『元彼の遺言状』第6話完全版

剣持麗子(綾瀬はるか)と篠田敬太郎(大泉洋)は、とある教会で起きた密室殺人事件の真相に挑む。

<ドラマ『元彼の遺言状』これまでのあらすじ完全版>

事件が起きたのは、木下雄一郎(尾上寛之)が神父を務める教会。ホストクラブ「戦国」のナンバー2ホスト・森蘭丸(味方良介)は、ナンバー1ホストの織田信長(土井一海)とともに教会の仮眠室に訪れ、そこで信長を刺した。

その際、蘭丸は、信長がはめていた指輪で頬に傷をつけられるが、信長の死を確認すると、自分が使ったグラスを洗うなど証拠隠滅を図る。信長の指輪は、棚の中にあった茶筒の中に隠した。

だが、逃げようとするとなぜかドアが開かない。蘭丸は、洗い流した手に再び死体の血をつけ、”武田信玄“の源氏名で働く同僚・黒丑益也(望月歩)のもとへ、「助けてほしい」と連絡する。

蘭丸は、「以前、麗子に助けてもらった」と黒丑から話を聞いていたのだ。

連絡を受けて合流した麗子と篠田が、黒丑、木下とともに蘭丸がいるという教会の仮眠室へ駆けつけると、そこには刃物で刺され絶命した信長の姿が。信長はこの教会の信者で、木下が家出した子どもやホームレスの一時避難場所として作ったこの仮眠室を時々利用していた。

この日、蘭丸と信長は仕事の後、2人で飲んでいたそうで、ベロベロになった信長を介抱するためにこの仮眠室に1時間ほど滞在したという。だが、すっかり寝入ってしまった蘭丸が目を覚ました時には、すでに信長は亡くなっていたらしい。

仮眠室の窓はすべて内側から閉められており、防犯カメラにも誰かが出入りした様子は映されていない。完全なる密室で起きた殺人事件。犯行は蘭丸にしか成し得ないはずだが、「俺、やってないです!助けてください!」と蘭丸は麗子に懇願した。

すると、金にならない仕事は受けないはずの麗子が、なぜか蘭丸の弁護をすると即決。蘭丸の本名は、栗花落海斗。「栗花落ホールディングス」CEO・栗花落礼子(赤間麻里子)の次男だった。

「暮らしの法律事務所」にやってきた礼子は、すでに麗子の経歴を調べており、「いくらでも払うから会社の利益だけは守ってほしい」と麗子に弁護を依頼する。

すると麗子は、一つだけ条件を出した。それは、麗子に対して嘘をつかないこと。麗子は、蘭丸が真実を話す限り「シロでもクロでも関係なく守る」と告げると、「信長を殺したのか」と尋ねた。蘭丸は、「やっていない」と答え…。

篠田は、今回の事件を知って、真っ先にガストン・ルルウが書いた密室トリックの名作「黄色い部屋」を思い出したと麗子に話す。「犯人は、教会を密室にすることで蘭丸に罪を着せたのだから、密室トリックの謎を解けば無実を証明できる」と興奮する篠田。麗子は、篠田にリックの解明を任せると、木下からも話を聞いておくよう指示する。

蘭丸とともに事件現場を訪れた麗子は、「なぜグラスを洗ったのか」と切り出す。麗子は、この部屋に駆けつけた際、洗い場にあったグラスが一つだけ濡れていることに気付いていた。動揺を隠しながら、「洗ったのは犯人ではないか」と答える蘭丸。

さらに麗子は、自分たちが到着したとき、信長に心臓マッサージを施したという蘭丸の手は血で汚れていたが、仮眠室の入り口のドアには血がついていなかったことにも触れる。

蘭丸が「信長の死を確認した後、部屋を出ようとしたがドアが開かなかったために助けを求めた」と証言していたからだった。蘭丸は絶句するが、すぐに「気が動転していて、どちらが先だったか覚えていない」と誤魔化す。

警視庁捜査一課の橘五郎(勝村政信)に会った麗子は、意外な情報を知る。神父の木下は元ヤクザで、詐欺恐喝の罪で2年ほど服役していた前科があるという。

その服役中に子どもが生まれた木下は、出所後に堅気になり信仰の道に入ったものの、7年前にその子どもは亡くなっていた。木下は、持病の発作を起こした息子を病院へ連れて行こうとしたが、運悪く渋滞に巻き込まれてしまい、間に合わなかったのだ。

同じころ、篠田は、黒丑とともに木下に会い、話を聞いていた。木下によれば、信長は10代のころ道を外して少年院に入ったものの、そこで聖書に出会ったという。木下は、いつか自分の店を持つために昼は起業セミナーで勉強し、夜はホストクラブで働いていた信長を応援しようと、夜遅くなったときのためにと仮眠室の鍵を渡していた。

また信長は、仮眠室を使う際は必ず木下にメッセージを送っており、事件があった夜も、後輩と一緒だと報告。木下は、蘭丸とも付き合いがあり、いろいろと相談を受けていた。

事務所に戻った篠田は、「木下は何かを隠している様子だった」と麗子に報告。するとそこに、森川紗英(関水渚)がやってくる。紗英が大間のマグロを持ってくると聞いて楽しみにしていたが、彼女がそれを取引先に譲ってしまったと聞いてガックリと肩を落とす麗子。

