを支えるヴロンスキーには、母が勧める縁談が持ち上がっていた。疑心暗鬼にかられたアンナは朦朧と街をさまよい、自ら列車の前に身を投げる──。