『元彼の遺言状』第5話完全版

実現寸前だった剣持麗子(綾瀬はるか)と大手出版社の顧問契約の話を、篠田敬太郎(大泉洋)が勝手に断ってしまったことが原因で、2人はいまだに口もきかない冷戦状態にあった。

<ドラマ『元彼の遺言状』これまでのあらすじ完全版>

そこにやってきた森川紗英(関水渚)は、麗子と篠田の間に挟まれてイラつきつつも「篠田を借りるから」と言って一緒に出かけていく。

ほどなく、麗子の元上司・津々井君彦(浅野和之)が「暮らしの法律事務所」を訪ねてきた。

近年、業績を伸ばしている投資会社M&Sキャピタルの創立25周年パーティに、麗子を連れて行きたいのだという。

パーティ会場は、M&S社が経営しているレストラン。同社は上場を控えているらしく、会場には大企業の幹部や大物投資家たちが顔をそろえていた。

津々井が麗子を誘ったのは、経済に強い彼女を「山田川村・津々井法律事務所」に復帰させ、上場を機に新たな弁護士を探しているM&S社との契約を獲得しようという魂胆だった。

会話の途中、ふと隣のテーブルにいた男に目をやる麗子。するとそこには篠田と紗英の姿が。M&S社は森川家の投資顧問なのだという。

そんな中、会場が暗転し、スポットライトとともにステージに現れたM&S社代表取締役の真梨邑礼二(藤本隆宏)が挨拶を始めた。

まず、大学時代に出会い、一緒に会社を立ち上げて苦労をともにしてきた共同代表の庄司健介(髙橋洋)への感謝の言葉を口にする真梨邑。次の瞬間、会場の後方で突然大きな音が響く。明かりをつけると、そこにはM&Aの大口客だった投資家の久野(芝崎昇)という男が倒れて死んでいた。

麗子と篠田は、すぐさま久野のテーブルに駆け寄り、救急車と警察を呼ぶよう指示。さらに、遺体に喉を掻かきむしった跡があり、毒物による殺人事件の可能性があるとして、誰もこの会場から出ないよう伝える。

久野の首筋に注射痕があることに気づいた麗子は、犯人が暗転を利用して犯行を行ったと推察。事実、暗転する直前と、暗転後に真梨邑が登場して挨拶を始めた時に、会場のドアが開いて光が差し込んでいた。

通報を受けて駆けつけた警視庁捜査一課の橘五郎(勝村政信)は、被害者から毒物が検出されたことを麗子にも伝える。「いつまで拘束するつもりなのか」と麗子からクレームを受けた橘は、「人数が多いため事情聴取は明日にする」と言って皆を解放し…。

あくる朝、麗子は、M&S社の件で再び津々井と会う。そこに、庄司から電話が入った。庄司は、事件の際の麗子の対応ぶりに助けられたと感謝の言葉を伝えると、M&S社の戦略的パートナーとなる弁護士を麗子に頼みたいと依頼する。それを快諾した麗子は、警察の聴取後にM&S社を尋ねることに。

麗子は、篠田、紗英とともに所轄の警察署へ向かった。だが、警察署の近くにくると、いつの間にか姿を消す篠田。不思議がる紗英に対し、麗子は「いつものことよ。篠田は警察を避けている」と告げる。

そのとき、警察署から1人の女性・浜野美咲(遊井亮子)が出てきた。その顔を見て「パーティの際、暗転する直前に会場に入ってきたのは、今の女性だった気がする」と言いだす紗英。それを聞いた麗子は「聴取は任せた」と言い残し、近くに隠れていた篠田とともに美咲の後を追った。

美咲の行き先は、熱帯魚専門店だった。夫婦を装って店内に入る麗子と篠田。ふとした会話から、美咲の夫が1週間前に亡くなっていることが明らかになった。

「暮らしの法律事務所」に戻った麗子たちは、美咲の夫が川のほとりで溺死体となって発見されたこと、警察が事故と事件の両面から現在も捜査中であることを知る。

麗子は、顧問契約の件をつめるため、篠田とともにM&S社を訪れた。秘書(近藤春菜)に案内され、最初に庄司、続けて真梨邑に会う麗子たち。話はあっと言う間に進み、翌日のランチミーティングの際に契約を交わす段取りになった。

庄司と真梨邑、それぞれの部屋の同じ場所には、創業当時の2人の写真が。だが、真梨邑の部屋に熱帯魚の水槽があるのを見て、麗子たちはハッとする。

一方、紗英は、熱帯魚の納入業者のアルバイトとして美咲の店に潜入。さらには、橘たちからも美咲に関する情報を仕入れていた。

美咲が夫の女性問題で悩んでいたこと、しかし夫が亡くなった時刻は友人たちとお茶をしていたというアリバイがあることを麗子たちの報告する紗英。

それを聞いた篠田は、今回の事件はパトリシア・ハイスミスの「見知らぬ乗客」で行われる交換殺人だと言いだす。殺したい相手を交換して殺人を犯せば、加害者と被害者の間には動機がないために足がつきにくくなり、その間に完ぺきなアリバイも用意できるというのだ。

再び美咲の店を訪れた麗子たちは、身分を明かし、M&S社のことを切り出す。美咲の店は、やはりM&S社とは長い付き合いなのだという。麗子は、M&S社のパーティで起きた殺人事件に言及し、そこで美咲の姿を見たという人がいると続けた。

それを否定する美咲に、麗子は、「あなたは間違えたんですよ」と告げる。犯人は、暗闇を利用して顔も名前も知らない相手を殺すために、座席だけでその人物を判断していた。しかし、被害者の久野は、泥酔していたため直前に席を移動。そこは本来、庄司が座るはずの席だった…。

麗子たちは、ランチミーティングの席で庄司と真梨邑にも交換殺人の話を伝える。そして、庄司を殺そうとしたのは、完ぺきなアリバイを持つ人物──ステージ上で皆の注目を集めていた真梨邑であることも付け加えた。

すでに美咲が警察に自首していると聞かされた真梨邑は、「庄司のことが疎ましかった」と告白。「会社が大きくなったのはすべて庄司のおかげで、自分は単なる神輿だった」というのだ。

麗子から、「なぜ、美咲との接点がばれてしまう可能性がある水槽を部屋に置いておいたのか」と問われた真梨邑は、「庄司が働いている間、1日中部屋で水槽を眺めていたから片付けたくなかった」と返した。

麗子は、「弁護士が必要なら連絡を」と言い残して、真梨邑たちと別れ…。

ケンカのせいでずっと食事をしていなかった麗子は、篠田に中華料理をオーダー。するとそこに、ホストの黒丑益也(望月歩)がやってきて、麗子のデスクの上に持ってきたある書類を置く。

その書類には、「篠田敬太郎に関する調査報告書」と書かれていた。

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