紗英は、そんなことはお構いなしに、今回の密室殺人事件に興味津々。するとそこに、「戦国」のホスト・柴田勝家(入野自由)から電話が入る。

「戦国」を訪れた麗子は、勝家と会う。知っていることをすべて麗子に話すよう、黒丑が勝家に指示していた。

その際、入り口に飾られたままだった信長の写真を見た麗子は、特徴的な彼の指輪に気づく。この指輪は信長のトレードマークで、入浴中も外さなかったものらしい。

勝家は、信長が生命保険の受取人を蘭丸にしていたことを麗子に打ち明ける。ホストたちは、女性客に本気だと思わせるために、相手を保険金の受取人にするという手段をよく使うのだという。信長は、客と別れて空席となってしまった生命保険の受取人を、実の弟のようにかわいがっていた蘭丸にしていた。

信長が少年院に入る原因となった乱闘事件の際も、蘭丸だけが助っ人に入り、結果、蘭丸も少年院に送られることになったらしい。

別の日、篠田は「密室トリックの謎が解けた」と麗子に告げる。だが麗子は、「もう密室トリックは必要ない」と返して保険金のことを篠田に話す。

木下のもとを訪れた麗子たちは、信長が独立して居酒屋を開くことになり、生命保険も解約することになっていた、と教えられる。それを知った蘭丸は、かなり怒っていたらしい。

麗子は、「事件の後、現場から無くなったものと増えたものがある」と篠田に告げる。無くなったのは信長の指輪、増えたのは蘭丸の頬の傷。麗子と篠田は、黒丑、紗英とともに事件現場に戻り、指輪を探した。

以前、蘭丸が戸棚を気にしていることを思い出した麗子は、茶筒を取りだす。その中には指輪がなかったが、「見つけた」とつぶやいた。

麗子は、礼子と蘭丸を事務所に呼び、信長を殺したのは蘭丸であることを伝える。動機は保険金であり、見つからなかった指輪は、蘭丸の体の中にあることも…。

続けて、「この一件は会社の株価にも影響するが、それでも礼子自身が公にすべきだ」と助言する麗子。それを受け、礼子はすべてを警察に話し、息子に罪を償わせると決断した。

すると麗子は、「蘭丸の弁護人を辞退する」と礼子に告げる。蘭丸が嘘をつかないという約束を破ったからだった。

蘭丸は逮捕され、礼子の謝罪会見のもようがテレビでも流された。礼子の隣には、かつての上司・津々井君彦(浅野和之)の姿が。

そんな折、麗子のもとへやってきた津々井は、「一つ気になることがある」と言って、仮眠室のドアの話をする。蘭丸はグラスを洗うなどの偽装工作をして外部の犯行に見せかけようとしたが、ドアが開かなったために逃げられず、計画を変えたと考えるほうが辻褄が合うのだ。

しかし、麗子たちが駆けつけたときにはドアは開いた。意図的に蘭丸を閉じ込めることができた人物は、1人だけだった。

麗子と篠田は、タクシーで教会へと向かう。途中で酷い渋滞に巻き込まれ、あることを思い出した麗子は、車を降りた。

麗子と篠田は、礼拝堂で木下と会う。そこで麗子たちは、木下が蘭丸に、信長を殺すよう仕向けていたことを指摘する。信長しか使っていない仮眠室、防犯カメラのない勝手口、備え付けられていた凶器──殺人にはうってつけの環境に、最初から違和感があったという麗子。

蘭丸が、保険を解約しようとしている信長に怒っていることを知った木下は、「仮眠室のことなどをさりげなく彼に伝え、少しずつ洗脳していたのだろう」というのが麗子たちの読みだった。

動機は、息子の死。発作を起こした息子を病院へ連れて行こうとした木下が巻き込まれてしまった渋滞は、信長たちが道の真ん中で起こした乱闘事件が原因だったのだ。

証拠はない。だが麗子は、この場所は木下にとって「法廷よりも神聖な場所のはず」と言って、真相について問い質した。

「すべて本当です」。木下はそう答えると、懺悔室で信長の話を聞き、息子を殺した相手だと知って怒りに震えたものの、どうすればいいのかわからなくなり、仮眠室に2人を閉じ込め、その結果がどうであろうと「それが神の下した答えとして受け入れるつもりだった」と告白し…。

麗子は、森川栄治(生田斗真)も「嘘をついたら勝負に勝てない」と言っていたことを篠田から教えられる。それはかつて、麗子が栄治に言った言葉だった。

その時のことを思い出した麗子は、懺悔室に入るよう篠田に告げる。そこで麗子は、黒丑に篠田のことを調べさせ、「栄治が所属していた大学のミステリー研究会に篠田敬太郎という男はいたが、見た目はまったくの別人で、しかもすでに他界している」と話すと、こう言った。「篠田、あんた一体、何者?」と──。

<ドラマ『元彼の遺言状』は、FODでも配信中(最新回は期間限定で無料)>